155 / 247
150 推しと結婚への第一歩
しおりを挟む「ギル様。花の飾り付けは終わりました。こちらの古くなった花はどちらへ?」
「ああ、それは玄関先に飾りたいんだ。今日は晴れだから、大きな鉢にガラス玉と水を入れて、その上に茎を取った花だけを浮かべて欲しい。そしたら二、三日は楽しめるでしょう?」
「まぁ!素敵ですわね」
俺はレモルトのメイド達と、パーティーの準備で大忙しだ。
今日は、ギルの友人達を招いての婚約披露パーティーの日。
トーレからは、ホセ兄様とフロル様、ジェレミー兄様とセルジオ様。
カイト、ハイリ嬢、セーラ嬢がそれぞれ婚約者を連れて参加してくれる。
父様とシェル様は、帝都でのお披露目の時に参加してくれる。
仲間内での披露会なのでカジュアルな感じになるが、それぞれで意見交換出来たら良いなと考えている。
「ギル様。席の用意も終わりました。それと、レモルトの氷職人だった者から手紙が届いております」
そこへ、キッチリと執事服を着こなしたサーディンがやって来る。
「ありがとう。…ふむふむ。良かった。親子でこちらでの仕事に乗り気の様だ」
「それでしたら、移住先も確保してありますので、その様に伝えましょう。小さな子供もいるそうなので、学校に近い所と仕事場に近い所。二つ用意してあります」
「うん、それなら話が早いね。このまま進めて」
俺がそう言うと、サーディンは次の資料を取り出す。
「かしこまりました。あと、貴族向けの温泉宿はまもなく完成との事です。平民向けの温泉宿と飲食店は、試験的に開始してもよろしいかと」
「ふむふむ。そうだね、これなら試験的に開始しても問題は無いね。レモンのお酒は順調?」
「はい。味も大変良いと、酒職人が喜んでおりました。本日のパーティーに試飲として提供したいのですが」
「それならテオに味見してもらおう。その様に手配しておいて」
「かしこまりました」
そう言うと、サーディンはその場を後にする。
もうね、びっくりするくらい見違えたのだ!
レモルトの執事達も優秀で教え方が上手なんだけど、ジャメルとお祖父様の所の執事達も丁寧に仕事を教えてくれた。
そしてなんと、話を聞いたジェレミー兄様が、セルジオ様に話を通して、リーナイト公爵家でも少しお世話になったのだ。
サーディンはやはりやれば出来る子だったので、教えられた事をしっかり吸収し、色んな事を学び、立派な新人執事に仲間入りした。
髪もキレイに後ろに撫で付け、黒を基調とした執事服も良く似合っている。
レモルトの執事達にも、俺が防護魔法付きのブローチをプレゼントしたから、それが胸に輝いている。
ドラゴンをモチーフにしつつ、レモンをイメージしたシトリンの宝石を使った。
サーディンは俺付きの執事だから、ドラゴンの上には小さな冠を付けてあるのだ。
このブローチをプレゼントした時、サーディンはとても喜んでくれた。
「私にも出来る事があるのだと、自信が付きました。これからもギル様の為に、誠心誠意努めてまいります」
涙ながらに喜ぶサーディンを、レモルトの執事やメイド達も微笑ましく見ていた。
執事長のサンフルとメイド長のリンも大変喜んで指導してくれているし、テオの師匠の息子であるゲールに剣術も習ってるんだ。
ヤンダークも嬉しそうに、孫であるサーディンに魔術の指導をしており、良い感じだ。
「ギル。準備を任せてすまない。こちらも大体片付いたよ」
「テオ。良いの、俺も楽しんでるから。レモンのお酒が出来上がったみたいだから、試飲をして欲しいんだけど…」
「ほう。それは楽しみだ」
招待客の宿泊する場所の確認なども終わり、テオは周りの点検に行ってくれていた。
レモン畑も豊作だし、温泉宿も良い感じで出来つつあるから楽しみだ。
今日は、その温泉を引いたお風呂が用意されているから、お客様には楽しんで貰えそう。
「テオドール殿下。ギル様。こちらがレモン酒になります。ギル様にはレモルトのレモンで作ったレモンジュースを用意致しました」
そこに、サーディンが戻って来て、酒職人と一緒にお酒と俺用の飲み物も準備してくれる。
「…!これは飲みやすくて美味い!こちらは…甘口か。これは良い酒が出来たな。こちらの甘口は女性や甘い物が好きな方々に人気が出そうだ。こちらのスッキリした方は、食事にも良く合うだろうし、昼の軽い軽食にもピッタリだな」
「うん、このジュースも美味しいね!酸味が強すぎない様に蜜で味付けされていて飲みやすい。こちらの炭酸水で割った方も、スッキリしていてとても美味しいよ」
俺とテオの手放しの賞賛に、酒職人もホッとしている。
「早速今日のパーティーで振る舞おう。レモルトに新しい風が吹くぞ」
「楽しみだね」
せっかくの婚約披露パーティーだもの。
レモルトのアピールにもガンガン使わないとね!
272
お気に入りに追加
1,282
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話
あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうきは、親に愛されたことがない子だった
親は妹のゆうかばかり愛してた。
理由はゆうかの病気にあった。
出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた
そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。
もう愛なんて知らない、愛されたくない
そう願って、目を覚ますと_
異世界で悪役令息に転生していた
1章完結
2章完結(サブタイかえました)
3章連載
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる