転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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118 推し達とのアピール

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「…失礼した。情報が間違っていた様だ」

ポートランス公爵は、申し訳無さそうに頭を下げた。

「いえ、どうぞお気になさらずに。兄はすっかり回復しましたし、病気だったとは思えないでしょう?」

「ええ。とてもお元気そうですね」

俺は大きく頷いた。

「それでも、何年か前は私は兄に近付く事を禁止されました。魔力が強すぎて影響が出ると。今はそんな事もありません」

ジェレミー兄様を見て言うと、ポートランス公爵そうだったんですねと感慨深く頷いた。

「そうでしたか。レッドドラゴンリーフは本当に。本当に魔力拒否症を治したのですね…」

その呟きがどことなく重く、彼の周りにも同じ様に病に苦しんでいる人がいるのだろうかと思った。

国内では流通しているが、帝国にはまだそんなに流通は始まっていないからね。

「早く帝国へも流通が出来る様に、私たちも尽力します」

そこへ、テオと小競りあっていたニムラス伯爵が会話に入る。

帝国の代表的な薬関係の伯爵なら、ルートを確約したらすぐに広めてくれるだろう。

今回の招待もその線で選んだんだろうと思う。

テオの幼馴染だし、セルジオ様達が選んだと言う事は優秀なのだろう。

「こちらの第三王子殿下も、回復に向かっているそうですね。我が国でもグリーンドラゴンリーフがあるとは言え、やはり魔力拒否症は進行は止められません。多くの国民が待ち望んでいます」

ニムラスの言葉に、俺も大きく頷く。

帝国にはグリーンドラゴンリーフがあるから、国民でも魔力拒否症の進行を抑えられてはいるが、やはり長く生きる事は難しい。

成人前には亡くなる事が多いのはどこも同じなのだ。

「今回の式と祝いが終わり次第、ギルは私と帝国に向かう事が決まっている。今回のお二人とギルのご家族も参加される。その時にレッドドラゴンリーフの正式な販売を進めたいと皇帝には進言してある」

テオの言葉に、ニムラス伯爵は良かったと頷く。

ポートランス公爵も頷いており、隣のガルドル伯爵がにこやかに話に参加する。

「その時は是非、私の商会の衣装を…。と言いたいところですが、本日の衣装も素晴らしいですね。もしや話題のチンタック男爵の商会でしょうか?」

確かに俺とテオの衣装は、チンタックで仕立てたものだ。

話題とはと聞くと、ガルドル伯爵は大きく頷いた。

「ええ、帝国でも話題ですよ!デザイン性に優れ、何より防護魔法のかかった布を使用しているとか。平民向けも販売しているのでジワジワと人気になっているんです」

なるほど。

確かにチンタック男爵家のミーク令嬢のデザイン性は素晴らしいし、俺も一緒に開発した布は帝国でも需要がある様だ。

「ああ、ギルが開発に参加した布だな」

「なんと!ギル様はそちらにも関わってらしたんですね!いやはや、魔力を込められるジュエリーの話や、小型冷蔵箱の話は聞き及んでいましたが…」

テオが誇らしげに俺の名を出してくれるから、少しくすぐったくなるが、アピールの機会だからどんどん知ってもらわないとね。

彼らは顔も広いだろうから、俺の功績も広げてもらえるはず。

「あぁ。最近柑橘の料理が流行っているだろう?それも元を辿ればギルだ。病に臥せていた兄上の為に喉越しが良く、酸味がありさっぱりしたものを探していたんだそうだ。それと、最近帝国にも普及している栄養食品があるだろう?あれもギルの考案だ」

テオが俺の肩を引き寄せながら、胸を張って言うと、ポートランス公爵は驚いた様に目を見張った。

「アレもですか!?なんと。食の細くなった病人や、忙しくて食事を摂れない騎士達に好評で…。それもご兄弟の為に?」

うーん。

まだまだ俺の功績広がってないね。

誰か邪魔でもしてるのか?

「ええ…。本当に食が細くなり、少しでも栄養ををと考えまして。冷蔵箱も王都から送りやすくする為に考えたものが、普及しただけなんです。防護魔法の布は、討伐に行く父や長兄にと…」

照れながら言うと、帝国の方々は顔を見合わせていた。

「そうですか…。いえ、帝国にも広まりつつあるのに、ギル様の名前が広がっていないのはおかしいですね」

ガルドル伯爵の言葉に、ポートランス公爵もニムラス伯爵も頷いている。

「うむ。誰かが故意に隠しているのかもしれないな。私の商会の関係者は国で広く薬を扱っているので、その伝手を使って全国に普及させましょう」

「ああ、そうしてくれ。もし誰かが故意にギルの名を広めない様にしているのなら、私への反逆だ。分かり次第教えて欲しい」

テオの言葉に、ニムラス伯爵は苦笑しつつも必ずと言う。

「ふむ。それではギルが賢者だと言うのも隠されたのか?」

「「賢者!?」」

またも帝国の方々は驚いた声を上げる。

うーん。

誰が邪魔をしてるんだろう?

でも、レモルトの住民は知ってたから、国民から広げた方が良さそうな気がしてきたな。











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