転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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151 推しとお客様達

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「テオドール殿下。ギル様。ご婚約おめでとうございます」

「やぁ、良く来てくれた」

「まぁ!素敵な花飾りですわね。これは?」

「古くなった花を、もう一度楽しめる様にとギル様の考案です」

「素敵ねぇ。お客様のお出迎えにぴったりだわ」

時間になると、テオと俺のゲスト達がゾロゾロと到着する。

テオ側は皇族や、高位貴族もチラホラいるのだが、今日は畏まらずパーティーを楽しんで貰いたいと言われている。

「兄様!!」

「おお、ルーカス。婿殿も良く来てくれた」

そこに、多分テオ以外では一番高位貴族であろう方が到着し、テオの胸に飛び込んだ。

ルーカス・ドレントラ公爵。

公爵の爵位を授けられ、降下したテオの弟だ。

ふわふわした金髪をショートに切り、目は青く顔立ちはテオ達の母似で可愛らしい。

テオより十歳年下の、お兄ちゃん大好きっ子だと聞いている。

その為、タニア嬢が大嫌いなんだとか…。

その後ろには、長い黒髪を一つ結びにした、黒目の長身細身だが筋肉はしっかりありそうな男。

ラッカルよりルーカスに婿入りした、夫のラビだ。

ルーカスがラッカルに留学した時に出会い、そのままこちらへ婿入りしたんだとか。

さて、ルーカスがまず第一喚問だと聞いてるんだよね。

歳の離れた兄が大好きで、タニア嬢他の令嬢令息もテオには寄り付かせなかったブラコン。

テオが冒険者になった時は、自らお金を出してまで護衛の二人を雇ったらしいからね。

そう、後々はきちんとテオが雇い直したんだけど、俺が冒険者の仲間だと思ってたケンとユウリを最初に雇ったのはルーカスなのだ。

第一印象が大事だろうと、取り敢えず話しかけられるまでは空気に徹していると、ルーカス様がこちらを見てバッチリと目が合う。

よし!ここは気を引き締めて!!

そう思っていたが、ルーカスの反応は思っていたものと違っていた。

「君がギル殿だね!?こんなに若くて美人な婚約者なんて、兄様ったら隅に置けないな~。ふふふ。それにしても素敵な黒髪と黒目だね…。ラビみたい」

「ふふ。ルーカス様、ギル殿が驚いていますよ。初めまして、ルーカス様の夫のラビと申します」

「初めまして。ギル・ジャメルです。お会いできて光栄です」

うっとりとした感じで言うルーカス様と、そのルーカス様を愛おしそうに見つめるラビに、俺が面食らっていると、テオが楽しそうに説明してくれる。

「ギル。この通りルーカスは婿殿であるラビ殿にゾッコンなんだ。黒髪黒目には甘いものだから心配だが、今回は良い方向に行ったよ」

「もう兄様ったら、なんですかそれは。…それにしても兄様のお相手も黒髪黒目だなんて驚きましたよ。それに、トーレ王国の賢者様なんでしょう?ギル殿の活躍は良く聞いています。我が国の貴族があなたの名を語った事は、本当に申し訳無い。しっかりと処分を下しますからね」

ルーカスはラビに腰を抱かれながら、にこやかに話す。

「ありがとうございます」

おっとこれは予想外の展開だねぇ。

どうやら、本当にルーカス様はラビにゾッコンの様だ。

ラビが黒髪黒目のおかげで、俺の印象が良いなんて、ラッキーだったな。

そう思っていると、ジェレミー兄様達も到着し、ゾロゾロと会場へ移動となる。

「こちら、乾杯用のワインでございます。別のお酒も用意してございます」

「あら?こちらは…」

「本日解禁となりました、レモルト特産のレモン酒になります。どうぞお試しください。レモンを使ったジュースも用意してございます」

「あら、素敵ね。私はこちらを頂こうかしら」

それぞれに乾杯用のお酒やらが振る舞われ、テオが俺を横に呼んで、挨拶を始める。

今日は、テオが用意してくれた黒を基調とした二人揃いの服を着ている。

俺もテオもシルバーシルクのシャツと、上は黒地に金と銀の刺繍が施されたウエストコートのみ。

それには金とダイヤのボタンが付いているので中々豪華だ。

「今日は、私とギルの婚約パーティーに参加して頂き、感謝する。本日は気軽に社交を楽しんで貰いたい。料理や飲み物も新しく考案したものも多くあるので、是非楽しんで欲しい」

テオがそう言い、乾杯の音頭でパーティーが始まる。

「これはこれは。これが最近トーレで流行っていると言う、小さな料理を好きな分だけ取ると言うスタイルですね。こちらもギル様考案ですか?」

「ええ、そうです。ソースもお好みのものをお選び頂けます。こちらのレモンのドレッシングはレモルトのレモンを使用しています」

今日はビュッフェ式だ。

今までも良く見るスタイルだけど、大抵はサンドイッチやピンチョスなど、本当に軽食だったのを、小皿やココットに煮込みやら焼き物やらを提供している。

卵料理やクレープも、目の前で作って貰うスタイルにしたので、ライブ感もある演出はウケが良かった。

俺とテオは、ホストとして挨拶に来るゲストの方々と短い会話を繰り返す事が、最初の勤めだ。

「ふふ。また改めまして。兄様、ギル殿。ご婚約おめでとうございます」

まずは、この場でテオ以外に一番位の高いルーカス夫婦が挨拶に来てくれる。

「ありがとう。私も君達みたいに早く夫婦になりたいよ」

「ありがとうございます」

お礼言い、軽く会話を済ませると、ルーカスとラビは仲睦まじく食事を楽しみに向かった。

「おめでとうございます」

その後もゾロゾロと挨拶が続く。

今日の主役だからね!

面倒だけど頑張るよ!!

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