家族ごっこ

ハルノヒ

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母子ごっこ1〜 揺れる3者面談

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「母さん。こっちこっち」
と、手を振る礼央。

「ご、ごめんなさい。よ、余裕を持って、来ようと…思ってた…んだけど」
と、走ってきたのか息切れしながら里穂は言う。

今日は礼央の学校の3者面談。
学校のこの様な行事はいつもは父親の賢一郎が来ていたのだが、今回は都合がつかず里穂が来ることになったのだ。

「大丈夫だよ。まだ前の人終わってないから」
と教室前の廊下に置かれた椅子に座る。

「そう。なら、良かった」
と里穂も礼央の隣の椅子に座ろうとした。

すると、面談していた女子生徒がちょうど出て来て

「松岡くーん次どーぞー」
と言って母親と共に教室を後にした。

「失礼します」と
礼央が教室に入り里穂がその後に続く

「どうぞお座りになって下さい」
と担任の教師はにこやかに向かいの席に座るように促した。


「松岡くんは成績優秀だしクラスの皆とも仲良くやってます。お家ではどんな感じですかね?」
と担任の教師は里穂に聞く。

「は、はい。家でもとても良い子で…お手伝いもよくしてくれて凄く助かってます」
保護者として学校の3者面談に来るのが初めてだった里穂は、どぎまぎしながら答えた。

(●学1年生の男の子の生活態度の説明にしてはちょっと子どもっぽかったかな?)
と自分の発言に少し恥ずかしくなり
(立派なお母さんらしく出来ないな…)
と、しゅんと下を向く里穂。

すると
「あ、わかりますー。僕のお手伝いも松岡くんはよくしてくれて助かってるんですよー」
と担任の教師は明るい口調で笑った。

「神邑先生はちょっと抜けててだらし無いんだよね」
だから世話を焼いてやっているんだと言う礼央に

(え?そんな事先生に言って良いの?)
と焦る里穂だったが

「あははは、そーそー」
と神邑は特に気にした様子もなく笑った。

その様子に里穂はほっとする。

担任の神邑紘人は
短髪で人懐こい笑顔が印象的な青年だった。
男女共に生徒から人気がある明るい人柄なんだそう。

(良かった。この先生話しやすそう)


******

そんな感じで何事もなく進み、
「じゃあ、これで面談は終わります」
と神邑が締めくくる。
里穂と礼央が教室から出ようとすると

「あ、お母さんだけ少し残ってお話伺ってもよろしいですか?」
と神邑は里穂に言った。

「え、はい。わかりました」
と里穂は礼央を見る。

「じゃあ僕、本返却したいからちょっと図書室行ってくるね」
と礼央は教室から出て行った。

(礼央くん抜きで何の話だろう?)
と少々不安になる里穂。

「あー、えーと。お母さんは松岡くんの義理のお母さん…なんですよね?」
と神邑は里穂に聞く。

「え?あ、はい……そうです…けど…」
と礼央が出て行った教室のドアをチラリと見る。

「家での松岡くんはどうですか?」
神邑は里穂の顔をじっと見つめる。

さっきと同じ質問をされている。

「え?あ、それは…さっきも言いましたけど…」

「良い子ですか?」
と神邑は里穂の目を離さずに言う。

「ええ…それは、もちろん」
何故か早鐘がなるように心臓がドキドキとしてきた。

里穂は神邑の方を見て何か答えなければと焦るが言葉が出てこない。


『そんな大きな声出しちゃ駄目でしょ』

『中に、出して…良い?』

こないだの礼央との情事が里穂の頭の中をかすめる。

激しく里穂の中に打ちつける礼央。

義理の息子と乱れる自分…。

「あの…あの…」
里穂は神邑の目を見続ける事ができず、カタカタと震えだし目をキョロキョロとさせ始めた。

「お母さん、どうしました?お母さん?」
神邑は心配そうな声をあげる。

(こんなのお母さんじゃない!!私は…)
里穂は顔を両手で覆い思わず叫びだしそうになる。

「あのっ先生…私…」


すると神邑は里穂を両腕で包み込むように抱き寄せた。

「!?!?!?」
一瞬何が起きたか理解できなかったが、
(こ、これって……抱きしめられてる?)
と状況を理解する里穂。

そしてすぐに顔に熱が集まるのを感じた。
「あ、あの……」

「あれくらいの年齢の子はとてもセンシティブです。何か困った事があったら僕に相談して下さい。お母さん…いや、里穂さん」

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