転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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135 推しのお茶会

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「今日は良く晴れたねぇ」

「ガーデンパーティー日和だね!」

今日はジェレミー兄様が、リーナイト家で初めてお茶会を開催する日だ。

三大公爵家の若奥様と言う事で、少し規模が大きくなる。

ドンク公爵夫人であるセクト夫人は、すでに後継が筆頭しているので小ぢんまりしたお茶会でも良いが、ジェレミー兄様は今後リーナイト家を支えていく奥様だから、人数は多くなる。

その対応にも慣れていかないといけない。

ま、俺もテオと結婚するからやっていかないといけないけど、俺は特殊なタイプになりそうだな。

奥様もお相手するけど、その旦那様との商談にもガンガン出て行くだろうからね。

「こんなに広いガーデンテラスもあるんだね」

まるで一つの家くらいのガラスドームで覆われたガーデンテラスには、美しい花々が飾られ、白を基調としたガーデンテーブルセットが準備されている。

セクト夫人とセフ夫人は開催時間より早く来てくれており、ジェレミー兄様に色々指導してくれている。

特にセフ夫人はご実家だからか、調度品の選択や食器の選び方などを詳しく教えてくれたそうだ。

アルミスも今後は当主として、そして夫人としてお茶会を開催して行く予定なので、今日は早く来てジェレミー兄様と一緒に勉強している。

「…ギル殿。昨日は本当にありがとうございました。沢山勉強になりましたし、兄の事もああ言って頂けて嬉しかったです」

合間を見て、そうアルミスは話し掛けて来た。

ヨハンの行動は褒められたモノでは無かったが、それでもアルミスにとってはたった一人の兄なのだ。

アルミスも、自分と兄の生い立ちや環境の差に、後ろめたい気持ちがあったのだろう。

ヨハンは孤立無援な状態だったが、アルミスには母上のご実家からの援助もあっただろうからね。

「アルミス殿。こちらこそ、良い取引が出来て良かったです。それと、昨日の私の発言は本心ですよ。確かに兄上の行動は褒められたモノでは無かったでしょうが、今はしっかり反省していると聞いています。デラス侯爵が進んで動こうとされると言う事は、デラス侯爵家にとっても彼は大切な存在になられたんでしょう。反省し、ご自分の場所でしっかり歩もうとされているのですから、私は彼をこれ以上責めたりはしません。彼を巻き込んでおいて責任を取らずにいる貴族こそ、真の悪だと考えています」

そう言うと、アルミスはありがとうございますと頭を下げた。

「いけませんよ。あなたは公爵になる方です。それにあなたは何もしていないのですから、無闇に頭を下げてはいけません。さ、準備の続きに入りましょう」

「はい」

そう言ってアルミスをジェレミー兄様のところへ誘導すると、スススとセフ夫人が近付いて来た。

「…ギル殿。素晴らしい判断でしたわよ」

「ありがとうございます。しかし、やはりダイヤ公爵家ばかり非難されるのはおかしな話です」

俺が困った様に言うと、セフ夫人も大きく頷いてくれた。

「ええ、ええ。私もそう思うわ。…デラス侯爵も動いてらっしゃるのよね?」

「はい。問題があった方々のリストもお渡ししましたので」

「あら、それなら問題は無さそうね。あのお家は気に入った相手の為でしたら、凄い速さで動きますもの。次回のお茶会には参加出来ないけれど、その頃には解決していそうね」

やはりセフ夫人もデラス一族には詳しい様で、それを聞いて安心する。

俺は特に手を出さずに、デラス侯爵一家の動きを見守っていた方が良さそうだ。

「セフ夫人は明日には帰られるんですよね?寂しくなりますね」

「ふふふ。楽しい里帰りでしたよ。ラッカルでの生活の方が長くなりましたが、やはり生まれ故郷は心が落ち着きますもの」

セフ夫人とはお手紙のやり取りの約束をした。

こちらの今後の動向も報告しつつ、ラッカルでのサンジカラ絡みの話も教えてくれると言う。

「さ、そろろお客様がいらっしゃるわね。こうやってここがお茶会に使用されるのは久しぶりだわ」

セフ夫人の言葉に、おれも周りも動き出す。

シェル様は公爵で頑張ってたから、お茶会とかしてなかったからね。

俺はジェレミー兄様が客様のお出迎えへと出て行くと、会場にサッと防護魔法を掛けて席に着く。

アルミスも緊張しながら、楽しみだと笑った。





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