転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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114 推し達の立ち回り

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次はホセ兄様だろうと、周りは固唾を飲んで待つ。

そこに、ホセ兄様が馬車から登場する。

「あ、ホセ様よ。あら…?」

「素敵なお洋服ですけれど…」

ホセ兄様に気が付いた、ご婦人達が驚くのも無理は無い。

「とても深みのある青色ですわね」

「胸元から肩の後ろまで、金と赤の刺繍と、あのキラキラした物は何かしら?」

ホセ兄様の服は、光沢のあるロイヤルブルーの生地で出来ていた。

フロル様の瞳の色である。

「ほう。ホセ殿はフロル殿の色をメインに使用したんだな」

テオがそう言うと、俺は笑顔で頷いた。

「ええ。今までは赤を多く使用していましたけど、フロル様の色を全面に出したいと希望したみたいです。それに最近はレッドドラゴンが領地を良く飛んでいるでしょう?青空にレッドドラゴンが飛んでいる様にデザインしたそうですよ」

俺がそう言うと、周りの貴族も感心していた。

ホセ兄様のマントはロイヤルブルーの生地に、右胸から肩の後ろまで金と赤のスパンコールと糸と使用してドラゴンを模した刺繍が美しく施されている。

中のチェスターコートも同じ様に刺繍がされ、スラックスも同じ生地を使用している。

ブーツと剣用のベルトは黒で統一し、右の耳元には赤く透き通った鱗の様なピアスをつけている。

まさかの青い服装で現れたホセ兄様に、周りは大変驚いていた。

もちろん、例の令嬢達もだ。

ホセ兄様に合わせて赤いドレスを着て来たんだろうが、ホセ兄様は今後はフロル様の青を身に纏うと公言した様なもの。

それに合わせて今度は青を着るなんて、本末転倒だろうから、ホセ兄様の作戦は上手くいったと思う。

「フロル様の色に合わせられたのね」

「素敵ですわね~。ジャメル領の青空をドラゴンが飛んでいるイメージと掛け合わせたんですって?」

「ジャメル領の良いアピールも出来るし、何より婚約者への愛情も溢れていて素晴らしいじゃないか」

周りからの評価も良い様なので、これでホセ兄様に言い寄りにくくなったんじゃないかな。

ホセ兄様は赤いドレスの二人には視線も寄越さず、愛おしそうな笑顔で後ろに手を差し出した。

照れながら、フロル様が現れると、周りからは素敵と言う声が上がる。

フロル様の服装は、ホセ兄様と完璧に対で仕立てられていた。

刺繍は左側にあり、ピアスも揃いのモノを左耳に飾り、長く美しい金髪は右側に束ねられている。

そして、二人は揃いでルビーとサファイヤが美しく施された、ブレスレットと指輪をつけている。

ホセ兄様はフロル様を恭しくエスコートして馬車から降ろすと、腰に手を回して抱き寄せた。

「本当にお似合いですわね」

「あの衣装は、チンタック家にホセ様が自ら注文なさったんだとか」

「あの宝飾品もランデバス商会にオーダーしたそうよ」

周りの楽しそうな話し声に笑顔を向けながら、父様とシェル様、ホセ兄様とはフロル様は俺達の所に歩いて来た。

「お久しぶりです、テオドール殿下」

シェル様がそう言い、四人がテオに頭を下げると、テオは笑顔で顔を上げる様に言う。

「皆とも元気そうで。それにしても良い衣装だ。とても良く似合っている」

「ありがとうございます」

「そのペンダントやピアスはもしや…」

「ええ。レッドドラゴンの鱗です。新しい夫夫達にと頂きました」

父様がそう言うと、ホセ兄様とフロル様は、照れた様に見つめ合う。

どうやら、レッドドラゴンに今後の領主になる事を説明した時に、それならとドラゴン夫夫の胸元の鱗を貰ったのだとか。

俺が連れては来たけど、やっぱりホセ兄様や父様に懐きすぎじゃない?

「ぜひ二人もドラゴンに挨拶にいらしてください。二人にも譲りたいと申しておりました」

「それは楽しみだな。ギル」

お、俺達にも貰えるのね。

それなら良しとしましょう。

そう思いニッコリと笑いテオを見上げる。

「私達は何に加工しましょう」

「そうだな。またゆっくり考えよう」

ドラゴンから夫夫として祝福を受けたと言う話はあっという間に広がるだろう。

ホセ兄様達にちょっかいを出す貴族も、さすがにドラゴンの機嫌を損ねる事はしないよね。

「さ、教会へ入ろう」

シェル様に促され、俺達は教会へと移動する事にした。

三大公爵家の次期当主の結婚式だから、親族や王族、高位貴族も参列する。

他のゲストはパーティーが行われるまで、庭に用意されたお酒や軽食を楽しみながら社交を楽しむのだ。

いよいよ結婚式が始まる。

俺の涙腺は大丈夫だろうか。



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