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131 推し達との内緒話
しおりを挟む「私が女装を辞めようと思ったきっかけは、リーナイト家の結婚式でしたが、旦那様は勘違いをした様でして…」
「あら。もしかしてドンク公爵ったら、セクト夫人がジェレミー殿にコリーヌを重ねて嫉妬したと思ったのかしら?」
少し照れながら話すセクト夫人に、セフ夫人は突っ込んで良さそうだと察してどんどん質問する。
「ええ。旦那様がコリーヌを想っていた事は知っていましたが、私はコリーヌがゼノン殿以外に興味が無い事も知っていましたし。更に言うと、ドンク家への嫁入りを後押ししてくれたのもコリーヌですからね。旦那様の叶わぬ恋に今更嫉妬も無かったのですが…。それに、私は旦那様一筋でしたから」
あらあらご馳走様。
そう思いつつ、セクト夫人の話を黙って聞く。
「リーナイト家の結婚式で、お二人共男性の格好だったでしょう?私の時は男同士で結婚しても、嫁に入る者はドレスを着用する事が多かったんですよ。ですから、とても素敵だなって。私も、出来る事なら男性の格好で旦那様の隣に立ちたかったなと思ったんです。今後、リーカイもありのままの姿でオール殿下のお隣に居て欲しいと願いまして。まずは私の格好から変えて行きたいのだと説明しました」
リーカイ様がドレスを着ても美しいだろうけど、やっぱり自分が好きな格好でいたいだろうし、オール殿下もそれを望みそうだ。
「素晴らしい考えだわ。私の祖母も男性だったのだけれど、線が細く女装する様に言われていたもの。女装する事がお好きな方は、それは自由ですけれど、そうでも無いのなら好きな格好で良いですものね。…ふふふ。それにしても、ドンク公爵ったら何だかんだ言いながら夫人を大事に思っているのね」
セフ夫人の言葉に、セクト夫人は嬉しそうに笑った。
「そうなんです。母が髪を切った姿を見て大変驚いていて…。母に他に誰か思い人でもいるのではと、私にまで聞いて来たんです。良くも悪くも高位貴族で冷静沈着な父が…。と驚きました」
リーカイ様も話に加わり、俺はなるほどと頷く。
確かに後継と、もしもの時を考えて二人目をってのが貴族の考えだったりするけど、ドンク公爵家は三人目も作ってるって事は、何だかんだ言って夫婦仲が良かったんだろう。
ダイヤ公爵家もリーナイト公爵家も、そう言えばニルケス殿下が降下されるコンヌル公爵家も子供は二人だったなと思い出す。
王家は別だけど、高位貴族になればなるほど、子供は二人までって考えが強いのかもしれない。
ま、うちは両親がラブラブだったから俺が生まれましたけど!
「旦那様としっかりお話しして、今後はこの格好でご一緒する事になりました。幸い口うるさい方々は既に鬼籍になった方が多いので、今のうちに流れを変えたいと。実は、騎士同士の結婚の相談もありまして。今後は体格の良い嫁も増えるでしょうし、少しづつ変えて行けたらと考えているんです」
「ドンク公爵家は騎士の育成にも力を入れていたものね。そうよねぇ。騎士として務めてきていきなりドレスは戸惑うものね。そういったのが好きな方は良いんだけど」
バリッと騎士の格好で決めていたのに、嫁入りした途端にドレスはちょっとと思う人も居るよね。
そう言った悩みにも対応してるんだなと、俺は感心した。
俺は俺の好きな格好しますってタイプだけど、お家のしきたりでそうせざるを得ない人だって多いはず。
今までその筆頭の様にドレスを着ていたセクト夫人が、ガラッと変わる事に批判もあるかもしれないが、新しい時代へ変わるにはいつだって批判はつきものだ。
そこに三大公爵家として立ち向かって行くと言う覚悟が見え、穏やかな公爵夫人の芯の強さを感じて好感を持った。
「今後は私もこういった格好で様々な席に出席する予定ですので、少しでも慣れて行こうとお茶会を開いたんです。それと、新しいリーナイト公爵夫人になるジェレミー殿の応援も陰ながらしたいと思いまして」
やはり、侯爵にランクアップしてもうるさい奴らがいるから、それを蹴散らす為にもこう言った高位貴族との繋がりって大事なんだ。
まぁ、ジェレミー兄様ならそんな奴ら蹴散らかす能力はあるんだけど、ドンク侯爵夫人が直々にお声掛けしてくれるってありがたい事なんだよね。
「ありがとうございます。領地に籠っていた身ですので、分からない事も多いのですが、セルジオ様やリーナイト家に恥じぬ様、努めてまいります」
ジェレミー兄様のハッキリとした言葉に、セクト夫人もセフ夫人も、リーカイ様も大きく頷いて微笑んでくれた。
よし、俺も一応宣言しておこう。
「…私も、領主になった際。一層家族や国の為に頑張ります。もちろん帝国やラッカルにも協力していきます」
俺がそう宣言すると、皆微笑んでくれたが、兄様は心配そうな顔をした。
「ギル。あまり、やり過ぎたらダメだよ?」
その言葉に、リーカイ様も頷く。
「ギル殿の活躍は十分に分かっていますから、ご自分の事も大事にして下さいね」
おおっと、俺のやり過ぎ走り過ぎがバレてる!
そのやり取りを見て、セフ夫人が面白そうに笑う。
「やはりトーレの賢者様ですわね」
うーん。
そう言う事にしておこう。
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