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楽しい銀座デート
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<side尚孝>
グリのためのケージとトイレは浅香さんが用意してくださるということで、僕たちはそのほかに必要なものを買いに出かけた。
「ウサギの飼育には給水ボトルと、餌を食べるための食器、ウサギ専用フードのペレット、牧草と齧るための木が必要のようです」
「すごい! 唯人さん、もう調べてたんですか?」
「ふふっ。職業病のようなものですよ。近くにウサギ専門店があるそうなので、行ってみましょう」
当然のように手を取られて、店までの道を歩いていく。
途中、僕たちを怪訝そうな目で見ていく人もいるけれど唯人さんは何も気にしていないみたい。
「あの……唯人さん」
「どうかしましたか?」
「外で僕と手を繋ぐのは……その、唯人さんのイメージが悪くなりませんか?」
僕はいいけれど、唯人さんが何か言われるのは我慢できない。
けれど、唯人さんは僕の言葉に笑って、
「何言ってるんですか。尚孝さんと手を繋いでいただけで何か言ってくるような人とはこちらから願い下げですよ。知らない人に気を遣って尚孝さんと手を繋げないほうが私は嫌ですよ」
と嬉しい言葉をかけてくれる。
「ほら、気にしないで行きましょう」
にこやかな笑顔に安心するように僕は彼の手をキュッと握り、お店までの道のりを進んで行った。
「わぁ、可愛いウサギがいっぱいですね」
「ふふっ。尚孝さんが店に入った途端、ウサギたちが尚孝さんに興味を示していますよ。本当にウサギに気に入られていますね」
「そんなことは……」
そう言いつつも、さっきのグリのもふもふとした感触を思い出し、ついつい抱っこしたくなるけれど、グリの匂いがついている手で抱っこしてもいいのか躊躇ってしまう。
「尚孝さん。あっちに飼育用品を売っていますよ」
「あ、はい」
ここにきた本来の目的を忘れそうになって、唯人さんに軌道修正されてホッとする。
僕一人で来てたら、ウサギと遊んでしまっていただろうな……。
「尚孝さん、こっちとこっちの給水ボトル、どっちがいいですか?」
「えっと……こっちの方が飲みやすそうですね」
「ふふっ。じゃあ、それにしましょう。齧り木はどれがいいですか?」
「グリなら、これが良さそうですね」
グリの身体の動きを思い出しながらそういうと、唯人さんは笑って
「尚孝さんはグリを抱っこした時にちゃんと体型や動きを見ていたんですね。選ぶものがグリに合っていてさすが優秀な理学療法士ですね」
と褒めてくれた。
そういえば、知らず知らずのうちにグリの身体の動きに触れていた気がする。
ただついてきただけだと思っていたけれど、僕も役に立っていたのだと気づかせてくれた唯人さんの優しさに僕は嬉しくなっていた。
次に餌となる牧草を選ぼうとしていると、唯人さんのスマホに浅香さんからのメッセージが入ってきた。
「何かありましたか?」
「ええ。餌のペレットと牧草は浅香さんのご友人から定期的に会長のご自宅にお届けすることになったそうですから、買わなくていいそうです」
「ああ、そうなんですね。じゃあ、これくらいでいいのかな?」
「そうですね。これだけ買っておきましょう」
レジに向かう唯人さんについていき、財布を出そうとすると
「大丈夫ですよ、これは後で会長に請求しますから」
と笑って言ってくれた。
確かにそうか。
後でお揃いの食器を買うときは、僕が出そうかな。
そんなことを思っている間にグリの買い物は終わっていた。
「あっ、荷物持ちますよ」
「軽いですから、大丈夫ですよ。尚孝さんはこっちをお願いします」
そう言って差し出してくれる手を握ると、
「すぐそこに行きつけの食器専門店があるのでお揃いの食器を買いに行きましょうか」
と言って案内してくれた。
嬉しそうな唯人さんに連れられて向かったのは、意外にも和食器のお店。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ。唯人さんならヨーロッパブランドの食器を使っていそうなイメージだったので」
「幻滅させましたか?」
「そんなことっ! 僕、実は和食屋さんでそれぞれの料理に合わせて出てくるお皿を見るのが好きなんです。いつかは家の食器もそんなふうにできたらいいななんて思ってたくらいですよ。自炊しないので、願いは叶わないなと思ってましたけど……」
「ふふっ。それなら良かった。これからは私が四季折々の料理に合う食器でおもてなししますよ」
そう言いながら、僕の手を取って中に入るとあまりにも綺麗な食器たちが並んでいて、思わず声を上げてしまう。
「わぁ、素敵ですね」
「気に入っていただけて何よりです。まずはお茶碗を探しましょうか?」
そのコーナーを見ると、あるお茶碗に目がいった。
「んっ? あれですか?」
「唯人さんに似合いそうだと思って……」
「じゃあ、それにします」
「えっ、そんな簡単に決めていいんですか?」
「ええ、尚孝さんが選んでくれたものが一番ですから」
そういうと、店員さんを呼び、そのお茶碗を二つ頼んだ。
その後も汁椀や大皿、小皿、深皿やマグカップまで次々に選んでいく。
その度に唯人さんは僕の意見も聞いてくれて、あっという間にたくさんの食器が決まった。
「会計をしてきますね」
「あっ、僕も半分……」
「大丈夫ですよ。私が欲しくて買ったものですから」
「でも……」
「あ、じゃああれだけ私に買ってもらえますか?」
そう言って唯人さんはカウンターに置かれていたたくさんの食器の中からマグカップを取り出した。
「コーヒーを飲むたびに尚孝さんから買ってもらったものだと思ったら、最高の味になりそうですから」
嬉しそうな笑顔を見せる唯人さんを見ていると、僕まで嬉しくなってくる。
ああ、本当にどうしてこんなに優しいんだろう。
「わかりました。大切にしてくださいね」
そういうと唯人さんは子どものような笑顔を見せてくれた。
<side志摩>
銀座での楽しい買い物を終え、ひとまず荷物を会長の家に届けることにした。
「うちに帰ったら早速この食器を使って食事をしましょう」
「唯人さん、今日も泊まってくれるんですね」
「ええ、もちろんですよ。今日は最後まで愛し合いましょうね」
愛し合うという言葉だけで、尚孝さんの顔が一気に赤くなっていく。
きっと昨晩の風呂場でのことを思い出してくれたに違いない。
この人は本当に初心で可愛らしい。
「――っ!!! で、でも……明日は、仕事が……」
「大丈夫です。激しくしないように心がけますから」
本当は初めて愛し合った翌日は休日の方がよかった。
けれど、今日は朝から出かけることになっていたから昨夜はあれだけで我慢したんだ。
今日だって本当は我慢できると思っていた。
でも、尚孝さんとの時間が長くなればなるほど早く自分のものにしてしまいたい衝動が抑えられない。
「激しくしないって、そんなこと……できるんですか?」
「えっ?」
「僕……唯人さんと、その……愛し合ったら、もっと欲しくなっちゃうと思うんですけど……」
「――っ!!!! それ、本気で?」
「だって、昨日のだけでもおかしくなりそうなくらい気持ちが良かったから……唯人さんのあの、おっきぃの挿入られたらどうなっちゃうかわからないです……」
「ぐぅ――っ!! 尚孝さんっ、そんなに煽らないでください!」
尚孝さんからの言葉にどうにも冷静に運転できそうになくて、急いで路肩に車を停めた。
「えっ? あの、煽る……?」
あれだけ煽ってきたのに、きょとんとした顔を向けられてこっちの方が驚いてしまう。
ということは本気でそう思ってくれているということだ。
くそっ。
尚孝さんが可愛すぎて困るな。
「はぁーっ。もう、尚孝さんは……」
「ごめんなさい。僕、何か悪いことしてしまいましたか?」
「ふふっ。違いますよ。可愛すぎて困ってるだけです」
「えっ? 可愛すぎて……?」
「だって、おかしくなってしまうくらい、私ので擦られるのを期待してるってことでしょう?」
「――っ!!! そんなっ」
自分の発言を思い返しているのか、顔がどんどん赤くなっていく。
私は運転席から尚孝さんの座っている助手席に身を乗り出し、赤い顔をした尚孝さんを自分の胸に押し当てた。
そして、頭を優しく撫でながら、
「尚孝さんが期待してくれて嬉しいんですよ。だから、今夜はたっぷりと愛し合いましょう」
というと、尚孝さんは頷きながら、
「僕が欲しいって言ったら、手加減しないでくださいね」
とさらに煽ることを言ってくる。
ああ、初心なのに無意識に煽りまくってくる可愛い恋人には一生勝てないかもしれない。
グリのためのケージとトイレは浅香さんが用意してくださるということで、僕たちはそのほかに必要なものを買いに出かけた。
「ウサギの飼育には給水ボトルと、餌を食べるための食器、ウサギ専用フードのペレット、牧草と齧るための木が必要のようです」
「すごい! 唯人さん、もう調べてたんですか?」
「ふふっ。職業病のようなものですよ。近くにウサギ専門店があるそうなので、行ってみましょう」
当然のように手を取られて、店までの道を歩いていく。
途中、僕たちを怪訝そうな目で見ていく人もいるけれど唯人さんは何も気にしていないみたい。
「あの……唯人さん」
「どうかしましたか?」
「外で僕と手を繋ぐのは……その、唯人さんのイメージが悪くなりませんか?」
僕はいいけれど、唯人さんが何か言われるのは我慢できない。
けれど、唯人さんは僕の言葉に笑って、
「何言ってるんですか。尚孝さんと手を繋いでいただけで何か言ってくるような人とはこちらから願い下げですよ。知らない人に気を遣って尚孝さんと手を繋げないほうが私は嫌ですよ」
と嬉しい言葉をかけてくれる。
「ほら、気にしないで行きましょう」
にこやかな笑顔に安心するように僕は彼の手をキュッと握り、お店までの道のりを進んで行った。
「わぁ、可愛いウサギがいっぱいですね」
「ふふっ。尚孝さんが店に入った途端、ウサギたちが尚孝さんに興味を示していますよ。本当にウサギに気に入られていますね」
「そんなことは……」
そう言いつつも、さっきのグリのもふもふとした感触を思い出し、ついつい抱っこしたくなるけれど、グリの匂いがついている手で抱っこしてもいいのか躊躇ってしまう。
「尚孝さん。あっちに飼育用品を売っていますよ」
「あ、はい」
ここにきた本来の目的を忘れそうになって、唯人さんに軌道修正されてホッとする。
僕一人で来てたら、ウサギと遊んでしまっていただろうな……。
「尚孝さん、こっちとこっちの給水ボトル、どっちがいいですか?」
「えっと……こっちの方が飲みやすそうですね」
「ふふっ。じゃあ、それにしましょう。齧り木はどれがいいですか?」
「グリなら、これが良さそうですね」
グリの身体の動きを思い出しながらそういうと、唯人さんは笑って
「尚孝さんはグリを抱っこした時にちゃんと体型や動きを見ていたんですね。選ぶものがグリに合っていてさすが優秀な理学療法士ですね」
と褒めてくれた。
そういえば、知らず知らずのうちにグリの身体の動きに触れていた気がする。
ただついてきただけだと思っていたけれど、僕も役に立っていたのだと気づかせてくれた唯人さんの優しさに僕は嬉しくなっていた。
次に餌となる牧草を選ぼうとしていると、唯人さんのスマホに浅香さんからのメッセージが入ってきた。
「何かありましたか?」
「ええ。餌のペレットと牧草は浅香さんのご友人から定期的に会長のご自宅にお届けすることになったそうですから、買わなくていいそうです」
「ああ、そうなんですね。じゃあ、これくらいでいいのかな?」
「そうですね。これだけ買っておきましょう」
レジに向かう唯人さんについていき、財布を出そうとすると
「大丈夫ですよ、これは後で会長に請求しますから」
と笑って言ってくれた。
確かにそうか。
後でお揃いの食器を買うときは、僕が出そうかな。
そんなことを思っている間にグリの買い物は終わっていた。
「あっ、荷物持ちますよ」
「軽いですから、大丈夫ですよ。尚孝さんはこっちをお願いします」
そう言って差し出してくれる手を握ると、
「すぐそこに行きつけの食器専門店があるのでお揃いの食器を買いに行きましょうか」
と言って案内してくれた。
嬉しそうな唯人さんに連れられて向かったのは、意外にも和食器のお店。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ。唯人さんならヨーロッパブランドの食器を使っていそうなイメージだったので」
「幻滅させましたか?」
「そんなことっ! 僕、実は和食屋さんでそれぞれの料理に合わせて出てくるお皿を見るのが好きなんです。いつかは家の食器もそんなふうにできたらいいななんて思ってたくらいですよ。自炊しないので、願いは叶わないなと思ってましたけど……」
「ふふっ。それなら良かった。これからは私が四季折々の料理に合う食器でおもてなししますよ」
そう言いながら、僕の手を取って中に入るとあまりにも綺麗な食器たちが並んでいて、思わず声を上げてしまう。
「わぁ、素敵ですね」
「気に入っていただけて何よりです。まずはお茶碗を探しましょうか?」
そのコーナーを見ると、あるお茶碗に目がいった。
「んっ? あれですか?」
「唯人さんに似合いそうだと思って……」
「じゃあ、それにします」
「えっ、そんな簡単に決めていいんですか?」
「ええ、尚孝さんが選んでくれたものが一番ですから」
そういうと、店員さんを呼び、そのお茶碗を二つ頼んだ。
その後も汁椀や大皿、小皿、深皿やマグカップまで次々に選んでいく。
その度に唯人さんは僕の意見も聞いてくれて、あっという間にたくさんの食器が決まった。
「会計をしてきますね」
「あっ、僕も半分……」
「大丈夫ですよ。私が欲しくて買ったものですから」
「でも……」
「あ、じゃああれだけ私に買ってもらえますか?」
そう言って唯人さんはカウンターに置かれていたたくさんの食器の中からマグカップを取り出した。
「コーヒーを飲むたびに尚孝さんから買ってもらったものだと思ったら、最高の味になりそうですから」
嬉しそうな笑顔を見せる唯人さんを見ていると、僕まで嬉しくなってくる。
ああ、本当にどうしてこんなに優しいんだろう。
「わかりました。大切にしてくださいね」
そういうと唯人さんは子どものような笑顔を見せてくれた。
<side志摩>
銀座での楽しい買い物を終え、ひとまず荷物を会長の家に届けることにした。
「うちに帰ったら早速この食器を使って食事をしましょう」
「唯人さん、今日も泊まってくれるんですね」
「ええ、もちろんですよ。今日は最後まで愛し合いましょうね」
愛し合うという言葉だけで、尚孝さんの顔が一気に赤くなっていく。
きっと昨晩の風呂場でのことを思い出してくれたに違いない。
この人は本当に初心で可愛らしい。
「――っ!!! で、でも……明日は、仕事が……」
「大丈夫です。激しくしないように心がけますから」
本当は初めて愛し合った翌日は休日の方がよかった。
けれど、今日は朝から出かけることになっていたから昨夜はあれだけで我慢したんだ。
今日だって本当は我慢できると思っていた。
でも、尚孝さんとの時間が長くなればなるほど早く自分のものにしてしまいたい衝動が抑えられない。
「激しくしないって、そんなこと……できるんですか?」
「えっ?」
「僕……唯人さんと、その……愛し合ったら、もっと欲しくなっちゃうと思うんですけど……」
「――っ!!!! それ、本気で?」
「だって、昨日のだけでもおかしくなりそうなくらい気持ちが良かったから……唯人さんのあの、おっきぃの挿入られたらどうなっちゃうかわからないです……」
「ぐぅ――っ!! 尚孝さんっ、そんなに煽らないでください!」
尚孝さんからの言葉にどうにも冷静に運転できそうになくて、急いで路肩に車を停めた。
「えっ? あの、煽る……?」
あれだけ煽ってきたのに、きょとんとした顔を向けられてこっちの方が驚いてしまう。
ということは本気でそう思ってくれているということだ。
くそっ。
尚孝さんが可愛すぎて困るな。
「はぁーっ。もう、尚孝さんは……」
「ごめんなさい。僕、何か悪いことしてしまいましたか?」
「ふふっ。違いますよ。可愛すぎて困ってるだけです」
「えっ? 可愛すぎて……?」
「だって、おかしくなってしまうくらい、私ので擦られるのを期待してるってことでしょう?」
「――っ!!! そんなっ」
自分の発言を思い返しているのか、顔がどんどん赤くなっていく。
私は運転席から尚孝さんの座っている助手席に身を乗り出し、赤い顔をした尚孝さんを自分の胸に押し当てた。
そして、頭を優しく撫でながら、
「尚孝さんが期待してくれて嬉しいんですよ。だから、今夜はたっぷりと愛し合いましょう」
というと、尚孝さんは頷きながら、
「僕が欲しいって言ったら、手加減しないでくださいね」
とさらに煽ることを言ってくる。
ああ、初心なのに無意識に煽りまくってくる可愛い恋人には一生勝てないかもしれない。
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