ハーゲンの逆襲【生え際の型】~カリスマヘアーで最強に至れるかもしれないがそこは目指さない男~ ※本人談あれは薄毛だった

復活のおたけさん

文字の大きさ
上 下
4 / 10

レベルアップ

しおりを挟む

「お。レベルが上がってるじゃないか」

 もう何度階段を降りたのだろうか。4回? これで5回目だっただろうか。あまり考えずにここまで来てしまった。

 やれやれ。少し興奮し過ぎていたようだ。

 途中で何となく体が軽くなったような気がしていた俺は、階段を降りながらステータスの確認をしてみた。走りながらでは集中できないし、モンスターの対処を優先させるのは当たり前だった。


 レベルは8から10に、ユニークスキルのカリスマヘアーは、1から2になっていた。

 ステータスの項目は変わらずに『並』のままだが、体が軽く感じる程には身体能力は上がっているようだ。幸運も『低』のまま。それはいい。良くはないけど、仕方ない。

 これが早いのか普通なのから分からないが、上がってるって事は素直に喜べた。増えていたから。

 カリスマヘアーのレベルが上がった事により、

『生活魔法 開放』と表示されていた。

 種火を着けたり、少量の水を出したり、薄明かりを灯したり、軽く身体を綺麗にしたりする魔法の様だ。


 レベルを上げて行けば、こうやって何かのスキルが開放されて行くという事だろう。

 カリスマヘアーとの関連性は理解できないが、悪いものではない。俺にはとっては便利になって行くのだろうから、まだまだ開放させて行きたいと思った。



 階段を降りると、そこには岩場のフィールドが広がっていた。

 何となくではあるが、これまでとは雰囲気が変わったのが分かる。本来ならど素人で初めてのチャレンジで、しかもたった1人でここまで来るような事はないのかもしれないが、

『数日間無敵で飲み食い要らず』なのだからまだまだ止めるつもりはない。恐らく1日くらいは経っているのかもしれない。だが、数日と言われているのならまだ大丈夫なはず。

 2日でも数日と言えるかもしれないが、最低でも3日はもってくれると信じている。何の根拠もないが。


「おらっ!」

 ドガッ

 レベルが上がって確実に身体能力も上がっている。それをこんな中途半端な所で止めたくない。それが本音だったりする。

 武器も、途中で回収できた棍棒や錆びた剣なんかを使っていたりする。力任せに叩き付ける方法は変わっていないが。


 モンスターも最初に比べれば手応えが有り過ぎるものにはなっていた。

 スライムに始まり、昆虫を大きくしたようなモンスター、そして二足歩行で人型のゴブリンなるものまで登場するようになっていた。


 初めて見た時には何かと思う所があったのだろう。若干の躊躇ためらいを見せていたようだが、無敵期間を無駄にする訳にもいかないからだろう。直ぐに意を決して飛び掛かって行っていた。

 やれば出来る。やらなければ出来ない。何事も。

 独特で嫌~な感触や、罪悪感や背徳感などの感情も湧いたのだろうが、相手がモンスターである事、醜い風貌と虚列な悪臭を放つ存在でもあった事で吹っ切れたと思われる。

 最初の魔石を回収するのには少しも時間が掛かったが、それ以降はこれまで通りの動きを見せていた。


 数が多くなってきた所で所詮は只のゴブリン。多少の攻撃は食らったが、やられたらやり返すの精神で暴れ回った。

 不死でダメージの入らない存在。それが今のスインだ。


 モンスターに恐怖心なるものがあるのかは分からないが、ゴブリンが人型だからかもしれないが、少し戸惑っていたようにも見えたかもしれない。

 これがもう少し下の階層であれば、役付きのゴブリンも居たりして脅威度も増すのだが、そういう意味では助かっていたのはスインの方だったのかもしれない。

 だが、そうではあっても四方から襲い掛かるゴブリンの群れを、たった1人で迎え撃つ青年。大した武器を装備するでもなく、魔法による攻撃があるでもなく、只々手に持った得物で殴り掛かってくる狂った人間。

 そんな感覚だったのかもしれない。


 疲れもなく、1人だから仲間を気にする事もない。だから散々やりたい放題に暴れ回ってもなんとかなった。近くに他の冒険者が居なかった事も良かったのかもしれない。そんな光景を見られていたら、……

 あまり良くない噂が流れてしまう事になったであろうから。


 レベルも上がり、更に身体能力が上がって行った事により、徐々にどころか、直ぐに慣れてしまっていた。これも若さ故。初体験の刺激も恐ろしい。


 そして次へ。会敵即殴打。これの繰り返しだった。


 そんな時だった。『宝箱』なる物を見付けたのは。

 つい、興奮してしまい、流れで勢いに乗ってしまい、鑑定で安全を確認する事もなく、無敵状態なんだから何が仕掛けられてても大丈夫だろう。まだ階層も浅いはずだし。

 なんて軽い気持ちで近付き、そのまま蓋を開けてしまった。

 かぱっ

 ガコン

「っ!!」


 浅はかだった。元おっさん、ショック。反省します。

 そう思った時には既に落とし穴の中。

 中と言っても、延々と続く滑り台のような感覚だけが伝わってくる暗闇の中。風の音と、尻、背中を中心にして滑って行っているのが分かるだけだった。


「やっちまったか。ははは、……」


 冷静に言ったつもりだが、散々、ぎゃーーっ! やら、う、うわああぁぁ~~! やら叫び声倒した後の事だった。

 それ程長いスロープを下って行った。強制的に。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

処理中です...