転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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176 推しと帝国貴族との交流

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俺とテオの婚約が正式発表されると、その後は大広間でダンスパーティーが始まる。

とても広いと思っていたけど、何と魔術で更に部屋が広がって驚いた。

先程の倍くらいに広がった大広間には、軽食や飲み物も運ばれて来て、外にいた貴族達もゾロゾロ中へ入って来ている。

楽しそうにダンスが始まり、皆それぞれおしゃべりを楽しんでいる。

ここからは貴族達とのおしゃべりと言う名の、社交が始まる。

気合いを入れないとな。

「テオドール殿下。ギル様。ご婚約おめでとうございます」

そこに、ポートランス公爵が夫人と一緒に話しかけて来る。

「ポートランス公爵。ありがとうございます」

「ありがとう」

テオと共に礼を言うと、ポートランス公爵がは笑顔で家族の紹介を始める。

「妻のカラムです。こちらが娘夫婦のマランド公爵夫婦です」

「この度はご婚約おめでとうございます」

おぉ、さすが帝国の宝石商であるポートランス公爵家の公爵夫人。

とても上品でお美しいね!

黒髪黒目で短く切り揃えてあり、細身で可愛らしい雰囲気の男性だ。

それでも公爵家の夫人だからか、良い意味で気の強そうと言うかしっかりした感じだね。

「この度は、ご婚約おめでとうございます。そして、私達の子供達へのお気遣い。誠にありがとうございます」

紹介されたマランド公爵は、細身ながらしっかり体は鍛えているみたいで、帝都貴族にしては体付きが良い。

ウェーブのかかった茶色の髪を耳までに切り揃え、黒い瞳だ。

ポートランス公爵の娘であるミルトは母似で、黒く長い髪は手入れされており艶やかで、瞳も黒い。

双子の息子は黒髪黒目なので、魔力拒否症の症状も早くから出ているそうだ。

「テオドール殿下。ギル様。お手紙ありがとございます。私たち夫婦は子供達にも中々会えず、毎日辛い日々でした。お二人のご提案でレッドドラゴンリーフの治験に参加させて頂けると聞き、大変喜んでおります」

「トーレ王国の王子殿下の体調も、劇的に良くなったとお聞きしております。とても苦しい日々でしたが、ようやく光が見えて来たと夫と共に話しております」

マランド公爵夫婦の話に、俺とテオは頷き、そこにセルジオ様がジェレミー兄様と共に話に参加してくれる。

「ポートランス公爵夫妻、マランド公爵夫妻。こちらはトーレ王国のリーナイト公爵と、夫人でありギルの兄であるジェレミーだ」

テオがそう紹介すると、セルジオ様とジェレミー兄様は挨拶をする。

「あなたが…!私はマランド公爵家現当主のカムと申します。こちらは妻のミルトです」

「初めまして」

ジェレミー兄様が魔術拒否症を克服した事も広まっているので、マランド公爵達も話が聞きたかったみたい。

双子の子供達が今まさに同じ病気だから、当然なんだろう。

「あの…。初めてお会いするのに、こんな事をお聞きして申し訳ないのですが。ジェレミー殿は現在お体は…」

聞きにくそうに言うミルトに、ジェレミー兄様は優しい笑顔を向ける。

「ええ、とても調子が良いです。病気に苦しんでいた時は呼吸もしづらかったのですが、現在は全く。最近はギルに習って魔術を使ったり、兄にも剣術を習っているんですよ」

「ジャメル侯爵に剣術を…!」

マランド公爵は驚きつつも、希望が見えたとミルトの肩を抱いて喜んだ。

「まだまだ兄の剣を受ける事は難しいですがね」

ジェレミー兄様が苦笑するけど、そりゃそうだよ。

こちらの騎士だって難しいだろうからね。

「ジェレミーの魔力は高く、我がリーナイト商会の店の防護魔法も一人で行えるくらいです。他の魔術師が別の仕事に専念出来ますので大変ありがたいですよ」

セルジオ様がそう言うと、周りの貴族達も会話に参加して来てくれる。

「まぁ!あの大きなお店を?素晴らしい魔術の使い手ですのね」

「魔力拒否症にも希望が見えてきたな」

嬉しそうな声に、やはり帝国でも魔力拒否症に苦しむ人は多いのだなと感じた。

「魔力拒否症を妻にするなど、トーレの公爵家の考えは分からぬな」

「全くだ」

少し離れた所でそんな声が聞こえる。

おいおい。

ギル様の地獄耳を舐めるんじゃねぇぞ?

チラリと確認すると、先程ロンに負かされた騎士マーカトラの父親センフラ伯爵と、その取り巻きって感じだな。

「おや?センフラ伯爵。あなた確か兄上が魔力拒否症だったのでは?」

「ええ。両親は大金を掛けて薬を集めていましたが、十六の時に亡くなりました。貴族的な考えからすると、私は早めに見切りを付けるべきだったと思いますがね。いくら治癒したからと言っても、高が知れている。騎士としても期待できぬからな」

おお、センフラ伯爵はそっちのタイプか。

確かに、貴族たるもの家の事を考えたら治る見込みのない者に、お金を掛けるのはおかしいって思うのかも知れない。

でも、貴族の前に人間であり愛する家族なのだから、俺はその考え方には反対だね。

必死に駆けずり回って、解決策を探し回るのも当然だと思うもの。

ピリリとした空気になるが、そこに父様達とホセ兄様達が合流する。

「おやおや。随分な言い方だが、そちらの方のご子息が先程、我がジャメル騎士団に一本取られた事をお忘れですか?」

父様がそう言うと、センフラ伯爵はムッとした顔をした。

「…ジャメル騎士団の強さは存じております。私は魔力拒否症の話をしているのです」

ま、言いたい事は分かるけど、そう思っているとテオが目配せしてくる。

おや、何か始まるね。













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