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第六章 帰還
7 蕩ける夜 ※
しおりを挟む「そ、それは──ひゃっ!」
次の瞬間、玻璃はユーリの足をさらに開かせ、間のものをぱくりと咥えこんだ。
淫靡な水音が響くのとともに、堪らない悦楽が背筋から脳髄へ突き抜けた。
「ひゃ、ああっ……だ、だめ……はりっ……!」
じゅぷじゅぷと、玻璃の唇と自分のものが摩擦されて起こる水音が部屋に満ちる。ユーリは思わず玻璃の頭を掴んで、首を横に振りまくった。
「あっ……や、ああっ……あんんっ」
くたりと萎えていたはずのそこは、あっという間に力を取り戻したようだった。玻璃はユーリの裏筋や袋などを唇と舌で巧みに愛撫しながらも、指先で奥の秘所を探っている。ぬめぬめと濡れそぼった指先がその場所を久しぶりに探り当てた瞬間に、ユーリはか細い悲鳴をあげた。
入り口をくるりと撫でられ、そろそろと突き入れられる。久しぶりに訪れた異物の感触だったが、嫌悪感はなかった。むしろ、すでに覚えさせられた悦楽を迸らせるその場所に到達して欲しくて堪らない。
「んんっ……ん」
玻璃の指がゆっくりと何度か抜き挿しされ、やがて増やされていく。指先を器用に曲げて内壁をくすぐられるだけで、ユーリの喉から子猫のような声が漏れ出した。
時折り、思い出したかのように例の場所を指先が掠めていく。
と、ユーリの腰が激しくはねた。
「ふうっ……ん!」
「気持ちよさそうだな。重畳至極」
おずおずと見上げれば、玻璃は非常に満足げにユーリを見下ろしていた。すらっと落ち着いているだけに見える瞳の奥に、確かに小さな炎の影を認めて安堵する。彼もきちんと、この体に反応してくださっているらしい。
ユーリは意識的に彼の前にもっと足を開いて見せた。
「は……やく、いらして下さい。は、り……」
「いや。もう少しほぐしてからとしよう。そなたを些かも傷つけたくはないからな」
「んんっ、でも──」
もう待てない。そうやって指で弄られているだけでも、すぐに二回目を迎えてしまいそうな切羽詰まった危機感がある。あまりこちらばかり何度も先に達してしまうと、あとで玻璃が楽しめなくなってしまうに違いないのに。
「いやぁ……はり」
自分でも驚くぐらい、蕩けて甘えた声が出た。喉も舌もひくついている。だらしなく開けた口から舌を見せつけるように伸ばして、とろりとした目で彼を見上げた。
両腕を彼の首の後ろに回し、両足で腰を挟み込む。腰を浮かせて煽情的に揺らしながら、自分のものより二回りも大きく怒張しきった玻璃の先端に濡れてほぐれた秘所をこすり付けた。
堪え性のない入り口が、玻璃のものに触れて勝手にひくつき、ぱくりと口を開く。
「もう、やっ……。きて、はり……」
「珍しく我がままをおっしゃることだな」
玻璃が、さも苦しそうに微笑んだ。品よく秀でた額に、明らかに忍耐による皺が刻まれている。
(……やっぱりだ)
この方は、自分に無理をさせまいとして、相当我慢してくださっているだけなのだ。これでは前と同じではないか。
ユーリは意識が飛びそうになるのを必死にこらえながら、自分なりに懸命に、できるだけ甘くおねだりをして見せた。
「もう、いいから……。ね? きてぇ……はり。おねがい……」
腰を揺するたび、下方からくぷくぷと淫靡な水音が聞こえてくる。自分のそこと、玻璃の先端が触れ合ってたてる音だ。
く、と玻璃が喉奥で呻いたようだった。
「では──」
すまぬ、とほとんど吐息で言うと、玻璃はユーリの腰を掴み、ぐうっとそこへ踏み込んできた。
「ふあ、あ……!」
ユーリは仰け反って受け止めた。
大きい。熱い。
そこからすぐにも蕩けてしまいそうだ。
このままどちらの体も溶けて交じり合って、ひとつになってしまえたらいいのに。もう二度と、別れることもできぬほど。
宇宙から来た恐るべき生き物にも、死神という名の運命にも、この人を奪われずに済むように。
凄まじい圧力で内臓を押し広げられ、つい息が詰まる。
だめだ。
息はゆっくりと吐いて逃がしてやらねば。
「ふ、は……はあ……あ」
両足がびくびくと痙攣する。
自分の尻は玻璃の大きな掌にすっぽりと包まれてしまうほどだ。この人に抱かれていると、なんだか子供になってしまったみたいな気がする。本当はこれでも、れっきとした大人の男子だというのに。
すでにいっぱいになったと思った状態でも、玻璃はまだ半分も踏み込んできていない。そのことは分かっていた。
「大丈夫か? ユーリ……」
心配そうに訊ねてくれる声も、いかにも苦しそうだ。まだ自分のそこが、さぞや狭いのだろうと思われる。
「は……い。いいから……だから」
言って、ユーリは全身を震わせながらおずおずと玻璃の顔を引き寄せた。
そっとその唇に口づけをする。すぐに絡められてきた舌を、愛情をこめて愛撫した。
唇を離して真正面からじっと彼の瞳を覗き込む。
「もっと、きて……はり」
微笑みながら懇願する。
「いっぱい、いっぱい、僕を突いて。いっぱい、気持ちよくして。……君も、いっぱい気持ちよくなって……」
「お願い、はり」と言い終わるか終わらぬうちのことだった。
腰を掴んだ玻璃の手に、一層の力がこもり、玻璃が一気に腰を進めてきた。
「んううっ……ああ!」
激しい抽挿が始まって、ユーリの意識はあっという間に輪郭を失った。
炎天下の路上に撒いた水ほどの性根もありはしなかった。
自分では、もはや何を叫んでいたかも定かではない。
玻璃が達する前に、ユーリだけが恐らく何度も絶頂を迎えさせられたようだったが、それもはっきりとは分からなかった。
玻璃の腰に跨って、自分で身をくねらせ、腰を振って、悦い場所へと打ち付ける。
今度は彼に子供に小水をさせるときのように膝裏を抱えあげられて突き上げられる──。
「あっ……はあ……」
やがて二人で同時に果てるころには、ユーリの意識は呆気なくはじけ飛んだ。
最後はどうにか、それを認識できただけだった。
彼の体に四肢ですがりついたまま、背中がやわらかな寝床へと、ゆっくりと沈んでいくのを。
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