恋の織物

四季

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恋の騙し合い 4

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 私が無事に戻って来たので、ダニーはとても安心していた。

 その後は軽くベットで横になった。ダニーはソファーで本を読んでいた。夕食の時間のころ、私達はイブニングドレスに着替えた。普通はお手伝いさんが手伝ってくれるけど私は一人で出来る。あんな男爵の使用人に何も頼みたくない。ダニーが「私が着替えるのを手伝いますよ」と言った。私は「もうダニーのエッチ?」と言うか「それは、素で言っているのですか?」とどっちを言えばいいか迷った。それほどダニーは、普通に聞いてきたから。

 結局回答を悩んだ末に、「私、一人で着替えれます。私は令嬢じゃないから、小さい時から一人で着替えをしていました」と返事を返した。

「そうですか? もし手が必要だったら言って下さい」とダニーがあっさり言った。

ーーどうしてドレスって、こんなに何個もボタンがあるのー!!

 と叫びたい。昔のヨーロッパの女性がメイドに着せ替えしてもらった理由を改めて分かった。ファスナーが欲しい。クレイさんが気を使ってくれたのか、簡単に着れるドレスだったけれど、どうしても背中にある首の辺りのボタンがどうしても出来ない。

ーーう~ん、究極の選択!

「ダニー、あ、あの~、う、後ろのボタンを止めて?」

 バスルームのドアを少し開けて、ダニーに聞いた。

「ええ、もちろんです」

 ダニーが近づき私のドレスのボタンを止めてくれた。その時に髪を束ねてあげてうなじが見えているかも。ダニーの指が首筋に触れて嫌らしい気持ちになり恥ずかしくなる。なんか自分でしていて、エロいと思ってしまうってドキドキが激しくなる。

ーーきゃっ

 今度ははっきりとダニーの指が首すじに触れた。叫び声が出そうになり両手で口元を抑える。

「出来ましたよ。ミーナ、私にあなたの姿を見せて下さい」

ーーなっ、なにその言い方は!!

 なんか、さらにイヤらしく聞こえるのは、私の妄想なのかな? ドキドキは最高値に達している。私の顔が熱を持つ、それを見られないために下を向く。渋々と床を見ながらダニーの方へ振り向く。

「ミーナ、綺麗です。この姿を永遠に絵画にして納めたいです。本当に綺麗です。私はあなたが私の妻になると未だに信じられません。私はこんな綺麗な人を妻に出来て幸運です。どうぞ、私があなたにキスをすることをお許し下さい」

 ドキドキ値が、最高値だと思っていたけど違ったみたい。もう爆発してしまった。どうしてダニーは、こんな台詞を、こんなにセクシーに言ってしまうの? 恋愛値ゼロの私にはどうすればいいか分からないの。

「やはりダメですか?」

ーーそ、そんな顔をされても……。

 大人の男性が、母親に捨てられた顔をするのはかなり反則! どうして? どうして母性本能をくすぐるの?

「え、ええ」

 やっと言葉に出来た。

「あっ、う、う~ん、あ、うん~」

 決して自分がこんな声を出しているなんて、思いたくない。いつものダニーのキスは、軽く触れるだけだったのに。どうして今はこんなに舌を口に入れるの? どうして、イヤ! こ、これは、私の唾液?それともダニーの唾液? 

「あ、う、う~ん。あっ、ふぅぅぅん」

 もう頭がフラフラする。酸素不足。足に力が入らない。

 私は気持ちがよくなって、なぜか下腹部がムズムズし始める。私の本能がダニーを欲しがっている。


「あっ、はあ、ぅん……ぅぅん」

「はあはあはあっ……し、失礼。あまりにもミーナのキスが良すぎたので、かなり自制が出来ませんでした。これ以上こうしていると最後までしたくなるので、お許し下さい。私は、窓辺にて、少し体を冷やして来ます」

 と言って、ダニーがバスルームから出て行った。

ーー一体、私はどうすればいいのだろう……。

 私もこのほっ照りした体を冷やしたい。冷たい風に当たって冷やしたい。

 結局、髪を自分で結ってさっきのキスを忘れるようにしたけれど、ダニーを見たらまたさっきの感触が蘇ってきてしかたなかった。


 夕食の時も、ほとんどダニーが気になって仕方なかった。でも、それで良かったかもしれない。じゃないと、あんな最悪な食事で気分を害しないですんだ。

 夕食会は、男爵の友人達がかなりの数がいたけれど、皆男爵とほとんど同じだ。自慢話オンパレード。
 
 男性達は私をイヤらしい目で見ているし、最悪な人は私がどう複数相手をするかにやにやして聞いてきた。持っていた扇で、嫌らしい目を突っつきたい。
 女性軍はダニーにひっきりなしで話しかけている。娘を妾にすることを諦めていないし。私にもぜひ他の龍騎士との間を取り持ってもらいたいと言ってくる。ここには図々しい人ばかりしかいない。
 最低最悪な夕食会だった。何を食べたなんて覚えていない。
 私とダニーの反応が薄いと、今度はメリエッシに文句やイヤミを言う。メリエッシもニコニコと聞いていて、決してそれに反抗しない。

 私は早く自分の龍屋敷へ帰りたくなった。


 
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