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僕達の始まりと終わり。

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ある日の放課後いつも通り一人で帰ろうと下駄箱を開けるとスルッと1枚の紙が出てきた
「手紙?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

          空野蒼くんへ


       放課後に体育館裏で待ってます
            
                     結愛より

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 おいおい、結愛って学年で一番かわいいって言われてる子じゃないか?

 でもなんでそんな子が僕なんかに、?

 しかもこの感じ告白じゃないか!?

 いやいや待て違ってたらすごく恥ずかしい。

 戸惑いを隠せず一旦落ち着こうと教室に入ろうとしたとき、なにか声がする。なんだ?と不思議に思い少し除いてみる。

 そこには結愛と3人くらいの人がいた。

「結愛ちゃんと告白しなよー?」

「ほんとにするのー?マジでキモいんだけど」

「ゲームで負けたんだからちゃんとしなよー」

 ゲーム?ああ、そういうことか罰ゲームの告白なんだな。

 瞬時に自分の立場を理解した

「わかってるけど相手誰だっけ?w」

「名前くらい覚えてあげなよーw陰キャ過ぎて覚えられないのもわかるけどさ」

 名前すら覚えてもらえてないのか。悲しい気持ちに包まれながら、ある一つの悪巧みが頭の中に浮いてきた。

「1ヶ月ね付き合ったら別れてもいいからさ!」

「わかったよーw」

 一ヶ月後、時間はあるな。

 僕は本気で仕返しすることを決意した。


 僕は先に校舎裏に着いて結愛を待っていた。そして数分後、足音がしてその方向へ向くと結愛はいた。

「あ、蒼くん、ごめんね待った?」

 誰だこの子。性格変わりすぎじゃないか?演技上手すぎるだろ。

「あ、結愛ちゃん」

「実はずっと前から好きでした付き合ってください!!」

「こ、こんな僕で良ければお願いします!」

 どうだ僕も演技上手いだろと心の中で謎の対抗心を燃やしていた

「やったやった!」

 ぴょんぴょん飛び跳ねながら言っている、演技だと思うと流石にきつい。

「蒼くん、一緒に帰ろ?」

「もちろんいいよ!」

 僕はそっと手を繋いで結愛の嫌そうな反応を見て遊んでいた。俺性格悪くね?

 結愛はどんどん嫌そうな顔をしていく、あらあら結愛さん顔が曇ってきてますよ

「結愛ちゃんはなんか趣味とかあるの?」

「最近ゲームにハマってるんだーこれ見て!私がやったんだよ!」

 ポケットからスマホを取り出して動画を見せてきた。

「へー!そうなんだうまいね!」

その動画はお世辞にもうまいといえるものではなかったが一応褒めておく。

「そう?えへへ嬉しいな」

 こいつ、ちょろすぎるだろ。

 心のなかであざ笑いながら、もっと褒めていく。

「勉強もゲームもできるとかすごすぎだよ!」

「えー照れちゃうなあ」

 えへへと笑いながらデレデレしている。

 こいつちょろすぎだろと心のなかで思いつつ、日々を過ごしていった

 それからの毎日は、結愛を惚れさせるためにデートへ行ったり、プレゼントをしたり色々なことをした。


 1ヶ月後


 いつも通り一緒に帰り、結愛の家まで送る、もうまい

「ばいばい!蒼くん!大好きだよっ!」

 ついにこの時が来た。飛び切りの笑顔ではっきりと言う。

「ばいばい結愛、僕は大嫌いだよ」

 過去一番の笑顔で言った。気分は最高だ。

 結愛はぽかんとした顔でこちらを見る。

「嘘コクなんだろ?」

 笑顔のまま普段とはかけ離れた低い声で言う

 結愛は戸惑いつつも開き直ったように明るい声で

「最初はそうだったけど!いまは大好きだよ?」

 心底うんざりするなんなんだろうかこの女は。

「残念だけどそんな性格の曲がった人は好きじゃないんだ」

 吐き捨てるように結愛へ呟く。

「で、でも!今は本当の愛だよ?わかるでしょ?」

 この女は僕を苛つかせる才能に恵まれているのだろう。

「お前のことなんか微塵も好きじゃないんだよ」

「…」

 ついに黙ってしまった。やりすぎたかな。

 結愛の目にはこぼれそうなほどの涙があった。だが泣いていない、全て自分が悪いとわかっているのだろうか。だがなぜかとても暗く怖がっている様子だった。

「ばいばい」

 僕はその一言を残し結愛をおいて一人帰った。


♢♢♢


 学校へ行くと結愛はいなく風邪を引いたらしく数日休むそうだ。だが数日経つと結愛は学校へ来ていていつも通りに戻っていた。

 最後に見せたあの顔がとても気になるが放って置くことにした。

 なぜならぼくたちはもう関わらないのだから。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 私はいつから間違っていたのだろうか。あいつのことを本気で好きになった事?
 いや、違う全てだ。すべて間違っていた。

 最初は軽いノリだった。元々私は素でスクールカースト上位に居られるわけではなかった。容姿が整っていることを理由に中学ではいじめられていた。

 そんな事はもう無いようにと慎重になっていたつもりだった、だけどあいつが言った「お前のことなんか微塵も好きじゃないんだよ」

 あれは昔のいじめっ子の言葉と一致していた、思い出したくもない心に閉ざしたはずの記憶。

 その記憶が鮮明に蘇ってきた泣きたくても泣けない。体が染み込んでいる。あのときの記憶が。

 あいつのことを好きか聞かれれば必ず好きと答えられる本気で好きになっていた。

 あいつと過ごしているとあいつのいいところがどんどん出てきたつまらない話にも相槌を打ち笑ってくれる。何も無い日にプレゼントを買ってきてくれる。そのすべてが好きだった。だけど自分が悪い、すべて自分が悪いのである。

 学校を休み、一人部屋で思い出に浸る。

 涙とともにぽろりと一言つぶやく。

「本気で愛してほしかったなぁ、」
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