転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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174 推し達と皇帝への挨拶

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セルジオ様は小さく頷くと、胸を張った。

「マラサッタ帝国、エラード皇帝閣下。この度は謁見の許可を頂きまして、心より感謝申し上げます。トーレ王国代表でありますリーナイト公爵、セルジオと申します。隣は私の妻であるジェレミーです。後ろがジャメル侯爵家当主ホセ。ジャメル侯爵家ギル、ジャメル侯爵夫人であるフロルでございます。その後ろが前ジャメル侯爵であるレス。その隣が夫人であるシェルでございます。本日は、我が国のジャメル侯爵家ギルが、ラッカル帝国のテオドール殿下とのご婚約を結ばれる事を祝し、国を代表してご挨拶に参りました」

セルジオ様が挨拶を始め、紹介される順に頭を下げていく。

「どうぞお顔をお上げください」

また先程と同じ声がして、俺達は頭を下げて上げる。

声の主は、皇室に使える貴族の子息で、皇帝の支持を受けて声を出す係なんだそうだ。

十歳前後であろう子供で、毎回同じ者では無く会ごとに選ばれると言うから、帝国貴族の中ではとても名誉な事なんだって。

そんな事を考えながら前を見ると、皇帝が楽しそうな笑顔で座っていた。

やっぱイメージと違ってムキムキだね!

確かにテオには似ていないけど、また違ったイケオジだなと思う。

隣の皇妃もまた美しく、大変お似合いだ。

その下にはテオと皇子達が並んでいて、例のネラはテオと同じプラチナブロンドと黒目だが、容姿は皇妃にそっくりだった。

次男であるドレードは公爵家へ嫁いでいるので皇室の並びにはおらず、テオの弟であるルーカスも公爵に降下してたから、皇族の席では無く横に並んでた。

「良くぞ遠い所から参られた。今回の婚約について心から祝福し、皆を歓迎する。私がマラサッタ帝国皇帝エラードだ。隣が皇妃であるサンパルドラである」

おお、声も渋くてかっこいいね。

エラード皇帝は皇妃を紹介し、皇妃は優しく微笑んだ。

いや本当に美しいね!!

ウェーブのかかった金髪で耳くらいまでに切り揃えられており、瞳は緑。

エラード皇帝が惚れ込んで、嫁選びの時には公爵家の嫡男だったサンパルドラ皇妃を、彼しかいないと是非にと望んだんだとか。

二人は幼馴染で、昔から皇帝が惚れ込んでたらしい。

もちろん皇妃も満更でも無かったみたいだし、公爵家も喜んで送り出したそうだ。

「そして下が我が息子で皇太子であるサンカール、そして隣が夫人であるシャーラである」

皇帝の紹介に二人は軽く会釈をする。

皇太子であるサンカールは黒髪に碧眼で、皇帝を若くしたって位に良く似ていた。

妻であるシャーラは金髪に黒目の、赤い口紅の良く似合う中々ゴージャスな美女で、元はラッカルの公爵家で騎士をしており、サンカールに見初められて嫁いで来たと聞いている。

いやはや、色んな美人がいて目の保養!

「次男のドラードはララン公爵家へ嫁いでいる。そして隣が末の息子のネラである」

そして、例のマラソ伯爵に夢中になっているネラが紹介される。

ネラは柔らかく微笑んで軽く会釈する。

うーん、やっぱりこちらも美人だね!!

どうしよう目が足りない~!

フンスフンスする心を抑えつつ、俺達もそれぞれ会釈を返す。

「テオドール。ギル殿の元へ」

「はい」

そして、テオが呼ばれて俺の所へと降りて来る。

セルジオ様とジェレミー兄様はサッと横に移動し、ホセ兄様とフロル様も後ろに下がる。

テオは俺に真っ直ぐ歩み寄った。

俺を愛おしそうに見つめ柔らかく微笑むテオに、周りは驚いた様子だ。

「…あの様なテオドール殿下は初めて拝見したな」

「ええ、本当に。とても良いお顔ですわ。良い縁がありましたのね」

「多くの方の縁談をお断りされておりましたから、頑なに独身を貫くと思っておりましたわ…」

「頑なな思いも吹き飛ぶ程の良縁だったのだろう。若いとはお聞きしたが、お若いだけで無く大変お美しい。そして随分と落ち着いておられる。ご活躍も考えれば殿下が心惹かれた理由には十分であろうよ」

テオの差し出した右手に左手を添え、そのままスマートに手をずらして腕を組む。

そして、二人で揃って前に出る。

「この度の婚約、大変喜ばしく最大の祝福を贈る。テオドールはレモルト公爵として領主となり、その後トーレへ領地ごと婿入りする事が決まっている」

皇帝がそう発表すると、やはり周りは騒つく。

いや、事前に通達あっただろうが。

「テオドール殿下は、随分と降下するのか…」

「それも構わぬとお聞きしたぞ」

「もし結婚出来ぬなら、死んだ事にして欲しいと頼んだとか」

「なんと!…ううむ。反対派もそこまでの決意には反対出来ぬな」

あら、テオったらその情報も流したんだね。

まぁその方が、俺達の婚約に口出ししにくくなるから好都合だけど。

「ギル殿はトーレ王国での功績を讃えられ、結婚時には公爵の爵位を授かるとの事。テオドールと結婚する際は、レモルトの名を名乗ると申してくれた」

更に皇帝が話を続けると、一層周りは騒ついた。

「公爵位を頂くのか。何でも領民の為にレモルトを残すと明言されたそうだぞ」

「領地の活性化にも随分と力を入れられていると聞いた。最近レモルトのレモン酒が流行っているが、あちらもギル様の考案らしい。レモルトを盛り上げたいと奔走されているそうだ」

「ああ、レストランでいただいたが大変香りも良い酒であった。食前や口直しにも好評だろう。聞いた話だと温泉と宿を貴族向けと平民向けと分けて経営も開始するそうだぞ。良い観光地としても人気になりそうだな」

レモルトの事も好意的に広がっている様で安心する。

領地の一つが隣国へ行ってしまうから、もちろん否定的な貴族も多いだろう。

さて、皇帝はどう説明するんだろうな。











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