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離れられない※

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<side尚孝>

「う、ん……っ、えっ?」

目を覚ました僕は見慣れない部屋の様子に驚くと同時に、後ろからギュッと抱きしめられている感覚にパニックになってしまった。
なんで僕、裸で……?

一瞬何が起こっているのか、わからなくなっていたけれど頭の中に昨夜の出来事が一気に押し寄せてくる。

あっ!
ここ、唯人さんの寝室だ……。

お風呂にも入らずに愛し合って、しかも身体の奥で繋がったんだ。

――ゆ、いとさん……っ、すきぃ……っ!! もっと、はげしく、あいしてぇ……っ!!

うわぁっ、あんな恥ずかしいこと叫んでた……。

自分の痴態を思い出して顔から火が出そうになる。

でも唯人さんの熱を身体の奥で感じて幸せな気分に包まれたこともちゃんと覚えてる。
そして、薄れゆく意識の中で、

――尚孝……愛してますよ。あなたは一生私のものだ。

と唯人さんが言ってくれたことも。

あの言葉で僕はこれが現実だってしっかりと実感できたんだ。

今、僕の背中に抱きつきながらぐっすりと眠ってくれている唯人さんの顔が見たくて、そっと身体を動かそうとしたけれど身体の奥に妙な違和感を感じる。

えっ、これって……。

「――っ!!!」

その違和感の正体に気づいて、言葉もなく狼狽えてしまう。

だって、唯人さんの……が、僕の中に……。

うそ、なんで?

あまりにも一体化しすぎて今までも気づきもしないなんて……。

もしかしたら、寝ている間に僕が自分で迎え入れちゃってたり?

……ありうる。

だって、あんなに唯人さんのを欲しがってねだったりしていたくらいだ。
無意識にそんなことしちゃうかも……。

うわーっ、僕は一体なんてことを!!

こんなこと知られたら唯人さんに嫌われてしまう。
これだけは絶対に知られちゃいけない!!

とりあえず抜かなきゃ!

唯人さんを起こさないようにそっと腰を動かす。

「ひゃあぁっ! んんっ!!」

動かした瞬間、唯人さんの昂りが気持ちいい場所に当たって思わず声を出してしまった。
慌てて口を押さえたけれど、唯人さんはなんとか起きていないみたい。

ふぅ……。

ホッとしながら、もう一度ゆっくりと腰を動かして引き抜こうとした。

「あっ、んんっ……」

どうしても気持ちいい場所に当たってしまって、そこから動けなくなってしまう。


「尚孝さん、朝から積極的ですね」

「えっ、ひゃぁっ! んんっ!!」

突然唯人さんの声が聞こえて、びっくりして動いたと同時にまた中の刺激が全身に伝わってきて声を上げてしまう。

「ゆ、いとさん……っ」

「そんなに欲しかったんですか?」

「ちが――っ!」

「ふふっ。恥ずかしがらなくてもいいですよ。尚孝さんに欲しがってもらえるのは私も嬉しいですから。じゃあ、たっぷりと愛しあいましょうか」

「えっ? ああっん! そ、こ……っ、やぁーーっん」

「ああっ、尚孝さん! 可愛いっ!! 可愛いっ!!」

腰をしっかり掴まれて、腰を激しく動かされるたびにさっきとは比べ物にならないほどの快感に貫かれる。

「だめぇ……っ、もぅ、イくぅ……っ!!」

限界まで刺激されて、あっという間に蜜を吐き出してしまった。

「尚孝さん……愛してます」

チュッと首筋にキスを与えられながら、唯人さんも僕の中に蜜を放った。
大量の蜜が身体の中に広がっていく感覚がする。
それがとてつもなく幸せでたまらない。

「ゆい、とさん……ぎゅって、して……」

背中から抱きしめられるのも幸せだけど、やっぱり顔が見えないのが寂しくておねだりすると、ゆっくりと中から昂りが引き抜かれくるっと向きを変えられて強く抱きしめられる。

中に唯人さんの感覚がなくなったのは寂しいけれど、大きな身体に真正面から包まれるのは嬉しい。

「尚孝さん……」

囁くようなその声に見上げると、唯人さんの唇が降ってきた。
チュッと唇に重なってきて、柔らかく喰まれる。

「んんっ……」

ゆっくりと唇が離れて、優しい目で見つめられながら

「おはようございます」

と声をかけられる。

なんて幸せな目覚めなんだろう。
今まで生きてきた中で最高に幸せな目覚めだ。

「ああ、幸せですね」

思わず心の声が漏れてしまったけれど、

「ええ、とても幸せですね」

と甘く蕩けるような声で返ってくる。

僕は本当に幸せだ。

<side志摩>

あまりにも幸せな時間を過ごしたせいか、昂りが尚孝さんから離れたがらず結局中に忍ばせたまま眠りについた。
先に尚孝さんが目覚めてしまって、私の昂りに四苦八苦しているところで起きてしまったけれど、自分で動かして気持ち良さそうに身悶える姿に、私もすっかり興奮していた。

思いがけず朝からたっぷりと尚孝さんを堪能して幸せな一日を迎えた。
せっかく今日は休みなのだし、一日ベッドでゆっくりと過ごすのもいい。

どうせ尚孝さんは今日は一日動けないだろう。
リハビリのプロである尚孝さんを介護できるのも私の特権だ。

食事もトイレもお風呂も全てを堪能して、あっという間に夜になった。

会長からのメッセージが届き確認すると、明日は午後から櫻葉会長がお見えになるということでリハビリは明日もお休みになること。
会長は午前中は仕事をなさるが、午後は私に全てを任せるということが綴られていた。

今日は一日尚孝さんと過ごすことができたし、明日は会長の分まで頑張るとするか。

「尚孝さんは明日もお休みのようです」

「えっ? どうしてですか?」

「明日は午後から櫻葉会長がお見えになるので、ひかるさんもきっと緊張なさっているからでしょう。朝からのんびりと過ごさせたいようです」

「ああ、なるほど。ひかるくんのためにはそれがいいですね。それにしてもひかるくんのご両親が櫻葉会長ご夫妻だったなんて……本当にびっくりですね」

「ええ。でも、無事に会えることになって本当によかったですよ」

「そうですね。あれだけ苦労した子ですから、誰よりも幸せになってほしいです」

尚孝さんの優しい言葉に心が掴まれる思いがする。

「尚孝さんは明日お休みですから、ここでゆっくりしておいてくださいね」

「えっ、でも……唯人さんがいないのにここにいていいんですか?」

「当たり前ですよ。もしよかったら、ここでこのまま同棲しませんか?」

「ここで? でも僕なんかがこんなすごい家で……」

「ずっと一緒にいると約束したでしょう? ここが嫌なら、尚孝さんの家で同棲しましょう。私は尚孝さんといられるならどこでもいいですよ」

「そんな……っ」

性急すぎるのはわかっている。
でももう部屋に尚孝さんがいない生活が考えられないんだ。
もうずっと一緒にいたい。
朝目覚める時から夜まで……いや、寝ている時もずっと尚孝さんを感じていたい。

「私たちは離れていてはダメなんです。だから、どちらかの家で生活しましょう」

そういうと、尚孝さんは頷き

「じゃあ、ここで……」

と言ってくれた。

ああ、私は本当に幸せだ。


<side尚孝>

唯人さんを見送り、少しだけ眠りにつく。
そう、少しだけのつもりだった。

「ん……っ」

「ふふっ。起きましたか?」

「えっ? あ、れ? ゆ、いとさん……ど、して……仕事は?」

「終わって帰ってきたところですよ。ぐっすり眠れていたみたいで安心しました」

その言葉にびっくりして時計を見ればもう18時。
唯人さんが仕事をしているというのに、一体どれだけ寝てしまってたんだと自己嫌悪してしまう。

「ごめんなさい……僕だけこんなに寝ちゃって…」

「そんなこと気にしないでください。私は、尚孝さんがこの家で安心して寝てくれていただけで嬉しいんですよ」

「えっ?」

「だって、緊張していたら眠れないでしょう? それくらいここが尚孝さんにとって心地良い場所だってことなんですから」

「唯人さん……」

「それにここはもう尚孝さんの自宅になるんですから、ゆっくりしていてくれていいんですよ」

そう言って優しく抱きしめてくれる。
ああ、もうこの温もりを知ってしまったら一人には戻れないな。

「実は今日休憩時間にメッセージを送ったんです。でも既読がつかなかったからきっと寝ているんだと思って……嬉しかったですよ」

「えっ……本当ですか? うわぁ、せっかくの唯人さんからのメッセージ見逃してたなんて……失敗しました」

「ふふっ。尚孝さん……じゃあ、帰ってきたキスだけもらっていいですか?」

「それって、僕から……?」

唯人さんが嬉しそうに頷く。
期待に満ちた目で見つめられてドキドキするけど、ここはやるしかない!!

自分から唯人さんの柔らかな唇に重ね合わせると嬉しそうに口角が上がるのを感じた。

「お帰りなさい、唯人さん……」

「ああ、幸せですね。こうして毎日迎えられたら今以上にもっと仕事も頑張れそうですよ」

そんな優しい言葉に癒されながら、唯人さんが送ってくれたメッセージを確認する。

「あれ?」

唯人さんだけでなく、もう一つメッセージが来てる。
しかも登録していない人?

「どうかしましたか?」

「あ、いえ。知らない人からメッセージが来てるみたいで……」

「ああ、それなら大丈夫ですよ。開いてみてください」

唯人さんはこれが誰か知っているのだろうか?
でも唯人さんが大丈夫だというのなら、安心だ。

そのアイコンをタップすると少し長めの文章に驚きながら、目をメッセージを読み進めた。

<尚孝さんへ。今日、僕はお父さんと会いました。ドキドキしたけどとても優しくて安心する匂いがして、ホッとしました。そのお父さんに僕の本当の名前を教えてもらいました。僕は一つの花と書いて、いちか という名前になるはずだったそうです。だから、僕はこれから一花になることに決めました。尚孝さんには、明日から一花と呼んでもらいたくてメッセージを送りました。尚孝さん、一花をこれからもよろしくお願いします>

「――っ!!! ゆい、とさん……これ……っ」

あまりにも驚きの内容にびっくりして、唯人さんにスマホを見せると唯人さんは静かにそれを読み、優しく微笑んだ。

「一花さん……尚孝さんを本当に大切な友人だと思っているのでしょうね」

「えっ……友人?」

「ええ。実は私も今日、会長からこのお話を伺ったんです。だから、一花さんがわざわざメッセージを送らなくても尚孝さんには名前が変わったことは私から伝わるはずでしょう? それでも、一花さんが尚孝さんに直接言いたいからとメッセージを送られたのは、尚孝さんのことを大切な友人だと思っている現れだと思いますよ」

唯人さんの言葉に心が温かくなっていく。
ひかるくん……いや、一花くんが僕を友人だと……。

不注意であんな傷を負わせてしまった僕を友人だと思ってくれていたなんて……。

「僕は一花くんにあんな酷いことをしてしまったのに……」

「一花さんは気にしてませんよ。むしろ、今の幸せを喜んでるんです。尚孝さんと友人になれたのも幸せだと思ってるんですよ」

「唯人さん……」

「明日、新しく変わった一花さんに会うのが楽しみですね」

そう言って抱きしめてくれる唯人さんの温もりに涙が潤んでしまう。

ああ、本当に僕は幸せだな。

<side志摩>

戸籍上は貴船家に養子に入った一花さんだが、元の戸籍として、櫻葉一花という情報も入れることができ、一花さんは全てまっさらになって新しい人生を歩むこととなった。

そして、父である櫻葉一眞さんと貴船会長の尽力により、一花さんが病院から誘拐された経緯が明らかになった。

その誘拐の実行犯はすでに別件で捕まっていたが、誘拐幇助として、その病院に働いていた看護師を特定し逮捕に至った。

そして、今夜、18年前の一花さん誘拐事件が解決したという一報が今夜入ると会長は仰っていた。
その前に自宅に戻ろう。

これから一花さんの周りは大変な騒ぎになるだろう。
なんせ誘拐されて18年も経っていたのに生きて親元に戻り、しかも実父が櫻葉グループの会長。
そして、現在は貴船グループの会長夫人の籍に養子に入っているのだから、かなりのビッグニュース。

その関連から、一花さんが事故で重傷を負った事も詮索されるかもしれない。
もし、尚孝さんが一人であのニュースを目にしてしまったら、きっと自分の起こした事故を思い出して辛い思いをするはずだ。

尚孝さんのことを考えていると、あっという間に仕事が終わった。
これでよくわかる。
私の今の原動力が尚孝さんなのだと。

明日の仕事の調整まで終えて、急いで自宅へ向かうと、昨夜たっぷりと愛し合ったせいか、まだベッドから起きていないようでホッとする。

ジャケットを脱ぎながら、寝室の扉を開けると、自分のベッドに膨らみを見つけるだけで心が暖かくなる。
今までは決して、自分のベッドに誰かを寝かせるだなんて思いもしなかったのに。
人間はこうもかわるものなのだと驚いてしまう。

ベルトを外し、ネクタイを緩めシャツのボタンを上から三つほど外してから、寝ている尚孝さんに添い寝するように横たわると、

「んっ……い、いにおい………っ」

私の匂いに誘われるようにくっついてきて、私の胸元に顔を擦り寄せてくる。

ああ、なんと可愛いんだろう。
その可愛さに耐えきれすにギュッと抱きしめると、

「んっ? ゆ、いと、さん?」

寝ぼけた声にさらに愛おしさを感じながら、

「おはよう」

と声をかけると、

「いい、ゆめだなぁ……」

とうっとりした声が聞こえてくる。

どうやら私が帰ってきたのを夢だと思ってくれているらしい。

それなら今のうちにたっぷりと寝ぼけ眼の尚孝さんを堪能しておこう。

ギュッと抱きしめたまま、尚孝さんの身体を撫でる。
スッとパジャマの裾から手を入れて、滑らかな肌に触れる。

「んっ……やぁっ」

くすぐったいのか、いや感じてくれているのだろう。
私がそういうふうに身体を作り変えたのだ。

そのまま手を下げて、きゅっと引き締まったお尻を撫でる。
パジャマの上しか着ていないから、下着の中に手を忍び込ませた。

「ゆ、いとさん……っ」

少し潤んだ瞳が私を見上げる。

「起きましたか? 残念……もう少しイタズラしようと思ったのに」

「ダメですよ……欲しくなっちゃいます」

「――っ、それって、尚孝さんからのおねだりってことでいいですか?」

「えっ……あっ、ひゃあっ!!」

お尻を撫でていた指で、昨夜たっぷりと愛し合った場所を撫でるとまだほぐれたままの後孔が私の指をプツリと受け入れる。

クチュクチュとかき混ぜるだけで、ピッタリと寄り添った腹に、尚孝さんの昂りの熱を感じる。

「欲しいですか?」

「ほ、しぃ……っ、です……」

「いいですよ。たっぷりとあげましょうね」

抱きしめていた身体をくるりと向きを変えさせ、さっと下着をずり下げる。
そして、ズボンの前を寛げてもうすっかり準備が整った昂りを取り出し、数回尚孝さんの窄まりを滑らせてからググッと中に押し込むと、とろとろの中を滑るように挿入っていく。

「ああっん!!」

「くっ、気持ちいいっ!!」

一気に根元まで埋め込み、もうすっかり覚えている尚孝さんのいい場所をゴリゴリと擦ってやると、身悶えながら可愛い声をあげる。

ピッタリと嵌ったまま、腰を激しく動かし、前も一緒に扱いてやると、

「ああっ、だめぇ……っ、イくぅ……っ!」

という言葉と同時にあっという間に私の手の中に蜜を放った。
トプトプとこぼれ落ちる感触を手のひらに感じながら、私も尚孝さんの奥に蜜を放った。

ああ、仕事終わりにこんな幸せな時間を味わえるなんて……。
最高以外の何ものでもないな。

「尚孝さん……愛してます」

「ゆい、とさん……んんっ!!」

まだ中に昂りを挿入いれたまま、潤んだ目で振り向いた尚孝さんの唇を奪い、

「ただいま」

とようやく帰ってきた挨拶をすると、笑って

「お帰りなさい……好きですよ、唯人さん……」

と返される。

ああ、私は一生尚孝さんに勝てそうもない。
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