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長い長い面接だったんだ
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後部座席に座っている時もずっと倉田さんは俺の足を気にして抱きしめてくれている。
助手席に座る砂川さんからの視線が気になって
「あの、倉田さん……俺、大丈夫ですから」
と小声で声をかけたけれど、
「ここから先は少し道が悪いところが続くから揺れて足が当たって酷くなったら困るだろう?」」
と優しくそう言われたら、それ以上拒むこともできない。
しかもそのままギュッと抱き込まれてしまってもう俺からは倉田さんしか見えなくなってしまった。
だけど、そのおかげか緊張はだんだん治まってきていた。
うん、やっぱり倉田さんの匂いって落ち着くなぁ……。
俺はすっかり車の中にいることも忘れて倉田さんに擦り寄ってしまっていた。
『ん゛んっ』
前から聞こえた大きな咳払いの声に驚いてビクッと身体が震えた。
慌てて倉田さんの腕から抜け出ようとして、倉田さんに優しく背中を撫でられ
『大丈夫だよ』と小声で囁かれる。
「申し訳ありませんが彼の怪我が心配ですのでこのままで失礼します」
倉田さんが砂川さんに向かって声をかけると、『はぁーっ』と大きなため息をつきながらも
『わかりました』と納得してくれたようだ。
そして、砂川さんは倉田さんのことを気にしないことに決めたのか俺に向かって話し始めた。
「藤乃くん、こんな遠い西表にまでわざわざ面接にきてもらって申し訳なかったね。
しかもまさか面接日に船が運休なんて……驚いただろう?」
「はい。ですが、そのおかげで石垣島を観光できましたし、それに西表島で働きたいと思っているので面接とはいえ、西表島に来させていただけてとても嬉しいです」
「そうか、ならよかった。あのね、藤乃くん、もし、うちに入社してくれることが決まったら、この西表で生活してもらうことになるけどその点は大丈夫かな?」
「あ、はい。それはもちろん!」
「いや、それは困るっ!!」
突然倉田さんの大きな声が車の中に響き渡り、俺も砂川さんも、運転をしてくれている人もみんな驚きの表情で倉田さんを見つめた。
「……あの、倉田さん?」
「ああ、いや、その……ずっと東京で暮らしていた藤乃くんが、いきなり西表に生活の拠点を全部移してしまうのは難しいんじゃないかと思って……」
倉田さんが優しさでそう言ってくれるのは嬉しいけど、でもそんなこと言ってたらここの会社には採用されないんじゃないかな。
現に砂川さんは少し眉を顰めている気がする。
「あの、確かに離島って慣れないですけど、住めば都って言いますし……それに第一、西表の美しい自然の中に住んでみたいって思ったから応募したので私は大丈夫です!」
確かに心配なところもあるけど、でもそれが俺の本心だ。
倉田さんの気持ちは嬉しいけど、ここは譲るわけにはいかない。
「ふふっ。藤乃くんの気持ちはよくわかったよ」
砂川さんが嬉しそうに笑って言ってくれた。
「君を採用することにしよう」
「えっ? でも、面接はこれから……」
「これが面接なんだよ。こうやって聞いたほうが人の本心が出るものだろう?」
「じゃあ俺……合格、ですか?」
「ああ。よろしく頼むよ」
後ろを振り向きながら俺に握手を求める砂川さんの笑顔がとても優しそうで俺はすごく嬉しかった。
「はい。よろしくお願いします」
と俺が手を差し出し、砂川さんと握手をしようとすると倉田さんが俺の手をさっと引っ張り
「握手なんかしなくていい」
と少し怒っている様子だった。
「倉田さん、どうしたんですか? 何か怒ってます?」
「私が航のことを怒ったりするわけないだろ。砂川さん、今のご時世、面接者に握手なんて求めたらセクハラと言われても仕方ないですよ」
「えっ? 私はそんなつもりじゃ……」
「じゃあ、握手は必要ないですね」
倉田さんは言質を取ったと言わんばかりに俺の手を握って離そうとしない。
俺の手の感触を楽しむように倉田さんは嬉しそうな笑顔でずっと俺の手を握っていた。
変な車内の雰囲気にどうしようかと思っていると、
「あ、藤乃くん。うちの会社に着いたよ」
と砂川さんが声をかけてくれた。
窓の外を見ると離島にあるとは思えないくらいの大きな規模の会社に驚いた。
それと同時にここで働けるんだと俺は喜びに胸を膨らませていた。
車が止まり、『ちょっと待っててくれ』と言われ俺は扉が片方開けられた車の中で待っていた。
先に降りた砂川さんと倉田さんが何やら話をしている。
狭い島の中だし、2人は元々知り合いなんだろうなと思って見ていると、会社の中から駆け寄ってきた女性社員が倉田さんに向かって、
「社長!! お帰りなさい! 会いたかったわ! やっと会えて嬉しいっ!」
と嬉しそうに倉田さんの腕に抱きついている。
えっ? 何これ? どういうこと??
社長って……倉田さんが社長ってこと??
えっ……確かK.Yリゾートの社長さんは倉橋さんだった気が……
驚いて倉田さんを見ると、『離してくれないか!』と女性社員の腕を振り解きながらなんともバツの悪そうな顔をして俺をみていた。
「あ、あの藤乃くん……き、聞こえてしまったか?」
口ごもりながらそう尋ねてくる倉田さんに俺は小さく頷いた。
だって、言いたいことも聞きたいこともありすぎてなんて言えばいいのかわからなくなってしまったんだ。
「社長! もうちゃんと話したほうがいいですよ!」
砂川さんが必死な顔でそういうと、倉田さんは車の扉の前にしゃがみ込み、俺と目線を合わせながらゆっくりと口を開いた。
「あの、羽田で君の名前を聞いて、君が今回の面接の子だってわかったんだが、君のことをもっと知りたくてその……」
話しにくいのかものすごく口籠もっているけれど、倉田さんは……ああ、いや倉橋さんは、俺が面接の子だってわかったから優しくしてくれていたということか。
社長直々に俺がどんな人間かを見極めるためにずっと一緒にいたってことなんだ。
じゃあ、俺のこと大切だって言ってくれたのは、自分の会社にとって大切だっていうことだったのかな。
なんだ……俺自身を求めてくれてたわけじゃなかったんだ。
俺がこの会社に採用してもいい人物かどうかみていただけなんだ。
そっか……そうだったんだ。
「倉橋社長。よくわかりました。昨日からのことは全て長い長い面接だったというわけなんですね」
さっきまで倉田さんの腕に抱かれてホッとしていた気持ちが一気に冷めていく。
彼の優しさが俺に対するものじゃないってわかったからだ。
それと同時に彼に抱いていた思いが報われないことに気づいてとてつもなく悲しくなってきた。
倉田さんの温もりも優しさもこんなに知ってしまったのに……それが全部違っていたなんて……
「航っ、それは違うっ!」
「何が違うんですか? 離してくださいっ!」
茫然とした顔で俺をみながら縋り付くように俺の手を握ってくる倉田さんに苛立って思わず大声でそう叫んだ。
俺は力をこめて倉田さんの手を振り解き、力任せに反対の扉をあけ無我夢中で外に飛び出た。
ズキっと足首に痛みが走ったけど、そんな痛みより胸の痛みの方が痛くて全然気にならなかった。
走ってその場から立ち去ろうとした俺の後ろから
「航っ!!!」
と大きな叫び声が聞こえたと思ったら、あっという間に捕らえられ倉田さんの大きな腕に抱き込まれてしまった。
「離してっ! 離してくださいっ!!」
「離すかっ!! また逃げる気だろうが」
ジタバタと暴れる俺をものともせず、倉田さんはギュッと俺を抱きしめ、
「砂川っ! 奥の部屋、使うぞ! 私が良いっていうまで入ってくるなっ!」
そう言い放つとツカツカと会社の中へと入っていった。
助手席に座る砂川さんからの視線が気になって
「あの、倉田さん……俺、大丈夫ですから」
と小声で声をかけたけれど、
「ここから先は少し道が悪いところが続くから揺れて足が当たって酷くなったら困るだろう?」」
と優しくそう言われたら、それ以上拒むこともできない。
しかもそのままギュッと抱き込まれてしまってもう俺からは倉田さんしか見えなくなってしまった。
だけど、そのおかげか緊張はだんだん治まってきていた。
うん、やっぱり倉田さんの匂いって落ち着くなぁ……。
俺はすっかり車の中にいることも忘れて倉田さんに擦り寄ってしまっていた。
『ん゛んっ』
前から聞こえた大きな咳払いの声に驚いてビクッと身体が震えた。
慌てて倉田さんの腕から抜け出ようとして、倉田さんに優しく背中を撫でられ
『大丈夫だよ』と小声で囁かれる。
「申し訳ありませんが彼の怪我が心配ですのでこのままで失礼します」
倉田さんが砂川さんに向かって声をかけると、『はぁーっ』と大きなため息をつきながらも
『わかりました』と納得してくれたようだ。
そして、砂川さんは倉田さんのことを気にしないことに決めたのか俺に向かって話し始めた。
「藤乃くん、こんな遠い西表にまでわざわざ面接にきてもらって申し訳なかったね。
しかもまさか面接日に船が運休なんて……驚いただろう?」
「はい。ですが、そのおかげで石垣島を観光できましたし、それに西表島で働きたいと思っているので面接とはいえ、西表島に来させていただけてとても嬉しいです」
「そうか、ならよかった。あのね、藤乃くん、もし、うちに入社してくれることが決まったら、この西表で生活してもらうことになるけどその点は大丈夫かな?」
「あ、はい。それはもちろん!」
「いや、それは困るっ!!」
突然倉田さんの大きな声が車の中に響き渡り、俺も砂川さんも、運転をしてくれている人もみんな驚きの表情で倉田さんを見つめた。
「……あの、倉田さん?」
「ああ、いや、その……ずっと東京で暮らしていた藤乃くんが、いきなり西表に生活の拠点を全部移してしまうのは難しいんじゃないかと思って……」
倉田さんが優しさでそう言ってくれるのは嬉しいけど、でもそんなこと言ってたらここの会社には採用されないんじゃないかな。
現に砂川さんは少し眉を顰めている気がする。
「あの、確かに離島って慣れないですけど、住めば都って言いますし……それに第一、西表の美しい自然の中に住んでみたいって思ったから応募したので私は大丈夫です!」
確かに心配なところもあるけど、でもそれが俺の本心だ。
倉田さんの気持ちは嬉しいけど、ここは譲るわけにはいかない。
「ふふっ。藤乃くんの気持ちはよくわかったよ」
砂川さんが嬉しそうに笑って言ってくれた。
「君を採用することにしよう」
「えっ? でも、面接はこれから……」
「これが面接なんだよ。こうやって聞いたほうが人の本心が出るものだろう?」
「じゃあ俺……合格、ですか?」
「ああ。よろしく頼むよ」
後ろを振り向きながら俺に握手を求める砂川さんの笑顔がとても優しそうで俺はすごく嬉しかった。
「はい。よろしくお願いします」
と俺が手を差し出し、砂川さんと握手をしようとすると倉田さんが俺の手をさっと引っ張り
「握手なんかしなくていい」
と少し怒っている様子だった。
「倉田さん、どうしたんですか? 何か怒ってます?」
「私が航のことを怒ったりするわけないだろ。砂川さん、今のご時世、面接者に握手なんて求めたらセクハラと言われても仕方ないですよ」
「えっ? 私はそんなつもりじゃ……」
「じゃあ、握手は必要ないですね」
倉田さんは言質を取ったと言わんばかりに俺の手を握って離そうとしない。
俺の手の感触を楽しむように倉田さんは嬉しそうな笑顔でずっと俺の手を握っていた。
変な車内の雰囲気にどうしようかと思っていると、
「あ、藤乃くん。うちの会社に着いたよ」
と砂川さんが声をかけてくれた。
窓の外を見ると離島にあるとは思えないくらいの大きな規模の会社に驚いた。
それと同時にここで働けるんだと俺は喜びに胸を膨らませていた。
車が止まり、『ちょっと待っててくれ』と言われ俺は扉が片方開けられた車の中で待っていた。
先に降りた砂川さんと倉田さんが何やら話をしている。
狭い島の中だし、2人は元々知り合いなんだろうなと思って見ていると、会社の中から駆け寄ってきた女性社員が倉田さんに向かって、
「社長!! お帰りなさい! 会いたかったわ! やっと会えて嬉しいっ!」
と嬉しそうに倉田さんの腕に抱きついている。
えっ? 何これ? どういうこと??
社長って……倉田さんが社長ってこと??
えっ……確かK.Yリゾートの社長さんは倉橋さんだった気が……
驚いて倉田さんを見ると、『離してくれないか!』と女性社員の腕を振り解きながらなんともバツの悪そうな顔をして俺をみていた。
「あ、あの藤乃くん……き、聞こえてしまったか?」
口ごもりながらそう尋ねてくる倉田さんに俺は小さく頷いた。
だって、言いたいことも聞きたいこともありすぎてなんて言えばいいのかわからなくなってしまったんだ。
「社長! もうちゃんと話したほうがいいですよ!」
砂川さんが必死な顔でそういうと、倉田さんは車の扉の前にしゃがみ込み、俺と目線を合わせながらゆっくりと口を開いた。
「あの、羽田で君の名前を聞いて、君が今回の面接の子だってわかったんだが、君のことをもっと知りたくてその……」
話しにくいのかものすごく口籠もっているけれど、倉田さんは……ああ、いや倉橋さんは、俺が面接の子だってわかったから優しくしてくれていたということか。
社長直々に俺がどんな人間かを見極めるためにずっと一緒にいたってことなんだ。
じゃあ、俺のこと大切だって言ってくれたのは、自分の会社にとって大切だっていうことだったのかな。
なんだ……俺自身を求めてくれてたわけじゃなかったんだ。
俺がこの会社に採用してもいい人物かどうかみていただけなんだ。
そっか……そうだったんだ。
「倉橋社長。よくわかりました。昨日からのことは全て長い長い面接だったというわけなんですね」
さっきまで倉田さんの腕に抱かれてホッとしていた気持ちが一気に冷めていく。
彼の優しさが俺に対するものじゃないってわかったからだ。
それと同時に彼に抱いていた思いが報われないことに気づいてとてつもなく悲しくなってきた。
倉田さんの温もりも優しさもこんなに知ってしまったのに……それが全部違っていたなんて……
「航っ、それは違うっ!」
「何が違うんですか? 離してくださいっ!」
茫然とした顔で俺をみながら縋り付くように俺の手を握ってくる倉田さんに苛立って思わず大声でそう叫んだ。
俺は力をこめて倉田さんの手を振り解き、力任せに反対の扉をあけ無我夢中で外に飛び出た。
ズキっと足首に痛みが走ったけど、そんな痛みより胸の痛みの方が痛くて全然気にならなかった。
走ってその場から立ち去ろうとした俺の後ろから
「航っ!!!」
と大きな叫び声が聞こえたと思ったら、あっという間に捕らえられ倉田さんの大きな腕に抱き込まれてしまった。
「離してっ! 離してくださいっ!!」
「離すかっ!! また逃げる気だろうが」
ジタバタと暴れる俺をものともせず、倉田さんはギュッと俺を抱きしめ、
「砂川っ! 奥の部屋、使うぞ! 私が良いっていうまで入ってくるなっ!」
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