転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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119 推しの邪魔者達

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帝国の貴族達にアピール後は、彼らも商談やらがあるので俺とテオは家族の元へ向かう。

やはり青い服を着たホセ兄様は目立ち、人だかりが出来ていた。

「素晴らしい衣装ですわ。ホセ様のフロル様への愛が感じられます」

「ああ。良い色ですな」

口々に褒められたホセ兄様は、フロル様の肩を抱きながら満足そうにしていた。

チラリと周りを見れば、赤いドレスの令嬢達は気まずそうにしていた。

ホセ兄様に会わせたなどと言っていたマーミー令嬢は特に悔しそうだが、周りからも良い加減に諦める様に嗜められていた。

「マーミー嬢。ホセ様はフロル様以外、眼中にございませんわよ」

「…私の方が、剣術に長けておりますわ」

「あら。ホセ様は剣術に長けた令嬢は望んでおりませんでしょ?お二人の出会いのお話は有名ですわ」

「でも、私だって!」

「良い加減になさいな。マーミー嬢。フロル様が卒業されたらすぐに領地に連れて行った程ですわよ?他の方が割り込める隙なんて無いわ。お二人の揃いのピアスもご覧になったでしょ?レッドドラゴンから贈られた鱗だそうよ」

ホセ兄様を狙う事は許せないけど、マーミー令嬢自体は友人も多い様で、友人達は新しい殿方を探す様に説得している。

「そうですよ。ホセ殿はフロル様と婚約されてから一層鍛錬に磨きをかけるほど、フロル様を愛されているんですから。全く。あなたは美しいと評判なんですから、早く他の殿方を探しなさいな。明日私のお茶会にいらっしゃい。良いわね!?」

「…分かったわ…」

「ね、外にも素敵なスイーツが準備してあったわ。あちらで楽しみましょう?」

「そうそう、私の婚約者もいるの。紹介させて貰えるかしら?」

あれ、俺の出る幕なかった?

マーミー嬢は涙を拭いつつ、友人達に連れられて外に出て行った。

外にもおしゃべりが出来る様に椅子やテーブルが準備されているから、そちらで慰め会をするのだろう。

「あの令嬢は友人が多いのだな」

「そうだね。しかもしっかり注意してくれる、良い友人達だ」

テオとヒソヒソ話つつ、もう一人の令嬢を見ると、そちらは周りに親族しかいない様だった。

シンプラー伯爵家のアンルカ嬢は、黒髪の知的美人ではあるが友人は少ない。

賢いが周りを見下している様で、あまり同性から好かれるタイプでは無いのかもしれないな。

アンルカ嬢は、感情の無い様な目でホセ兄様を見つめている。

「…あちらの令嬢は危険な香りがするな」

「うん。俺もそう思う。家も王都貴族を鼻に掛けてるし、俺みたいな辺境貴族を馬鹿にしてる所だよ。そのくせに、ホセ兄様を婿になんて話を持って来た事もあるんだ。父様が一蹴してたけど」

「なんと」

そう。

アンルカ嬢のシンプラー伯爵家は、昔の戦争で爵位を取って王都に移り住んだ貴族で、現当主はこれと言った功績は聞かない。

典型的な王都の貴族だ。

地方の貴族を馬鹿にしているくせに、流行り物や利益ばかりを追い求めているのだ。

一昔前はそういった貴族も多かったが、現在では功績も無い当主は笑い者だ。

現国王もそう言った貴族に厳しい為、功績のある家と繋がりを作ろうと必死だったりする。

「シンプラー伯爵家は、次期当主と言われている長男が娼館で問題を起こして、厳重注意を受けたんだ。それでも素行が悪いらしく、今回のパーティーにも参加を許されていないの。彼が後を継いだら、爵位返上は時間の問題だとも言われているくらいなんだよ」

「うむ。それなら他に良い相手を娘に見つけてくれば良いのにな」

「そうだよねぇ。彼女はプライドと理想が高すぎるみたい。それに見合った実力があれば縁もあったんだろうけど、中々難しい様だよ。父親も彼女の意思を尊重したいみたいだけど」

素行の悪い長兄に見切りを付けて、一応は優秀である妹に婿を取らす事にシフトしたみたいだけど、アンルカ嬢が思いを寄せるのがホセ兄様だってのが問題なんだよね~。

ホセ兄様には、フロル様と言う美しく優しく、素晴らしい婚約者が居るからね!

「ギルの事だから、万全の罠を仕掛けているんじゃないか?」

テオは、揶揄うように俺の腰を引き寄せる。

「ふふ。当たり前でしょ?」

そう言って飛び切りの笑顔をテオに向けた。














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