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番外編
デパ地下に行こう!
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<side湊介>
「ねぇ、湊介。帰りにデパート行ってみたい!」
いつものように迎えにいくと俺の顔を見た途端、莉斗がそんなことを言い出した。
「どうしたんだ? いきなり」
「あのね、今日、休憩ルームでお弁当食べてたら、違う部署の子たちが話しているのが聞こえたんだ。前に湊介とフランスに行った時に食べたメルヴェイユのお店が、あそこのデパートで一週間限定で出店してるんだって」
「メルヴェイユ。ああ、あのお菓子、莉斗すっごく気に入ってたもんな。でも、フランスからわざわざ呼ぶってすごいな」
「でしょ? だから行ってみない? せっかくだから他にもデパ地下の惣菜とか買って帰ったら湊介も家に帰ってゆっくりできるよ」
「俺は莉斗に料理作るのは別に苦でもなんでもないけど」
「でも、料理作る時間がなくなったら夜、二人でゆっくりできるよ。湊介、だめ?」
「――っ!! そうか、そうだな。じゃあ、行ってみようか」
「やったぁーっ!! 行こう、行こう!」
やっぱり莉斗には敵わないな。
でもたまには仕事帰りに二人で出かけるのもいいか。
俺はそのままデパートに向けて車を飛ばした。
デパートの地下駐車場に車を止めて、ポップアップストアのある場所に向かうと数人が並んでいたがこの様子ならすぐに買えるだろう。
一週間という短期間なこともあり、この時間に来ても売り切れということはなく味も充実して残っているようだった。
俺たち以外に並んでいるのは全て女性。
突然の俺たちの登場にキャーキャーと声が飛んでいるが、目の前のケースに並んだメルヴェイユに夢中の莉斗は俺たちが注目を浴びていることに全く気づいていない。
「ねぇ、湊介、何味にする?」
「莉斗が食べたいものを全部買って帰ろう」
「えー、湊介もちゃんと食べてくれる?」
「ああ、あの時と同じように莉斗が食べさせてくれたら食べるよ」
「ふふっ。湊介って時々甘えん坊になるよな。いいよ、じゃあ食べさせてあげる」
「俺も莉斗に食べさせてやるよ。指と口、どっちがいい?」
「――っ、そんなのわかってるだろ!」
「ふふっ。本当に俺の莉斗は可愛いな」
『きゃー、今の聞いた? あの二人、めっちゃラブラブ』
『うん、イケメン二人のラブラブ、尊すぎる!』
『いいなぁ、あーんして食べさせ合うなんて』
『しかも指と口、どっちがいいなんてっ! きゃーっ!!』
照れて頬を赤くした莉斗は俺の身体で周りからは見えないようにしたけれど、俺たちの甘々な会話にさすがに近づこうとする奴はいないようだな。
それどころか、俺たちの邪魔にならないように見守ってくれている気さえする。
シナモン、ヘーゼルナッツ、チョコレート、フランボワーズの四種類のメルヴェイユを買えてご機嫌の莉斗を連れて他の店を見にいくが、やはりそこでも俺たちは注目の的。
でも相変わらず莉斗は俺と料理にしか目が向いていないから本当に助かる。
「うーん、どっちにしよう。悩んじゃうな」
「ふふっ。莉斗、いいよ。食べたいもの全部買おうぜ」
「えっ、でも……」
「量り売りなんだから、少しずついろんな種類買えばいいだろ」
「ああ、そっか。湊介、賢い!」
そう言って嬉しそうに選ぶ莉斗を見て、店の人も幸せそうだ。
それはそうだろう。
莉斗みたいな可愛い子が、こんなにも幸せそうに選んでいるんだから。
そのデリの店で莉斗が選んだ無花果と生ハムのサラダとローストビーフ、生春巻きにホタテとエビのグリルを頼むと、注文した量と同じだけおまけだと言って追加してくれてかなり多くなったが、俺なら余裕で食べられるし問題はない。
莉斗が
「ありがとうございます。また来ますね」
とお礼を言うと、そこの店員たちは嬉しそうに笑っていた。
その後その店を見てみると莉斗のおかげか大行列になっていた。
まぁ、あれだけ莉斗が幸せそうに選んでいたんだ。
同じものを買いたいと思っても無理はない。
どうやら莉斗の可愛さが売り上げ貢献に一役買ったみたいだ。
「じゃあ、莉斗。美味しいワインでも買って帰ろうか」
「うん」
それに合うチーズとバゲットを買って車に戻った。
「莉斗、疲れてないか?」
「ううん。湊介と一緒にああ言うところ歩くの滅多にないから楽しかったよ」
「そうか、じゃあまた今度行くか」
「うん。でも……」
「でも?」
「かっこいい湊介はあんまり見せたくないな」
「――っ、莉斗。それって……」
「湊介、キャーキャー言われてただろ? 俺のなのにってちょっと嫉妬しちゃった」
結婚してからは素直に気持ちを口にしてくれることが多くなったけれど、こんなにもあからさまに嫉妬してくれるのは嬉しい。
というか、キャーキャー言われてたのは莉斗の方なんだけど……。
まぁいいか。
「じゃあ、早く莉斗だけのものって証拠見せてもらおうか」
「んんっ!!」
駐車場でさっと唇を奪うと、
「ここじゃいや、早く帰ろう」
と甘えてくれる。
ああ、もう俺の莉斗はいつだって可愛すぎる!
「ねぇ、湊介。帰りにデパート行ってみたい!」
いつものように迎えにいくと俺の顔を見た途端、莉斗がそんなことを言い出した。
「どうしたんだ? いきなり」
「あのね、今日、休憩ルームでお弁当食べてたら、違う部署の子たちが話しているのが聞こえたんだ。前に湊介とフランスに行った時に食べたメルヴェイユのお店が、あそこのデパートで一週間限定で出店してるんだって」
「メルヴェイユ。ああ、あのお菓子、莉斗すっごく気に入ってたもんな。でも、フランスからわざわざ呼ぶってすごいな」
「でしょ? だから行ってみない? せっかくだから他にもデパ地下の惣菜とか買って帰ったら湊介も家に帰ってゆっくりできるよ」
「俺は莉斗に料理作るのは別に苦でもなんでもないけど」
「でも、料理作る時間がなくなったら夜、二人でゆっくりできるよ。湊介、だめ?」
「――っ!! そうか、そうだな。じゃあ、行ってみようか」
「やったぁーっ!! 行こう、行こう!」
やっぱり莉斗には敵わないな。
でもたまには仕事帰りに二人で出かけるのもいいか。
俺はそのままデパートに向けて車を飛ばした。
デパートの地下駐車場に車を止めて、ポップアップストアのある場所に向かうと数人が並んでいたがこの様子ならすぐに買えるだろう。
一週間という短期間なこともあり、この時間に来ても売り切れということはなく味も充実して残っているようだった。
俺たち以外に並んでいるのは全て女性。
突然の俺たちの登場にキャーキャーと声が飛んでいるが、目の前のケースに並んだメルヴェイユに夢中の莉斗は俺たちが注目を浴びていることに全く気づいていない。
「ねぇ、湊介、何味にする?」
「莉斗が食べたいものを全部買って帰ろう」
「えー、湊介もちゃんと食べてくれる?」
「ああ、あの時と同じように莉斗が食べさせてくれたら食べるよ」
「ふふっ。湊介って時々甘えん坊になるよな。いいよ、じゃあ食べさせてあげる」
「俺も莉斗に食べさせてやるよ。指と口、どっちがいい?」
「――っ、そんなのわかってるだろ!」
「ふふっ。本当に俺の莉斗は可愛いな」
『きゃー、今の聞いた? あの二人、めっちゃラブラブ』
『うん、イケメン二人のラブラブ、尊すぎる!』
『いいなぁ、あーんして食べさせ合うなんて』
『しかも指と口、どっちがいいなんてっ! きゃーっ!!』
照れて頬を赤くした莉斗は俺の身体で周りからは見えないようにしたけれど、俺たちの甘々な会話にさすがに近づこうとする奴はいないようだな。
それどころか、俺たちの邪魔にならないように見守ってくれている気さえする。
シナモン、ヘーゼルナッツ、チョコレート、フランボワーズの四種類のメルヴェイユを買えてご機嫌の莉斗を連れて他の店を見にいくが、やはりそこでも俺たちは注目の的。
でも相変わらず莉斗は俺と料理にしか目が向いていないから本当に助かる。
「うーん、どっちにしよう。悩んじゃうな」
「ふふっ。莉斗、いいよ。食べたいもの全部買おうぜ」
「えっ、でも……」
「量り売りなんだから、少しずついろんな種類買えばいいだろ」
「ああ、そっか。湊介、賢い!」
そう言って嬉しそうに選ぶ莉斗を見て、店の人も幸せそうだ。
それはそうだろう。
莉斗みたいな可愛い子が、こんなにも幸せそうに選んでいるんだから。
そのデリの店で莉斗が選んだ無花果と生ハムのサラダとローストビーフ、生春巻きにホタテとエビのグリルを頼むと、注文した量と同じだけおまけだと言って追加してくれてかなり多くなったが、俺なら余裕で食べられるし問題はない。
莉斗が
「ありがとうございます。また来ますね」
とお礼を言うと、そこの店員たちは嬉しそうに笑っていた。
その後その店を見てみると莉斗のおかげか大行列になっていた。
まぁ、あれだけ莉斗が幸せそうに選んでいたんだ。
同じものを買いたいと思っても無理はない。
どうやら莉斗の可愛さが売り上げ貢献に一役買ったみたいだ。
「じゃあ、莉斗。美味しいワインでも買って帰ろうか」
「うん」
それに合うチーズとバゲットを買って車に戻った。
「莉斗、疲れてないか?」
「ううん。湊介と一緒にああ言うところ歩くの滅多にないから楽しかったよ」
「そうか、じゃあまた今度行くか」
「うん。でも……」
「でも?」
「かっこいい湊介はあんまり見せたくないな」
「――っ、莉斗。それって……」
「湊介、キャーキャー言われてただろ? 俺のなのにってちょっと嫉妬しちゃった」
結婚してからは素直に気持ちを口にしてくれることが多くなったけれど、こんなにもあからさまに嫉妬してくれるのは嬉しい。
というか、キャーキャー言われてたのは莉斗の方なんだけど……。
まぁいいか。
「じゃあ、早く莉斗だけのものって証拠見せてもらおうか」
「んんっ!!」
駐車場でさっと唇を奪うと、
「ここじゃいや、早く帰ろう」
と甘えてくれる。
ああ、もう俺の莉斗はいつだって可愛すぎる!
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