転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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230 推しと嬉しい悲鳴の日々

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忙しい!

あ~~忙しい忙しいよぉ!!

領地に帰ってからは、もう目が回りそうな位の忙しさだ。

「ギル様、こちらの書類の確認をお願い致します」

サーディンが、分厚い資料の束を持って来る。

「それなら、私が確認しよう」

テオが受け取り、確認してくれる。

どの様な事をするか全てテオと共有してるから、本当にありがたいパートナーだよ。

「ありがとうテオ。あ、サーディン。こちらの書類は確認したよ。あと、仕立て屋は到着した?」

「領地に入ったとの知らせがありましたので、間も無く到着予定です。チンタック男爵も婚約者様とご同行の模様です」

「ありがとう。そうなんだ、メイド長もあちらにお願いしたい」

結婚式に向けて、急遽仕立ての話をしたら、チンタック男爵が快諾してくれた。

まさか本人まで足を運んでくれるとは思わなかったから、ありがたい。

急いで身支度を済ませると、応接間にチンタック男爵と婚約者であるセーラが待っていた。

久しぶりに会う級友に、少しホッとする。

「お久しぶりですね、チンタック男爵、セーラ嬢。待たせて申し訳無い」

テオと揃って部屋に入ると、スッと二人は立ち上がり、頭を下げる。

俺とテオの結婚が早まり、俺が公爵になると言う話は、父様が王都へすぐに相談に行った。

王家からの承諾も早く、この話はあっと言う間に広がった。

レッドドラゴンリーフの功績や、俺の開発、提案も多く発表されていたから、早過ぎるとの声は出なかったみたいで安心した。

「お久しぶりです、ギル様、テオドール殿下。大変お忙しいでしょう?寸法を図りながらになりますが、デザイン画をご覧になって頂きたい」

「こちらは宝飾品のデザイン画ですわ」

サッとデザイン画の束を渡されつつ、俺とテオは二人に採寸される。

指示を貰いながら腕を上げたり下げたりしつつ、デザイン画に目を通す。

「…ふむ。こちらのデザインは素晴らしいな。そうだな、やはり黒地に金と銀の刺繍が良いのでは?」

「うん。あと、黄色も入れて欲しいかな。レモンの色だから。…そうだな、赤も少し欲しい」

「ああ、レッドドラゴンの色だな」

テオとデザイン画を見ながら、結婚式の衣装を決めて行く。

あまり色が多いと変かな?と思っていると、チンタック男爵はサラサラとデザイン画に色を入れてイメージを描き足してくれる。

「この様に、黒地のジャケットの上に、サッシュを赤と黄色で仕立てましょう。式典はこちらの正装で行い、パーティーにはこちらの白地に銀の刺繍が施された布を使用した物をと考えております」

「ああ、コレなら違和感が無いな。素晴らしい」

「ありがとうございます」

素早い手付きで採寸が終わると、今度は別のデザイン画の束を渡される。

「ラッカルや、スノラリアへ向かわれるとお聞きしましたので、あちらの気候や風土に適した装いもと思いまして。勝手ながら提案としてこちらを…」

さすがトーレ国内一の仕立て屋!

分かってるね~。

俺、ファッションに興味はあるんだけど、こういった場合の服装とかは、やっぱりテオの方が詳しいから、テオの意見に従うんだ。

テオも、自分が選んだ服を俺が着ていると嬉しいって言ってたしね。

「ラッカルは派手な格好は好まぬが、スノラリアは王族に謁見する姿勢と防寒が大事だからな。…なるほど。素晴らしい提案だ。そうだな、こちらとこちらの一式を私とギルのペアで仕立てて欲しい。あと、シャツとスラックスをこちらに合わせて見立てて欲しい。そうだな、ラフになりきらない部屋着も用意して欲しい。テイストやらはそちらに任せる」

いやぁ、勉強になるなぁ。

国によって好印象を与える服装の提案に、テオはすぐに反応して指示が出来る。

俺も、もっと勉強しないとな。

「畏まりました。宝飾品はどの様になさいますか?」

チンタック男爵も、服や宝飾品の指示はテオがすると分かっているので、テオが答えやすい様にしつつも、俺にもしっかり説明してくれるからありがたい。

「こちらのデザインのリングを揃いで。バングルも仕立てて欲しい。カフリンクスとクラヴァットの装飾も、それぞれ揃いで。黒地の方にはこちら、白地にはこちらだな。…ギルはどう思う?」

「うん。素敵。そうだな…今回からクラヴァットはテオの様にスッキリしたタイプにして欲しいな」

フワフワ系は卒業しないとね。

「畏まりました。すぐに仕立てに入ります。来月また伺います」

「それでは、お邪魔しましたわ」

颯爽と二人は帰って行く。

お茶でもと思ったが、あちらはあちらで、王太子の婚姻の衣装も任されていたはず。

仕立ても魔術で行うので早いのだが、今回も王太子の衣装も、布から魔力を込めて紡ぐ特注品になる。

装飾品もそれぞれ力がこもったモノになるのだろう。

「チンタック男爵とテオに任せていれば、素敵な衣装で結婚式を挙げられるね」

「ギルに似合う服を仕立てるのは当然だからな。…脱がすのが楽しみだよ」

もう、テオったら~。

ちょっと良い雰囲気になったが、忙しさは俺達を見逃してはくれない。

「失礼致します。挙式の際の…」

うう、結婚式って本当に準備が大変!!






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