転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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129 推しとの作戦会議

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「ふむ。ギルはドンク公爵夫人とジェレミー殿のお茶会と、ドンク公爵との商談があるんだな」

「そうなの。お茶会は俺も今後開くだろうから参考にさせて貰うのと、ドンク公爵にはジェレミー兄様達の事と新しい事業のお話かな」

広い浴槽でピッタリくっつきながら、俺とテオは話をする。

「それにしても、なぜ一旦広がったはずのギルの功績が他の者となったのか」

テオが難しい顔をしている。

確かに、一旦広がったって聞いたもんね。

「んー?もしかしたら、誰か幻覚やらの魔術を掛けたのかもしれないね。その魔術を一気に解く方法があるかもって言ったら、テオは驚く?」

俺の言葉に、テオは片眉を上げて見せた。

「ほう?もしやレッドドラゴンリーフ関係か?」

「んもう。さすがテオ」

俺の愛しの婚約者様は話が早くて助かるよね。

レッドドラゴンリーフは煮出した後に粉末にして販売しているんだけど、出涸らしになった葉は堆肥に使用しているんだ。

それを、ちょっと加工して、お香にしてみたらすごい効果だったのだ。

「お香にしても回復の効果があるのか調べたんだけど、他にスゴイ効果が得られたの」

「お香か。それなら集まりでも使用しやすいな」

お茶会や、貴族のパーティーでも香りのする花を飾ったり、お香を炊いたりとかって普通だしね。

最初は家族のリラックスタイムに良い香りのものが欲しいなと思ってたんだけど、レッドドラゴンリーフを利用したらどんな効果があるか試してみたくなったんだよね。

もちろん俺が試したんだけど、頭がスッキリして疲れや嫌な魔術の残り香みたいなのがキレイにさっぱりしたんだ。

やっぱり他の貴族と接触する時に、こちらに邪な感情や悪い魔術を仕掛けてこようとする奴っているわけよ。

もちろんこのギル様の手に掛かれば、そんなもの弾き飛ばせるんだけどね。

でもやっぱり力は使うし、ちょっと残り香みたいなのはあるんだけど、それがキレイに無くなったんだ。

それで、そのお香を家族の屋敷や、リーナイト商会で使用して貰おうって思ったワケ。

「なるほど。悪い呪いやらを香りで防ぐ事が出来るのなら、良い防護策になるな。リーナイト商会もジェレミー殿の為に魔術を張り巡らせているが、そのお香の効き目が証明されれば、その魔術を他に回す事が出来るものな」

テオが感心した様に唸る。

「そうなの。それに、今後商談の時などに使用して、お互いフェアな状態だって証明出来たら後々問題も起きにくくなるんじゃ無いかって。とりあえずいくつか試作品を作ってジャメルやお祖父様のお屋敷。セルジオ様には試験的に使って貰っているの。テオもセルジオ様達と商談があるでしょ?その時に説明があると思うけど、テオも実際に使ってみて欲しいな」

「ああ、もちろん。今度帝国に帰る際に、皇帝の嫡男の主宰するパーティーがある。その時に説明して使用してみよう。…兄が、最近そう言った会の後に酷く疲れると言っていてな。歳のせいかと言っていたがまだまだ若い。もしかしたら、君の偽物であるゴルは魔術を使っているのかもしれない」

皇帝なら、その後はお付きの方々によりそう言った類の魔術を消されるんだろうど、他の貴族達はそうはいかないだろうからね。

俺の話が消えて、ゴルの名前が流れているのなら、十分可能性はあるだろう。

「用心に越したことは無いからね。それと、今はレモルトの屋敷の人達やレモルトの民には俺の話は伝わってるでしょ?」

「ああ。確かに、貴族より平民の方が君の話を知ってるくらいだな」

「ね?貴族には魔術を掛けても、平民全体には難しいでしょ」

俺がそう言うと、なるほどとテオは頷く。

「確かに、貴族より平民の方が多い訳だから、そちらに広めた方が早いな」

「でしょう?それでね、平民にそう言った話が広まりやすいギルドにも、そのお香を広めたいと考えてるの。レモルトのレモンを混ぜたら爽やかな香りになるだろうし、ミントを使ったら清潔感のある香りも作れるかも。平民だったらそこまでレッドドラゴンリーフの割合は少なくても良いと思うんだ。それに頭がスッキリしていた方が、仕事も捗りそうじゃない?」

俺の一方的な話を、テオは満足そうに聞いてくれる。

そして優しく俺の頬を撫でた。

「ギルは本当にスゴイな。さすがトーレの賢者だ。早く私の妻なんだと世界中に自慢して周りたいよ」

「ふふ。俺だって、早くテオは俺の自慢の旦那様だって言いたいよ」

再び甘い空気になりながら、俺はテオの唇が降りて来るのを待った。

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