転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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209 推しと齟齬※

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「ふはははは!!レッドドラゴンの護衛か!歴史に残るな!」

皇帝が笑いながら言うと、周りも緊張が解れて来る。

「父上…。しかし、そうですね。叔父上とギル殿の箔付けにもなりますし、トーレ王国との良い縁もアピール出来ます。良い案なのではないでしょうか」

皇太子のサンカールもそう言うので、それではその方向でなんて話がトントン拍子に進んで行く。

まぁ、ドラゴンを敵に回したい奴なんて居ないからね…。

そんなこんなで、色々な話し合いが終わったのは、お昼過ぎのお茶の時間だった。

俺はテオと共に部屋へ戻り、用意されたお茶を楽しむ事にした。

「ふぅ…」

おっといけない。

ついつい溜息が出てしまい、右手で慌てて口を押さえる。

「ふふ。ギルも疲れただろう?」

「ううん。良い事の方が多かったから」

段取りを早くしようと、父様はシェル様と共に国へ帰る事になり、カーリンはそのまま連れて行った。

ホセ兄様やジェレミー兄様達も明日には帰国して、俺はもう少し帝国に残り、テオと共にレモルトへ戻る予定だ。

「カグラも落ち着いたら、身分と婚約が発表されるんだね」

「ああ、皇帝が帝都を離れる際は、グリーンドラゴンが帝都を守ると発表するからな」

帝国の皇帝は、お飾りでは無い。

最強に近い魔力の持ち主で、存在するだけで脅威になる為、存在が帝都を守っているのだ。

その皇帝が帝都を離れる時は、多くの魔術師が集められ、帝都を守る。

今回はグリーンドラゴンがその代わりをしてくれるのだ。

グリーンドラゴンの管理者であるカグラの身元もハッキリと証明し、民達を安心させる為にも、身分と婚約の発表が決定された。

「タニアはあのまま処刑に?」

「ああ。本来処刑は人目のつかない所でとなるが、今回は多くの貴族や魔術師の前での処刑となる。不正を行えない様にだな」

サンジカラの貴族の娘だと言う事は判明しているけど、どうやら祭り上げられた末端みたいで、ワークも死んでしまったし他の魔術師達も使い捨ての駒だったみたいだ。

タニアの乳母が居たスノラリアに潜伏しているのではとの見方もあるから、スノラリアとは密に連絡を取り合う事も決まったみたいで、ネラ殿下と数人の貴族は先に向かう事になりそうだ。

「なるほど…。ザラムゼフ伯爵はもうラッカルヘ?」

「ああ。息子の遺体と共にな…。ラッカルの騎士であるサルマ殿はあと数日滞在するそうだが、彼が紹介状を持たせたそうだ」

あら、イケオジ行っちゃったのか…。

バランモス公爵の事を考えて、少し胸が痛む。

「ああそうだ。サルマ殿の見送りとして、バランモス公爵が代表として出るそうなのだが、私達も一緒にどうだ?ラッカルの聖剣と話をしてみたかったんだ」

テオの誘いに、テオの憧れの騎士の一人と知る。

中々会う機会も無いだろうし、あちらもイケオジだったから、婚約パーティーのお礼も兼ねようかな。

「俺も良いの?それならご一緒しようかな」

「良かった。どうやら叔父上がサルマ殿と二人で話をしたいと申し出たんだ。だが、中々そう言った訳にも行かないからな。私とギルの同席なら大丈夫だろうとなったんだ」

あ、もう決定事項なのね!

まぁ、他国の聖剣なんて中々会えないし、ラッカルヘ好印象アピールもしておきたいから丁度良いや。

「ギル…」

ぐるぐると考えていると、スッとテオの目が色っぽく細められた。

そうだ!

せっかく二人きりなんだから、イチャイチャしないとダメだよね!!

うっとりとテオの唇が降りて来るのを待つ。

まだまだ問題は山積みだけど、ちょっとくらい二人の時間を楽しんでも良いよね?

そのままソファーに優しく押し倒されながら、俺はテオのキスを受け止める。

夕飯までは時間があるし、周りが気を使って二人きりにしてくれた。

楽しむのは今しかないぞ!!

ゆっくりとテオの背中に両腕を回して抱きしめると、テオはキスをしながら笑う。

「…あぁ、ギル。今夜やっと君と一つになれる」

「テオ…」

そのまま、テオの肉厚な舌が入って来る。

経験の無い俺はうっとりしながら、全てをテオに任せるが…。

んん?

今夜一つになれる??

「…んっ。テオ。ちょっと待って?」

「どうした?」

俺が真顔で止めると、テオは何事かと俺を抱き上げそのまま向かい合う形で俺を膝に乗せた。

「今夜って…。は結婚してからじゃ無いとダメなんじゃ無いの?」

つまり、その、の事だ。

俺がそう言うと、テオは驚いた顔をした。

「…ギルはそう習って来たのか?」

違うの!?

俺がめちゃくちゃ驚いていると、テオはそうかと呟いて考え込んでしまう。

「あ、俺は大歓迎だからね!!」

テオが悪い方へ考えない様にとそう言うと、テオは目を丸くして驚いた後、笑い出す。

「ははは!そうか、大歓迎か」

「うん!!」

破廉恥だけども、ヤリたいって全力でアピールしとこう。

テオはひとしきり笑うと、優しく俺のお尻を撫で始める。

「ふむ。齟齬があっては困るが…。後でホセ殿にも聞いてみよう」

「え?兄様に?」

「ああ。帝国もトーレ王国も、正式な婚約後、相手が成人していれば、そう言った行為を許されるとなっていたはずだからな。…テオは伽の手解きは受けていないのだろう?」

え!?

そう言えばしっかりは受けてないけども…。

結婚後って思ってたんだけど、婚約後だったんだろうか?

「夕飯後、それとなく聞いてみよう」

「う、うん」

いや、ホセ兄様に今からエッチしても良いよねって間接的に聞く様なもんだよね。

うう、うううううううう。


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