転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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117 推し達との披露宴

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挙式が終わると、次は隣の建物でのパーティーが始まる。

国王と王妃様はここまでなのだが、母と仲の良かった王妃様は目に涙を浮かべ、二人を心から祝福してくれていた。

ゾロゾロと教会の外へ出ると、何やら騒がしい。

「レッドドラゴンだ!」

「凄い!!」

なんと、レッドドラゴンの子供であるカーリンが、教会の上でくつろいでいたのだ。

「…父様?」

「ああ、本当は親子三匹で祝福に来ると言っていたのだが騒ぎになるからな。カーリンだけにしてもらった」

そう言う問題か?

皆が唖然と空を見上げていると、父様がカーリンに大きく手を振る。

『キューーー!!』

カーリンは父様に返事をすると、大きく三回教会の上を円を描いて飛ぶと、そのまま領地へと戻って行く。

周りからは拍手が起こり、平民達も大喜びしているし、今回の結婚式にますます箔がついて良いのかもしれないけど。

「ああ、一応国王やセルジオ様には許可を取っているからな。どちらも快諾してくれた。カーリン達もジェレミーを祝いたかったのだから」

「それなら問題は無いですね。リーナイト公爵家の結婚式はレッドドラゴンに祝福されたと国民に知らしめる事も出来ましたから」

未だに三大公爵家の嫁には相応しくないなどと言う貴族にも、大きな釘が打てるだろう。

それに、レッドドラゴンの出現で、俺の涙もうやむやに出来そうだからね。

そのままガーデンパーティーを楽しんでいた方々と合流し、広間に入る。

挙式の後は披露宴の様なパーティーが開催され、殆どが立食パーティーだ。

もちろんテーブルと椅子やソファーなどが壁側に多く準備されているので、ご高齢の方や座りたい方は自由に座って良い。

この部屋はぐるっと廊下が周りを取り囲み、その廊下にはそれぞれの家からの執事達も壁にずらっと並んで立っており、護衛もずらっと並んでちる。

もちろん彼らにも飲食は配られるが、主人に呼ばれたらすぐに駆け付ける事が出来るのだ。

立食を楽しんだ後は、ダンスホールになり各々がダンスを楽しむ。

今日はセルジオ様もジェレミー兄様も、ダンスのお相手をしないといけない。

セルジオ様に横恋慕していた令嬢や、ジェレミー兄様に良からぬ思いを持っている貴族は相手にはしなくて良い。

大抵は高位貴族の当主か王族、またはその婚約者がお相手と決まっている。

だから、セルジオ様はオール殿下の婚約者であるリーカイ様で、ジェレミー兄様はドンク公爵なのだ。

音楽隊による演奏が始まると、皆ゆったりと食事やお酒、おしゃべりを楽しみだす。

主役である二人が登場すると、拍手と歓声が起こり、それぞれ二人に挨拶を始める。

「素敵な衣装だわ~。お二人とも白を基調になさったのね」

「本当に素敵!あのレースのショールは初めて見たわ。今後流行りそうですわね」

ジェレミー兄様とセルジオ様は、二人寄り添ってお相手するので、俺はテオと社交をする事にした。

「テオ。ご友人を紹介してください」

「ああ、もちろん」

テオはすぐに近くにいた、帝国の方々のグループに案内してくれる。

「お久しぶりですテオドール殿下」

ポートランス公爵がテオに頭を下げると、他の方々も頭を下げた。

「久しいなポートランス公爵。ガルドル伯爵。ニムラス伯爵。こちらは我が婚約者のギル・ジャメルだ。ジャメル侯爵家の三男で、今回リーナイト公爵家へ嫁いだジェレミー殿の弟だ。私と結婚の際は公爵を授かる予定だ」

「初めまして」

俺も頭を下げる。

取り敢えず笑顔を貼り付けて対応するが、皆笑顔だが値踏みされてる感の視線は中々だな。

隣国の田舎領主の三男が、帝国の皇帝弟殿下と結婚と言うのは、帝国の高位貴族からしたら手放しで喜べるものでも無いだろうけど。

「…そんなにジロジロ見るな。ギルが減るだろう」

テオの言葉に、帝国貴族達は目を丸くしていた。

「テオドール殿下…」

嗜める様に名前を呼ぶと、テオはウインクをしながら俺の肩を抱き寄せた。

「テオで良い」

もうテオったら!

そう思って苦笑すると、ニムラス伯爵が吹き出した。

「ふふ、テオドール殿下も人の子でしたか」

「どう言う意味だ」

「良い相手が見つかったんですね。ギル殿、失礼しました。私はナル・ニムラスです。こちらは夫のトルネで、どちらもテオドール殿下の幼馴染です」

ニムラス伯爵に紹介されたトルネと挨拶を交わしつつ、ニムラス伯爵とテオの話に耳を傾ける。

「テオドール殿下は独身貴族を謳歌するのかと思っていましたが、まさかこんなにお若い方を射止めるとは…」

「ふん。私もそのつもりだったが、運命と言うものだ。ギルは若いが、考え方や行動は随分と大人だ。ギルの功績はそちらにも届いているのだろう?」

何やらバチバチしているが、トルネがいつもの事ですと苦笑しながらポートランス公爵を紹介してくれる。

「初めまして。テオドール殿下からお聞きしております。レッドドラゴンリーフの栽培に尽力されたと。素晴らしい事です。魔力拒否症でしたのでしょう?」

お?

何やら情報が錯綜してるのだろうか。

俺が魔力拒否症で、回復したばかりだと思っている様だ。

いやはや俺はピンピン元気なチート魔術師だ。

「ありがとうございます。魔力拒否症だったのは、本日リーナイト公爵家へ嫁がれた、兄のジェレミーです」

「ええ!?」

ポートランス公爵は、驚いた様にジェレミー兄様達に視線を向ける。

そうです、先程の誰よりも世界一美しい花嫁ですよ。





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