愚帝転生 ~性奴隷になった皇帝、恋に堕ちる~

るなかふぇ

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第九章 反撃

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「ふっ……ん、んんっ……シン、ケルスっ……」
「なんだ」
「むねっ……。むね、舐めてえっ」

 精いっぱい胸をそらして、ストゥルトはその先でちんまりと欲望を主張している尖ったものを男の胸にこすりつけた。
 男はふっと目を細めると、望んだとおりにしてくれた。ストゥルトの胸元に頭を沈め、すでにいやらしく尖って物欲しげに揺れているそれをべろりと舐めてくれたのだ。
 そのままそこを吸い、軽く甘噛みしてくれる。
 ぴりぴりした快感が背中を貫き、そのまま腰に集中していく。

「あひっ……んう、あんんっ……!」

 腰のそれは今にも爆発しそうだ。男の手の動きに合わせて腰を上下させ、まるで女のようにひんひん啼き続ける。

「やっ……イっく、イくうっ……!」

 言ったとたんに激しい奔流が体の中心を突き抜けた。
 びくびくっと体を丸まらせて男の体にしがみつく。少し遅れて男のものも精を吐き出した。どちらのものもねっとりとして多い。男の精の特有のにおいが充満する。

「ふあ……はあ、はあ……」

 シンケルスの肩にひっかかるみたいになって激しく肩を上下させるだけのストゥルトを、男はまた軽々と抱えて寝台に横にならせた。今度は仰向けだ。

「もう少し準備しよう。まだ足りない」
「え……も、いいよ……」

 荒い息を繰り返しながら、うっすらと目を開けて抗議した。
 第一、そんなにゆっくりしている時間はないはずだ。自分が眠ってからどれほど時間がたったのか知らないが、明日もまたすぐ次の作戦に赴かなくてはならないはず。自分のことは多少大目に見てもらえるかもしれないが、シンケルスはそうはいかないだろう。

「はやく、れてくれよ……」
「しかし」
「だってさ。レシェントが来ちゃったりしたらイヤだろ、途中で」
「それはそうだが。もう少しだけでも準備しないと、傷をつけるぞ」

 そんなに大きいのか? この男のものは。
 そうは思ったが、まあ確かに自分のに比べればひと回り以上大きいことは確認済みだ。

「それに、あいつは途中で入ってくることはない。そこは《アリス》が事前に止めるはずだからな」
「へ?《アリス》……?」

 なんだそれは。唐突に思いもよらぬ名前が出てきて、なんだか嫌な予感がした。

「個室内の事情については、《アリス》はすべて把握している。部屋のあるじにとって都合が悪い状況だと判断すれば、扉の前で客の足止めをするのも《アリス》の仕事だ」
「えええっ……? じゃ、じゃあこれって、まさか《アリス》には見られてるのか? 全部?」
「そうだが?」
 シンケルスは片眉を上げて不思議そうな顔をした。
「当然だろう。この船自体が《アリス》そのものなんだから」
「えええええ!!」

 ストゥルトはがばっと跳ね起きた。
「それを早く言え! バカか。アホなのかよお前はぁ!」
 シンケルスはますます変な顔になった。
「……いや。当然知っているものだと思っていた」
「そんなわけないだろうがあっ!」

 まったくもう。
 古代人を舐めるなよ!

「というか、そもそも《アリス》には人間のような感情があるわけじゃない。あれは機械だ。乗員のプライベートを他の者に勝手に開示することはまずない。まあ、よほどの事情……つまり、法に抵触するような真似をしていなければの話だがな。だからなにも心配は要らん」
「そっ……そういう問題じゃなーい!」

 ストゥルトは叫びながら、思わずすぺーんとシンケルスの頭頂部に手刀をたたき落としていた。

(なにが『なにも心配は要らない』だよ。このバカが!)

 シンケルスが一瞬片目をつぶり、しかめっ面になる。
 やや恨めしげな目で睨まれた。

「ならどういう問題なんだ。今回はここで諦めるのか?」
「……う」

 それはいやだ。正直、いやだ。
 前回もなんだかんだで途中までしかできなかった。
 今回はなんだか嫌な予感もするし、ちゃんと最後までやりたい。やりたいのだ、自分だって!
 ストゥルトはむうう、としばらく頬を膨らませてシンケルスを睨みつけていたが、ふと思い立って天井を見上げた。

「《アリス》。なあ《アリス》!」
《はい。なんでしょうか、ストゥルト様》

 案の定、すぐにいつもの平板な女性の声が答えた。普段通りの、まるきり何事もなかったかのような声だ。

「今だけ、この部屋のことは見るな。音も聞くな。別にいいだろう? そのぐらい!」
 シンケルスが「ああ、なるほど」と言わんばかりの目になってあとを続けた。
「法に背くような真似はしない。約束する。それなら構わないだろう?《アリス》」
《構いませんが、制限時間を設けさせてくださいませ。お時間はいつまででしょうか》
「そうだな……あと百二十分。構わないか」
《了解しました。では以降百二十分間、こちらの映像と音声を感知することを中断します。ただし、記録は行わせていただきます。これは船内規則ですので》
「ああ。わかってる」

(いや、ちょっと待て)

 ストゥルトは完全に半眼になった。
 ということはここに至るまでの「映像と音声」はちゃっかり記録されているのか!
 アホか。アホなのか、こいつらは!

(いい加減にしろ、大バカ野郎!)

 だがストゥルトには心の中で、ありとあらゆる悪口雑言を並べ立てる以外、なにができようはずもなかった。

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