転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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148 推し達の活躍

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フロル様とジェレミー兄様は、オール殿下に頭を下げると、ココンの前に立つ。

「今から治癒を行います」

フロル様がそう宣言すると、観衆はワッと湧く。

俺はホセ兄様と一歩下がり、ここからは二人の勇姿を引き立てる番だ。

「さ、ココン殿。こちらへ」

そう言ってジェレミー兄様がココンを手招くと、ココンは二人に近付き両膝を付いて祈りを捧げる姿勢を取った。

フロル様が静かにココンの額に両手をかざすと、美しい光がココンを包み込む。

「なんて美しいのかしら…」

「お、俺もああやってフロル様にケガを治して頂いたんだ。こんな平民にもとても優しくてな…」

ザワザワと風の様に、感嘆の声が溢れてくる。

「額から鼻まで結構な傷だったな」

「ええ。早く治癒院へ向かえたらキレイに治せたでしょうに」

「アンルカ嬢は、何だってあんな酷い仕打ちを」

傷は時間が経つと治癒院でもキレイに治りづらい事を、皆が知っているのでそんな声もチラホラ聞こえる。

フロル様に続き、ジェレミー兄様も額に手をかざすと、更にヒカリが美しく輝き出す。

「リーナイト公爵夫人よね?病で長く伏せていたらしいけど、素晴らしい治癒力だわ」

「お二人なら、彼女の傷もキレイに治るんじゃないかしら」

その内光が大きくなると、ココンを大きく包み込み一層輝いて弾けた。

「…さ、終わりましたよ」

「もう大丈夫」

額に汗を浮かべながら、フロル様とジェレミー兄様が花が咲く様に笑うと、ココンは立ち上がり、周りを見渡す。

「凄い…!傷がキレイに無くなっているぞ!!」

「素晴らしい治癒だわ!!」

そう声があがり、ワッと拍手が巻き起こる。

ホセ兄様はすぐにフロル様に駆け寄り、抱き上げる。

セルジオ様もジェレミー兄様を慈しむ様に肩を抱いた。

「ココン!あぁ、良かった…!!」

「ユータル…!!」

美しい二人が熱く抱擁すると、拍手と歓声は更に大きくなった。

その時、おれは花吹雪を一斉に舞わす。

そして、こっそり話をしておいた、参加していた音楽隊の人々が音楽を演奏し始める。

「見て!!レッドドラゴンも飛んでる!!」

「素敵!!」

カーリンがグルグルしている間に、俺はゴードン一家を連れて舞台を降りて、今日参加した踊り子達が勢揃いで踊りを披露し始める。

「こんなにキレイに治るなんて…っ!ありがとうございます」

ゴードンの妻は涙ながらに礼を言い、ゴードンも目に涙を浮かべていた。

「アンルカ嬢はオール殿下がしっかりと裁いてくださいますよ。どうか、花祭りを楽しんで帰ってくださいね」

俺がそう言うと、一家とユータルは深く頭を下げて外へと出て行く。

「ギル。さすがだったな」

「テオ」

そこにテオが現れ、俺を優しく抱き寄せた。

ホセ兄様とフロル様はホストだから、舞台の上で皆に手を振っていて、ジェレミー兄様とセルジオ様はオール殿下達とおしゃべりをしている。

「ごめんねテオ。一人にして」

「寂しかったぞ?ふふ。それにしても、あの令嬢は何がしたかったのだろうな」

テオとイチャイチャしながら、俺も事後処理の為にオール殿下達の元へ向かう。

アンルカは王都で厳しく取り調べがあるだろうし、シンプラー伯爵家は爵位返上で間違い無いだろう。

「…アンルカ嬢は、間違った形だけどあのユータル殿を思っていたんだろうね」

「随分と平民を下に見ていたが、そのせいでその思いも自分自身が受け止められなかったのか」

テオとそんな話をしながら、オール殿下達に合流し、今日の出来事について感謝する。

そのまま踊りと音楽を楽しんでお開きになったのだが、父様とシェル様が帰り際にトロン子爵に礼を言われたと告げられた。

「トロン子爵はパーラ伯爵とは兄弟の様に仲が良く、剣術の師事も受けていてな。今回ユータルを養子にと選んだのも、ユータルの実力もだがココン嬢が婚約者だった事も大きいんだそうだ。ゴードンの食堂は実子である娘夫婦が現在は切り盛りしている事もあり、ココンごと子爵が面倒を見ると決めたのだとか」

つまり、ココンが婚約者だから貴族へ養子が決まっていたのだ。

それなら一層、ココンに婚約破棄を迫ったアンルカは考えが甘かったなと思う。

「ココン嬢のケガを聞き、動こうとした所、シンプラー伯爵家に圧力をかけられていたそうだ。それでも諦めきれずに水面下で色々動いていたそうだ。…ギルもそこに接触したんろう?」

ふふふ~バレてるぅ。

ココンの話を聞き、何か出来ないかと色々探っていたら、俺が色々裏の情報を貰っている所から子爵の話が来たのだ。

そこに接触しつつ、アンルカの情報も貰いつつ、ココン達を利用させて貰う事にして、今回に至る。

「現在ココン嬢は平民ではあるが、それでもケガをさせた事は問題だ。今後はトロン子爵家も後ろ盾になるし、私とシェルも名前を出して後ろ盾になる事にした。後は上の判断を待とう」

「分かりました。ありがとうございます」

そのまま、父様とシェル様はリネー領の自宅へ帰って行く。

俺とテオは、ジャメル家の離れを用意して貰ってるから、今日はゆっくり休めそうだな。







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