血と渇望のルフラン 外伝《人狼の恋》

るなかふぇ

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第四章 はじめてのよる

8 抱擁 ※

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 凌牙が「ちょっと動いてもいいか」って言ったのは、そこからたっぷり五分も経ってからのことだった。どんな耐久力なんだよ。
 そのころには俺の体も、自分の中にいる凌牙の熱と質量にだいぶ慣れてきたようだった。
 それにしても、凌牙は苦しくないんだろうか。そんなわけないよな。

「……いいぜ。動けよ。でも、ゆっくりな」

 首をひねってそう言うと、凌牙の手が伸びてきて俺の頬を撫でた。
 次の瞬間。ズッ、と凌牙のそれが引き抜かれ、比較的ゆっくりめの抽挿が始まった。

「あ、あ……あっ」

 俺の内壁に凌牙のそれが擦れる。ぐちゅぐちゅと水音が響き、あまりのいやらしさに耳まで犯されている気分になる。
 熱い。めちゃくちゃ熱い。
 息があがる。苦しくなる。でも、やめて欲しいとは思わなかった。

「りょ、が……っ、や、ああっ……」
 途端、凌牙がぴたりと止まった。
「どうした。やめるか」
 俺はぶんぶん首を横に振る。
「や、やだっ。やめ、んなあ……っ」
「……そか」
 凌牙の声が少し嬉しそうになる。
「なあ。こっち向かせてもいいか」
「え……」
「顔、見てやりてえ。いいだろ?」
「え、えーっと……」

 それはなんか、かなりこっずかしいような。今の俺、だいぶ恥ずかしい顔になってるに決まってるし。AVなんてあまりまともに見たことはないんだけど、友達の家なんかでちらっと見せられたことぐらいある。きっと俺の顔、あの女優さんたちみたいなアヘ顔になっちゃってると思うし。

「……やだ」
「なんでよ。いいじゃん」
 言って凌牙は、あっというまに俺の体を仰向けにした。
「おいいっ!?」
 そのまま、ふたたびぐいと俺の両足を広げさせて、内奥に踏みこんでくる。ぐぷぷっと内臓がまた押しのけられる感覚に息がつまる。

「ふう……っ」
「いいぜ。めちゃくちゃいい、お前ん中。ちっとせめえが」
「そ……か?」
 そう言われても、もういっぱいいっぱいだ。これ以上緩めるなんて絶対ぜってえ無理。
「でも、そこがいい。締め付けてんのに、ひくひく絡みついてきやがるし。すげえエロいな」
「う、うっせえ……っ」

 息も絶えだえに言って睨むと、ぐいと深い口づけを落とされた。俺もその入ってきた舌になんとか応えようとした。
 キス、めちゃくちゃ気持ちいい。さすが凌牙は巧いし。
「ん……っ」
 上も下も、同時に凌牙に犯されているみてえ。俺の中が全部、凌牙のものになっていく。
 俺はいつのまにか、両足を凌牙の腰にからめていた。
「お。逃がさねえってか」
 凌牙が俺の唇を舐めながら笑う。
「そ……っじゃ、ね……っ」
 俺はもう、ほとんどまともな言葉も紡げない。
 と、凌牙がまた腰を引いて、パンッと音が鳴るぐらい奥まで突きあげてきた。
「はうっ……!」
 背筋をまた電撃が突き抜ける。それが脳天に達して、視界が一瞬白くなる。
 ゆっくりとそれを繰り返して、凌牙は次第に腰の動きを早めていく。
「あっ、あ、あっ……あ!」

 ときどきごりゅっと例の場所を突かれると、また堪え性のない腰の中の欲望があっさりと飛び出していきそうになって必死にえた。
 凌牙はそれがわかっているのか、あまり何度もそこは突かない。
 激しく揺さぶられ、安物のベッドが背中の下でギシギシいいまくっている。
 小さな部屋に、互いの肉がぶつかり合う音と淫靡な水音が響きまくる。

「あっ……あ、あ、そこ……ぅ、りょっ……!」
「ここだろ? 分かってるが、ちょっと待て」
「ううんっ……!」

 俺の腰はもうすっかり宙に浮いていて、凌牙が攻め立てるままに任している。
 なんだかもう、自分が何を叫んでいるのかわからなかった。
 そのとき部屋に響いていた甘くかすれた嬌声が自分のものなんだって気づいたのは、もっと後のことだった。

 ただ、熱い。気持ちいい。
 もっと突いて。そこをもっと。
 そんなことしか考えられない。

「あっ……や、そこっ……あ、りょうがっ……!」
「よし。そろそろ突くぜ」
「あ、あああ────っ!」

 今までだって十分早かったのに、そこからさらに凌牙は速度をあげた。
 今度は俺のその場所を集中して攻められる。
 ピンポイントすぎてついて行けない。耐えられない。こんなの刺激が強すぎる。
 実際、もうだめだった。すぐに限界がやってきた。
 俺はみっともなく甘い声を上げまくって、きっと泣きまくって、凌牙の背中にしがみついた。

「やっ、あ、ああっ……あ、い、イく……イくうっ……!」
「ん、イけ!」
「ひい……ッ!」
 
 ぺんっと尻をはたかれて、俺は達した。
 と同時に、俺の中の凌牙がグンと体積を増して、ぶわっと奥に熱を感じた。

「あ……は」

 ぐたっとベッドに体を沈めたら、凌牙も覆いかぶさってきた。
 重い。でも、とても幸せな重さだった。

「りょ……、が……」

 俺はおずおずと凌牙の背中に腕を回して、しっかりと抱きしめた。
 そこまでだった。
 俺の意識は、ふっと遠ざかっていった。
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