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第一章 ひめごと
3 ※
しおりを挟むぐぷり、ちゅぷりとねばった水音が耳を犯す。
「はあ……あはっ」
アジュールの指がそこを何度も出入りしてほぐしていくのを、フランはだらしなく口を開け、されるがままになって変な声ばかり上げ続けた。
アジュールの指が一番奥をずん、と突き、入り口側の腹側をぐりっと押す。何度か同じようなことを繰り返されているうちに、とある場所だけ不思議な感覚をもたらすことに気が付いた。
「あんっ! あ……!」
びくびくっと腰を跳ねさせると、アジュールが人の足の間でにやりと笑った。
「ここがイイみたいだな。もうちょっと待て」
「あ、……あ」
さすさすと柔らかくそこを指先で撫でられるだけで、堪らない何かが腰の中でまたのたうった。
と、ぬちゅ、と濡れた柔らかい肉がそこに侵入してきた。
「あうっ?」
びっくりして顔を上げると、兄が自分の股間のところに顔を埋めているのが見えた。ぺちゃぺちゃと、そんなところを舐めている。尖らせた舌の先端がその場所にぬるりと這いこんできた。
「あっ……あ、ダメ! そんなとこ……アジュっ……!」
「なにがダメなんだ」
べろりと入り口を舐めてから、アジュールは顔を上げた。フランの太腿の間からこちらを見上げてにやにやしている。
「お前のここは、もうとっくに性器なんだぞ」
「せ、せい……?」
「そうだ。わからないか? こんな次々に甘ったるい、いやらしい汁を溢れさせているくせに」
言ってアジュールは指先で少し入り口を拭うようにして、その指をこちらへ差し出して来た。単なる唾液とは違う、爽やかで甘い香りのする液体で、その指先は濡れていた。
「もうこんなに濡れて、欲しがってるぞ。どろどろだ。AIの言った通りだな」
「ほし、が……? ど、どういうこと──」
そうされている間もずっと、自分の根本は兄の手で戒められたままだ。そこで暴れ狂っているもののために、フランの思考は今にも飛びそうになっている。
アジュールは上体をぐっとこちらに寄せてくると、フランの胸の先っぽをまたねっとりと舐め始めた。ちゅうっと吸い上げ、ときどき軽く歯を立てる。舌先でぐりぐりと押しつぶす。
「あ、あ……」
そうされるのはくすぐったかったけれど、ただくすぐったいだけではなくなってきていた。腰の根元で堰き止められている欲望の蛇が、また幾重にもとぐろを増やしていく。
たまらない。もう、我慢できない。
「や……っ、アジュール……も、もう、やっ! は、放して──」
掠れた声で懇願し、大きく足を開かされたまま必死で腰をくねらせると、アジュールの瞳は満足げに鋭く光った。
「ダメだと言ったろ。……だが、まあそろそろ挿れるかな」
言った途端、アジュールはぐいとフランの腰を掴みなおした。その手がいつの間にか変形している。刃物にはなっていないが、普通のサイズの何倍にもなっていて、片手でフランの腰を支える形になっていた。
やがて先ほどまで指を突き入れられていた場所に、燃えるように熱いものがぐっとその先端を押し付けてきたのがわかった。
「ア、アジュ……?」
びっくりして目を瞬いたのと、彼の熱棒がフランのそこを貫いたのは同時だった。
「あっ……あ、あああ……っ!」
眼前がちかちかした。
指とは比べものにならない質量と、熱量。
それが自分の内部にぐいぐいと侵入して、びくんびくんと脈打った。
「ひあ……ぅ、やああっ……!」
フランは叫んだ。
腰の中の嵐が、今にも脳天を吹き飛ばしそうだ。
出したい。出して、楽になってしまいたい──。
が、兄は決してそれを許してはくれなかった。
変形した腕の一部がフランの前のものに絡みつき、先ほどよりもずっと強烈な戒めになってそれを阻んでいる。フランのそれは幾重にも締め付けられて赤紫色になって見えた。
と、次の瞬間にはもう、激しい抽挿が始まっていた。
「やあっ……あひいっ! や、やあ、ああああっ……!」
部屋の中に、激しく肉がぶつかり合う音と淫靡な水音が響き渡る。
あとは子供が泣くような、猫の子が叫ぶような甘ったるい変な声がしていた。
それが自分の出している声だと気づくか気づかないかのうちに、フランは再び電撃のような感覚に襲われていた。
「あっ……あ、ああっ……あうん、あんっ……!」
アジュールが巧みにあの場所を突いている。
(やだ……イヤッ。へ、変に、なっちゃ……!)
「や、アジュっ……あ、あうっ……あん、アジュ、る……あんんっ……!」
悲しいためではない涙がぼろぼろ溢れ、赤ん坊みたいにひいひい泣きながら兄の名だけを叫ぶ。
激しい突き上げで、何度揺さぶられたのかもう分からなかった。
やがてとうとう、一層激しく尻への突き上げが始まって、フランの意識は白濁し始めた。
「く……っ」
自分の中に、なにか熱いものがぶちまけられる感覚があり、兄のそれが自分の中でびくびくっと震えるのを感じた。
と同時に、ずっと戒められていたそこが緩められた。
「あ……あ、ああ……っ」
フランは背中を丸め、膝と足の指をぎゅっと曲げた。
腰の中でのたうち回っていたあの堪え性のない蛇が、凄まじい勢いで放出されていくのを感じた。
「あ……あ」
とんでもない絶頂感。
こんなのは初めてだった。
ひくひくと体全体で痙攣しているフランを、ふううっと息をついた兄が上から覆いかぶさって抱きしめてきた。
彼のものが、まだ自分の中にいる。
「フラン……? どうした」
「ん……」
それにはもう、答えられなかった。
全身が気怠い。ただただ眠かった。
フランはそのまま、兄の腕のなかでふつりと意識を飛ばしてしまった。
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