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第一章 墜落
3 焚火
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「お、前ぇ……どういう、つもりだよ」
体の痛みをこらえながら唸るように言うと、魔王はやっぱり面倒くさそうにこちらを一瞥した。
「別に。凍えるよりは、あたたかいほうがマシだからな」
「焚火の話なんてしてねえわ。いったいここでなにをやってんだ。お仲間はどうした? ってかここはなんなんだよ!」
「北の《魔の森》。昔から、魔力を制限する不思議な力があると言い伝えられてきた地だが、実際来てみると実感するな」
「……なぁにを、ふつーにのんきにしてんだよ……」
リョウマはやっとごそごそと起きあがった。なんとかその場にあぐらをかく。それだけでも、全身の骨や筋肉がぎしぎし言うのがわかった。
(ったく、調子狂うぜ)
がりがりと黒髪を掻きまわす。
つい先ほどまで、お互いのチームを引き連れて全力でぶつかりあっていた相手だというのに、この状況はいったいなんなのか。
自分たち《BLレンジャー》とこの魔王の軍は長年の宿敵同士。常に命を狙われている人類を守るために、自分たちはずっとこいつの魔王軍と戦ってきたのだ。
つい先ほどもそうだった。お互いに激しい必殺技をくりだしてはそれを防御し、跳ね飛ばしたり吹っ飛ばされたりしているうちに、次第にずいぶん遠くまで飛んできてしまったという自覚はあったが。
「魔力が抑えられるって……もしかして、お前もかよ」
「そういうことになるな。使える魔法が極度に少なくなっている」
魔王は自分の手のひらを見つめてぼそっと言った。いちおう不満そうなのだが、さほど失望している風でないのはなぜなのだろう。
「ふうん」
「お前の勇者パワーも同様のはずだ。ウソだと思うなら試してみるがいい」
「いや。その必要はねえよ」
実は目覚めて魔王を見た瞬間に、すぐに心の中で《武神鎧装》と唱えてみたのだ。が、まったく変身はできなかった。勇者パワーがほぼ完全に枯渇している。いや、普通の人間だったらこの凍てつく寒さの中でとっくに凍え死んでいるだろうから、ある程度は残っていると見るべきか。
魔王はちょっと目を細めた。リョウマの表情を観察する目だ。気のせいか、やや口角が上がっている。まさかとは思うが、笑ったのだろうか?
「とは言え。単純に腕力だけで戦うとしても、貴様に劣る私ではないがな」
「はあ!? んなもん、こっちのセリフだっつーの!」
「勝敗はわかりきっている。そもそもこの体格差だ」
「はん! やってみなきゃわかんねえだろうがよー!」
むかついて歯をむき出し、拳を突き出して見せたら、いかにも鬱陶しそうな顔でじろりと睨まれた。
「こんな静かな場所でギャンギャン喚くな。心配は無用だ。貴様とここで力比べをするほど暇ではない」
「んじゃ挑発すんなってばよ……」
がくりと肩を落とす。
「とっとと挑発に乗る方がおかしいと言っている。だからいつまでも『少年』呼ばわりされるのだぞ、少年」
「はああああ!? てめえ、今すぐ勝負つけっかゴルア!」
いま言ったところだろう「挑発するな」と! この男、耳がないのか?
「だから、やかましいと言っている。静まれ少年」
言い捨てると、魔王は向こうをむいて沈黙した。
「むぐぐぐうっ」
納得がいかない。非常にいかない。
体の痛みをこらえながら唸るように言うと、魔王はやっぱり面倒くさそうにこちらを一瞥した。
「別に。凍えるよりは、あたたかいほうがマシだからな」
「焚火の話なんてしてねえわ。いったいここでなにをやってんだ。お仲間はどうした? ってかここはなんなんだよ!」
「北の《魔の森》。昔から、魔力を制限する不思議な力があると言い伝えられてきた地だが、実際来てみると実感するな」
「……なぁにを、ふつーにのんきにしてんだよ……」
リョウマはやっとごそごそと起きあがった。なんとかその場にあぐらをかく。それだけでも、全身の骨や筋肉がぎしぎし言うのがわかった。
(ったく、調子狂うぜ)
がりがりと黒髪を掻きまわす。
つい先ほどまで、お互いのチームを引き連れて全力でぶつかりあっていた相手だというのに、この状況はいったいなんなのか。
自分たち《BLレンジャー》とこの魔王の軍は長年の宿敵同士。常に命を狙われている人類を守るために、自分たちはずっとこいつの魔王軍と戦ってきたのだ。
つい先ほどもそうだった。お互いに激しい必殺技をくりだしてはそれを防御し、跳ね飛ばしたり吹っ飛ばされたりしているうちに、次第にずいぶん遠くまで飛んできてしまったという自覚はあったが。
「魔力が抑えられるって……もしかして、お前もかよ」
「そういうことになるな。使える魔法が極度に少なくなっている」
魔王は自分の手のひらを見つめてぼそっと言った。いちおう不満そうなのだが、さほど失望している風でないのはなぜなのだろう。
「ふうん」
「お前の勇者パワーも同様のはずだ。ウソだと思うなら試してみるがいい」
「いや。その必要はねえよ」
実は目覚めて魔王を見た瞬間に、すぐに心の中で《武神鎧装》と唱えてみたのだ。が、まったく変身はできなかった。勇者パワーがほぼ完全に枯渇している。いや、普通の人間だったらこの凍てつく寒さの中でとっくに凍え死んでいるだろうから、ある程度は残っていると見るべきか。
魔王はちょっと目を細めた。リョウマの表情を観察する目だ。気のせいか、やや口角が上がっている。まさかとは思うが、笑ったのだろうか?
「とは言え。単純に腕力だけで戦うとしても、貴様に劣る私ではないがな」
「はあ!? んなもん、こっちのセリフだっつーの!」
「勝敗はわかりきっている。そもそもこの体格差だ」
「はん! やってみなきゃわかんねえだろうがよー!」
むかついて歯をむき出し、拳を突き出して見せたら、いかにも鬱陶しそうな顔でじろりと睨まれた。
「こんな静かな場所でギャンギャン喚くな。心配は無用だ。貴様とここで力比べをするほど暇ではない」
「んじゃ挑発すんなってばよ……」
がくりと肩を落とす。
「とっとと挑発に乗る方がおかしいと言っている。だからいつまでも『少年』呼ばわりされるのだぞ、少年」
「はああああ!? てめえ、今すぐ勝負つけっかゴルア!」
いま言ったところだろう「挑発するな」と! この男、耳がないのか?
「だから、やかましいと言っている。静まれ少年」
言い捨てると、魔王は向こうをむいて沈黙した。
「むぐぐぐうっ」
納得がいかない。非常にいかない。
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