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第十五章
4 インテス様の夢(2)※
しおりを挟む「あ……んっ、うううっ」
もうすっかり体じゅうが蕩けてしまっているのに、インテス様はまだ許してくださらない。
夜は次第に更けてゆき、今はもうまるい月が中天にあがってしまっている。
「ひやうっ……」
「いいよ、シディ。とてもいい。もう少し続けて」
暗めにされた灯火の明かりに照らされて、インテス様が丸椅子に腰かけ、膝に片ひじをついている。明るい色の瞳がうっとりと熱いものを浮かべて、灯火の色にゆらゆらと照らされている。
その真正面、寝台の上で、シディはインテス様に向かって両足を広げていた。
しっかりと香油で濡らした秘所を、同じように濡らした指で広げて慣らしている。こういうことを求めてくる客もいたから決して初めてというわけではないし、仕事の前には必ずやっておかねばならない作業だったから未経験なわけではないけれど。
(こっ、こんな……こんなの、無理ぃ!)
なんだろうか、この恥ずかしさは。
あんな仕事をしていて羞恥心なんてとっくの昔に犬に食わせてしまったものだと思っていたのに。股間から淫靡な水音をたてながら体の奥の奥まであの方に見られてその場所を広げている自分のことを考えると、もう散りぢりに吹き飛んでしまいたくなる。体じゅうが熱くて、頭の芯まで全部熱くて真っ赤に染まっていく。
ぐぽ、ぐぽといやらしい音をたてて柔らかくなっていくそこを、インテス様は相変わらず楽しげに見つめている。
「あのっ……あの、もう、もうらめえっ」
「ふふ。また舌足らずになった。可愛いよ、シディ」
「うううっ……」
そんなこと、どうでもいい。どうでもいいからこの甘い拷問から早く解放してほしい。
「もっ、もう十分に、なってます、からっ……」
「もう十分? 本当かな」
「ほっ、ほんとうっ……」
半泣きになって見上げると、やっぱり優しい笑みを浮かべた綺麗な男の顔が少し近くに寄ってきていた。
「ちょっと確かめてみようか」
「はあうっ!」
ぬぽ、とそこに太い指が侵入してくる。自分の指を撫でるようにしながらそこに入り込み、内側の襞をゆるゆるとさぐる。
「はっ……ああ、ああんっ」
指先がほんのわずか、好きな場所に触れるたびに腰が跳ねてしまう。寝台に足をつっぱって、知らず腰があがり、何かを求めるように揺れた。
「いや……ああ、インテス、さまあっ」
「なにがいやなんだい」
「も……っ、いやっ……は、はやく……」
「うん。はやく、なんだい」
わかっているくせに、今夜のインテス様はちょっと意地悪だ。そのくせその声はとっくに甘さと熱さを含んでいて、シディの腰に直接響いてくる。
その声がそっと耳に流し込まれると、もう気が遠くなりかける。
「ねえ。教えておくれ。何をもっと早くしてほしいんだい?」
「あっ……!」
言うのと同時にぐりっとイイ場所を押し込まれて目の前が白くなりかけた。あやうく達してしまいそうになって、必死にこらえる。
「ああ。そんなに唇を噛みしめちゃだめだよ。傷になってしまう──」
「ううんっ」
ふわりと口づけをされて、思わず噛んでいた唇をほどかれてしまう。そのまま熱く舌を絡められて、また脳がふわふわとどこかへ飛んで行ってしまいそうになった。
「うう……ん」
離れていきそうになったインテス様の唇を追いかけて、彼の首に両腕を回す。そのまま自分から口づけをねだった。欲したものはすぐに与えられて、上顎の裏を舌先でくすぐられ、「きゅうんっ」とまた変な声が出て腰が揺れた。
気持ちがいい。このままずっとこうしていられたらいいのに。
本当はこんなことをしている場合じゃないのに、いつまでもこの人とこうしていたいと願ってしまう。
自分の中に残ったインテス様の指がいつのまにか増やされている。ゆっくりとそれが自分の中で動き回り、すでに知り尽くされたイイ場所を探っては刺激された。
「んはっ……らめ、あ、ああ……っらめっ」
もう勝手にがくがく腰が揺れている。それに気づいてはいてもやめることができない。
「もう、やっ……やあっ! いんてすさま、はやくぅ……っ」
「ふふ。だから。言ってごらんよ。『なにを』『はやく』欲しいのか」
「はううっ……」
意地悪だ。
ほんっっとうに、イジワルだ!
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