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154 推し達の交流②
しおりを挟む「ふふ。兄様は良いお相手を見つけましたね。これで帝都の貴族も大人しくなるでしょう」
そこに、周りとの交流を楽しんだルーカスがラビと一緒にやって来る。
ふむふむ、やはりテオはモテモテなんだな。
「そうそう。私の弟もやっと諦めてくれるかと思うと、ホッとしているよ」
そして、テオの幼馴染夫夫であるニムラス伯爵ことナルが苦笑しながら輪に入って来る。
んん?
ニムラス伯爵伯爵の弟?
俺がにっこり笑顔でテオを見ると、テオは苦笑しながら俺の肩を抱く。
「何もやましい事はないぞ?」
テオがそう言うと、ナルとトルネは笑いながらうんうんと頷いた。
「私の弟で帝都で騎士をしているハレも、タニア嬢の様にテオドール殿下に恋焦がれていた一人でね。もちろんテオドール殿下にはハッキリ断られているから安心して欲しい。婚約者が出来たと聞いた時は落胆していたが、これであの子も前に進めるだろう」
「ああ。今は周りも急げとばかりに、多くの縁談を持ち込んでいるからな。テオドール殿下相手には勝てる見込みは無いと思っていた者達も、こぞって求婚している様だ」
ナルとトルネの話では、元々美人で有名な騎士だったそうなんだけど、テオに昔から惚れ込んでいて、テオが独身を貫くならと本人も婚約の話はお断りしていたんだって。
でもタニア嬢みたいにしつこかったり、悪質な事はせずに、皇室の為に騎士として鍛錬し続けてきたらしい。
「…私にとっては弟の様な者だからな。ハレを思っている貴族からも、早く身を固めてくれと懇願されていたよ」
「ふふ。モテ過ぎるのも大変だね。私には縁の無い話だなぁ」
そう言うと、兄様達が俺達の輪に入って来る。
「そんな事は無いぞ。ギルへの婚約の話も多かったからな」
「ええ?」
ホセ兄様の言葉に、そんな話知らないぞと首を捻る。
アプローチなんかされた覚えも無いのだが?
「ギルが十五の頃から、よく剣術で手合わせをしただろう?本当に剣の手合わせの相手も居たが、ほとんどはギルの婚約者として立候補してきた者達だ」
んん?
何で俺と剣を交えてるの??
俺が不思議そうな顔をすると、ジェレミー兄様が苦笑しながら話を続ける。
「父様もホセ兄様も、ギルに剣術を本格的に教えていたでしょう?だから、まず剣でギルに勝てない相手は婚約者の立候補にも出来ないって、お相手達に話していたらしいんだ」
「そんな事があったんだ…」
俺ったら、結構な人数を普通に剣術で負かしてたんだけど。
もしかしなくても、俺って結構モテてたの!?
俺が複雑な顔をしていると、ホセ兄様は面白そうに笑う。
「ギルに話をしなかったのは、ギルは相手からの好意があると知ったら手加減するだろうと思ったからだ。もちろんワザと負ける事はしなかっただろうが、しっかりと勝った方が相手も諦めが付くからな」
確かにそうだけど、結構イケメンも多かった気がするんだけど…。
ちょっとだけモッタイナイ??
「それに、もしギルにその気があるのなら、勝ち負け関係無く考えようと父様とは話してあったんだが。ギルは誰にも興味が無い様子だったからな」
確かに、その頃にはテオに出会ったりしてたから、テオ以外見えなかったなぁ。
父様達に言われるまま、剣術の稽古の一環だと思って手合わせしていたもの。
「その頃にはテオドール殿下とギルドで出会っていたので…。他の方には興味がありませんでしたね」
俺がそう言ってチラリとテオを見ると、テオはとても愛おしそうに俺を見ていた。
だってさ、こんなに逞しくてカッコ良くて、俺より剣術に優れていて、エスコートも行動もスマートな男性って他にいないよ?
「ギルが剣術で負けぬ様に訓練してくれた、レス殿やホセ殿には感謝だな」
そう言って笑うテオに、ホセ兄様が苦笑する。
「しかし、テオドール殿下と出会えていて良かったです。ドンク公爵家の子息は婚約希望ではなかったのですが、彼に勝った時に結構な者が諦めたので。父と鍛えすぎたかと焦ったくらいだです」
そんなオチはいらないですよホセ兄様!
そう思いつつも、俺はテオと顔を見合わせて笑った。
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