転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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112 推し達との一時

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「ギル様。お帰りなさいませ。ジェレミー様もおいでですよ」

「本当!?」

執事長のドーツからの嬉しい知らせに、俺は急いで応接間に向かう。

サーディン達の事は父様が話を通していたので、そのままドーツや料理長預りになった。

応接間に入ると、ジェレミー兄様、ホセ兄様、フロル様が勢揃いしていた。

「お帰りギル。レモルトはどうだった?」

両手を広げたホセ兄様に聞かれ、俺は笑顔でその胸に飛び込む。

「とっても良い所だったよ!開拓しがいもありそう。温泉もだけど、レモンも大きなものが沢山取れるんだ」

「それは楽しみだ。…実はギルに許可を取りたい事があるんだが」

少し申し訳無さそうなホセ兄様の声に、俺は何事かと頭を巡らせる。

フロル様も少し申し訳無さそうな顔をしていると言う事は…。

「兄様とフロル様の結婚を早める話かな?」

「!!」

お、図星かな。

ジェレミー兄様の挙式が終わってから、次は俺ってなってたけど、結構時間掛かりそうなんだよね。

だからホセ兄様達には、先に結婚して貰った方が良いかもって思っていたから丁度良い。

俺がそう言うと、ホセ兄様とフロル様は苦笑しつつも顔を見合わせた。

「ふむ。ギルがそう言ってくれるなら、やはり早めよう」

「んん?もしかして、結婚式を早めたい理由でもあるの?もしかして、ホセ兄様を婿にって令嬢でも出て来た?」

俺がそう聞くと、ホセ兄様が苦虫を噛み潰した様な顔で実はと説明を始める。

「実はな。王都の貴族から娘を嫁にどうかと言う手紙が、何通か来ていてな。フロル以外を娶る気は全く無いから、さっさと結婚して黙らせたいんだ。フロルに悪い手が伸びるかもしれないし、ジェレミーの結婚を見届けたら、すぐにでも結婚したいと思っている」

「…兄様、その手紙見せてもらえます?」

兄様とフロル様の間に今更ながら入り込もうとするなんて、不届者がいるとはね。

執事が持って来てくれた手紙を見ると、どれも王都の名ばかり貴族の令嬢達だった。

今回のレッドドラゴンリーフの功績や、俺とテオとの結婚で、少しでも利益のオコボレが欲しいのだろうがそうはいかない。

「…ふん。どれも名ばかり貴族の方々ですね。兄様。セルジオ様とジェレミー兄様の結婚式には沢山の貴族も参列しますし、その時に接触してくる可能性もあるね」

「ああ、それも心配なんだ。フロルに何かあったら、王都の街を破壊してしまいそうだ」

「ホセ様…」

ホセ兄様がフロル様の肩を抱き、フロル様は照れた様に笑う。

おお眼福眼福。

「コホン。…俺がいつも以上の護衛魔術を掛けて、罠も張るよ。兄様はフロル様のそばを離れない様に気をつけてね。兄様一人でも、何か仕掛けてくる可能性はあるから、必ず誰かと行動して欲しい。セルジオ様にも許可を取って、何人か使用人に紛れて護衛を付けさせよう」

「ああ、気を付けよう。結婚式はジャメルで行う予定なんだが、邪魔をされない様にしないとな」

ジェレミー兄様達は、三大公爵家の結婚式と言う事もあるから、王都で招待客も多く規模の大きな結婚式になるのだが、ホセ兄様の様に領地で結婚式をする時は、親族と親しい友人達などを呼んだ式を行うのが一般的だ。

次期領主だから、領民に大々的にお披露目して、お菓子を配ったりするんだ。

ちなみに平民の結婚式は、教会で挙げて終わりって感じが多い。

参列するのもお互いの親族のみが普通だし、服装も普段着だし、披露宴などのパーティーも行わないんだよね。

その後にお披露目の様な食事会を開いたりする人もいるが、殆ど報告で終わりだと聞いた。

「今年、初めて花祭りを開催するだろう?その前後には結婚式を挙げたいと思っているんだが…」

「花祭りか…」

ジャメル領では、レッドドラゴンリーフを肥料として育てた花々が大変美しく、ジェレミー兄様の結婚式が終わったらすぐに花祭りが予定されている。

魔力で花の開花も調整出来るから、出来れは毎年同じ様な日程で行えればと、皆で話した事を思い出す。

観光の一つとして売りにして行きたいから、皆力を入れているんだよね。

「そうだ。それなら…」

良い事思いついた!

俺はワクワクしながら、兄様達と作戦会議をするのだった。











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