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第九章 反撃
9 喘ぎ ※
しおりを挟む「ふあ……あん、あはあんっ……いやあ……っ」
そこからの「準備」には、かなり時間がかかった。
しかしシンケルスはなかなか納得してくれなかった。
ストゥルトの喉は嬌声のあげすぎですっかり掠れかかっている。
「や、もう……やらあっ。いれ、いれ、てええっ……」
ひいひい泣きながら懇願するのも何回目だろう。
その上、内側を時々擦られてしまったことで、ストゥルトだけがあれから二度ほど達することになってしまった。
もう腰にもどこにも力なんて入らない。全身がぐずぐずに崩れて溶けてしまいそうである。
今やストゥルトはすっかりシンケルスの前に両足を広げきって、何もかもを男に見られる格好になっていた。
胸は激しく上下し、あれからいったいどれほど時間がたったのかもわからない。
それでようやく、男はストゥルトの中から指を引き抜いてくれた。
「……そろそろいいか。大丈夫か? ストゥルト」
「ん、んん……」
もうほとんど意識が混濁してわけがわからなくなっていたが、ストゥルトはぼんやりと顎を上下させた。おむつを替えてもらう赤ん坊みたいな格好で、まったく間抜けとしか言いようがない。
シンケルスはへろへろの泥人形みたいになっているストゥルトの体をまたうつぶせにしたようだった。腰を少し上げさせられる。
すっかりほぐれきってぴくぴく蠢いている入り口に、ぴたりと熱くて硬いものがあてがわれる感覚。
「では……挿れるぞ」
「ふぐ……っ! あ、うああ……!」
途端、めりめりと音を立てて凄まじく熱い楔が自分の中に侵入してきた。
「くうう……っ」
「息を止めるな。ゆっくり吐くんだ」
「ふ、ふはあ……あ」
そう言われても、「はいそうですか」と即座にできたら苦労はしない。
凄まじい圧迫感。内臓が男のそれによって押しのけられ、蹂躙されて勝手に悲鳴を上げてしまう。
性奴隷の少年たちも、みんなこんな体験をしていたのだろうか?
もちろんそうだろう。
だが自分は、勝手気ままに好きなように彼らの身体を蹂躙していたではないか──。
「んあ……ああ……っ」
「力を抜け。ゆっくり息をして、そう……吐いて」
そんな風に何度言われても難しかった。でもシンケルスの態度は過去の自分とはまるで違った。
自分は「性奴隷として当然のことだから」と言わんばかり、好き勝手に奴隷を突いて突きまくっていただけだったのに。
男の声も手もひどく優しい。ストゥルトの頭や肩を撫で、あるいは口づけを落とし、何度も「大丈夫か」「やっぱりやめておくか」と訊いてくれている。
ストゥルトはそのたびに「大丈夫だ」「ぜったいやめるな」「やめたら怒る、許さない」と言い続けた。半分、というかもう完全に泣いているくせに、ぼろぼろと勝手に涙がこぼれているくせに、言葉だけは絶対に屈しない。ここまで来たらもはや意地だった。
「くあ……あっ!」
最後にとうとう、尻に男の腰が密着した感覚がきて、シンケルスの吐息が聞こえた。
(はい……った……?)
涙の零れる目で後ろを見る。覆いかぶさっている男がやっぱり心配そうな目でこちらを見ている。
「大丈夫か……?」
少し声が苦しそうだ。そして、秘めようとはしているが明らかに快楽を覚えているのがわかる。ストゥルトの体内の粘膜を、男の楔が味わっているのがわかる。
圧迫感と痛みに翻弄されつつも、それにひたすらワクワクする。
感じてくれている。この男が、自分の体の中で感じてくれている……!
ストゥルトは短く喘ぎながら、男とつながったその部分に無意識にきゅん、と力を入れてしまった。
く、と男が奥歯を噛む声がした。
「……あまり絞めるな」
「気持ちいいか……? シンケルス。私の、中は」
「……ああ」
答えた低い声はゆらめく欲望を纏っている。少し甘く掠れて、ひどく艶めいて聞こえた。
(よかった……)
ほう、と息をついたところで腰の両側を掴まれた。
「あふっ」
「動いても構わないか」
「……うう」
否とも応ともとれるような曖昧な声しか出ない。
「申し訳ないが、そろそろ限界だ」
「く、ふふっ……」
思わず笑ってしまう。ずいぶん余裕があるものだ。なにしろこの男、ストゥルトが何度も達しているうちのたった一回しか精を放っていないのだから。
さすがは私の近衛隊長、とバカなことを考える。
「いいとも。言っただろう? 思うさま私を啼かせろ、と」
喘ぎながらそう答えた途端、腹の中におさまったモノがさらにぐん、と力と体積を増した。
「あ……っ!」
ストゥルトが喉をあげ、背中を弓なりに反らしたのが合図だった。
男はそこから、最初こそはゆっくりと腰を動かし、そして次第に激しい抽挿へと移行した。
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