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プロローグ
~境界をくぐるとき~
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夕暮れ時の橋を渡るときとか、列車で長いトンネルに入るときとか。
きんっ、と耳の奥に鍵をかけられたような音がして、少しの頭痛とともにふわっと身体が浮き上がるような感覚に襲われたことはないだろうか。
なんだか自分が自分ではないような、それまでいた時空からぽんっと放り出されて漂うかのような、不思議な感じ。
わたしは、こどもの頃からずっとそうだった。
橋を渡りきったりトンネルを抜けたりした瞬間に、何事もなかったかのようにそれらの感覚は消え失せてしまう。
でも。
でも、その世界は「さっきまでの世界」とほんとうに同じなのだろうか――?
大人になったいまでも、橋を渡るたびトンネルを抜けるたび、繰り返しそんなことを考えてしまう。
それが「境界」だったことに気付くのは、わたしが大人になってしばらく経った頃のこと。
そしてそこには、必ずといっていいほど得体のしれないモノたちの影があることも。
人はそれを「あやかし」と呼ぶのだということも。
これは、そんな怪異と不思議にとっぷり付き合う羽目になった、わたしのお話。
きんっ、と耳の奥に鍵をかけられたような音がして、少しの頭痛とともにふわっと身体が浮き上がるような感覚に襲われたことはないだろうか。
なんだか自分が自分ではないような、それまでいた時空からぽんっと放り出されて漂うかのような、不思議な感じ。
わたしは、こどもの頃からずっとそうだった。
橋を渡りきったりトンネルを抜けたりした瞬間に、何事もなかったかのようにそれらの感覚は消え失せてしまう。
でも。
でも、その世界は「さっきまでの世界」とほんとうに同じなのだろうか――?
大人になったいまでも、橋を渡るたびトンネルを抜けるたび、繰り返しそんなことを考えてしまう。
それが「境界」だったことに気付くのは、わたしが大人になってしばらく経った頃のこと。
そしてそこには、必ずといっていいほど得体のしれないモノたちの影があることも。
人はそれを「あやかし」と呼ぶのだということも。
これは、そんな怪異と不思議にとっぷり付き合う羽目になった、わたしのお話。
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