転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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106 推しと帝国の事情

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ジックの説明に、サーディンは涙を流していた。

「そんな…。レン兄様は私を守ってくださっていたんですね…」

えーん泣き顔も可愛いねぇ~!!

いけないいけない。

俺の変な性癖がバレたら、俺まで警戒されちゃう。

「取り敢えず、サーディン殿の術を解きましょう。そして術の練習を始めてみてください。きっと良い魔術師の才能があると思います。その後、もし私に使えてくれると言うのなら、ぜひレモルトで私の執事になって欲しいです」

空気も読まずにガンガン行くよ!

その方が悲しい空気とか、かっ飛ばせるからね。

「そしてテオ。ちょっとオレント伯爵の行いは酷いと思うのですが。元々その様な方でしたか?」

愛妻家故の暴走か、サンジカラの影響か。

俺の言いたい事が分かったみたいで、テオはキチンと調査すると言ってくれた。

「ええと。術を解くとは…」

そこで、拘束されたままのジックが、恐る恐る聞いてくる。

「ああ、魔術を弾き飛ばすんです。レン殿に害は無い様にしますから、あなたは一旦王都に戻り、レン殿をこちらに連れて来ては貰えませんか?」

俺が事もなげに言うと、周りがシンとなる。

あ、そうだった!

魔術を弾き飛ばすのって普通じゃ無かった!

チラリと父様を見ると、ちょっと怒ってるね。

でも、俺も怒りで我を忘れてたのごめんなさい。

「…この通り、ギルは相手の魔術を弾き飛ばす事が出来る。本来は術を解明して消滅させるのだが、面倒な様でな。これがギルのスタイルだから受け入れて欲しい」

隠さなくても良いだろうと、父様が説明すると、ジックはゴクリと唾を飲んだ。

怖く無いよ~怖く無いよ~。

笑顔を向けると目を逸らされる。

酷く無い?

「…取り敢えずあなたには私の術を掛けておきますので」

ビクリとするジックに、大丈夫ですよとさらに笑顔を向ける。

「王都まで安全に向かい、安全にレン殿をこちらへ連れて来る様に防護魔法を掛けます。あちらで悪い奴がいたら、それらからも守られますので安心してください」

俺の言葉に、ちょっとホッとしてるね。

「…王都には危険な方でもいるのですか」

ジックはまたもやギクリとする。

やだ分かりやすい~可愛い~面白い~。

「…全て話せジック。ギル殿は賢者様だ。隠し通せるものでも無いぞ」

ヤンダークに諭され、テオも飄々と頷くので、ジックは更に青い顔になりながら話だす。

「…王都のマラソ伯爵です」

「マラソか…」

テオが全て理解したと言う様な顔をしたので、問題のある伯爵みたい。

腕の立つ騎士らしいけど、まぁ結構な被虐趣味をお持ちの様で。

サーディンの容姿を気に入り、魔術も使えないのなら好きに出来そうだと嫁に欲したのもこいつみたい。

サーディンがレモルトに身を寄せてからは、今度は美しいレンや他の令嬢令息にも粉を掛けている様で、達の悪いプレイボーイみたい。

「…私の従姉妹の公爵令嬢の子供が、私の子で無いと診断された時。私より先に名前が出ていたくらいには、奔放な男だ。若い男女を数人で可愛がったり、見せ物にするのも好きなようで。腕は確かだし皇帝に忠実なので許されている様なものだ」

いやそんな男、忠実でもいらなくない?

テオの話だと、中々の渋いイケオジらしいけど、何人もの若い男女を追い詰めたりして、そのまま捨ててるみたい。

公爵令嬢との仲も色々あった話みたいだし、高位貴族の夫人や令嬢令息には紳士的で、良い遊び相手なのも自由に出来てる理由なんだとか。

下の者が訴えても、上が庇うみたい。

帝国の王都って腐ってないかコレ。

テオを見つめると、テオは苦々しく頷く。

「恥ずかしい話、ラッカルの性の奔放さを、我が国の古い貴族が真似ている所がある。若い貴族は、ラッカルと帝国の違いを理解しているし、ラッカルと同じ奔放さを求めるのなら、出家するべきと言う考えが強い。王家としても、側室の存在は許されていないと言うのに。貴族の当主が愛人を作り、本妻が癒しを求めて他の男やらに手を出す。そしてその男やらの犯す問題を、本妻に後ろめたい当主が庇うと言う、正に馬鹿馬鹿しい構図が一部成り立っている」

結構大問題だね。

自分と愛人の関係を解消して、本妻に謝罪して、本妻の愛人を糾弾ぐらいしないと。

「ラッカルの奔放さは、相手を苦しめたりはしないと聞きました。彼らの行いはラッカルへの冒涜でもあるのでは?それに、被害者が多く出ているのなら、上に立つものがしっかり処分しなくては。…テオドール殿下はそんな事ありませんよね?」

心あたりあるから、処罰出来ない訳じゃ無いよね?

俺の視線に、テオは大きく首を振る。

正式に婚約してないからって、他の方と関係を持ったら。

俺、浮気は絶対許さないタイプだからね。

「私はギル以外はいらぬ」

「それなら良いです」

それなら、そんな男さっさと処分されたらどうですか?

俺の疑問に、テオは難しい顔をする。

「…情けない話。ヤツは皇帝の三男の恋人なのだ」

おっと皇帝ご子息も関係してましたか!!

そりゃ中々手が出せない訳だね。













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