転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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99 推し達と俺の話

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「確かに。ギルの発明や提案は、新しいし斬新だな」

オール殿下まで不思議そうに俺を見るから、心の中で冷や汗が滝の様に流れて行く。

「転生ですか…。私の提案やらは、始まりは殆どが気まぐれなんです」

俺が少し戸惑った様に言うと、話の続きを促される。

テオったら余計な事言って!

取り敢えず、突っ込まれない様にしなきゃ!

「まず、魔術水道なんですが。王都に来た時に水道水が美味しくなくて…。領地は緑も多く田舎だから美味しかったのだろうと思い、お祖父様の健康も考えて、自分で色々開発してみたんです。それを水質に困っていたクラスメイトに話した所、オルネス伯爵が話を聞き付けて下さってああいった形に」

「なるほど。確かにジャメル領は自然が豊かで水質も良いからな。人の多い王都なら水質が悪いのだろうと思ったのか。オルネス伯爵は元々ウォーク家を疑っていて、調べて裏を取った後だった様で、ギルの発明した浄水魔術水道を見てこれならと、売り出す計画を立てたそうだ」

本当にたまたまだったんですよと、恥ずかしそうに付け加えておく。

実際たまたまだったしね…。

「柑橘類のデザートは、元々さっぱりした物を求めていたのもありますし、ジェレミー兄様が柑橘の香りが好きだったので。あまり菓子類には使用されていなかったですが、食べてみたら悪く無かったんです」

「食べてみたのか」

「何事も試してみたくなる性分でして」

セルジオ様に驚かれつつも、香りが良いなら大丈夫だと思ってとトボけておく。

実際レモンとかは酸味が強いけど、味は悪く無いからね。

「蜜と合わせたら十分美味しく頂けましたし、食事の間の口直しにもぴったりだと思って。それにジュレにしたらサッパリしていて、ジェレミー兄様にも喜ばれそうだと思ったんです。その後は、アイーク伯爵家やアドン子爵家が沢山考案してくださって、美味しい菓子や料理が増えたのです。栄養食品も、少しでもジェレミー兄様に栄養を取って欲しくて。ホセ兄様が遠征する時にも良い食料になると思って、提案してみたんです」

俺の話を、皆真剣に聞いてくれている。

ジェレミー兄様やフロル様は微笑ましく見てくれてるけど。

「冷菓は口にしやすいからと開発したんですが、ジャメル領まで運ぶには大変でしょう?そこで小型の保冷箱も考えたんです。そしたらレストラン等の仕入れにも好評だったみたいで。おかげで美味しい魚料理が味わえる様になりましたし。防護機能のついた布の開発は、父様やホセ兄様の甲冑もカッコいいですが、せっかくなのでスタイルの良さやそのままの格好良さが分かる服が作りたくて…。軽くて丈夫なら、ジェレミー兄様や私の洋服にも良いと思ったのがきっかけですね。その後はチンタック男爵家のミーク嬢の才能が遺憾無く発揮されたので、流行したまでです。魔力を貯められる宝石や装飾品は、ジェレミー兄様に危険があった時に防げる様にと、クラスメイト達に防護魔法を教えている時に良いのではと考えついたんです。貴族が狙われれる事件も多いですし…」

取り敢えずそこまで話すと、父様達はニコニコして、オール殿下もテオもそうかそうかと頷いている。

実際転生して前世の記憶で大儲けより、俺の好きな事を好きな様にしていた結果なんだよね。

「ふむ。ギルの発明は殆どが誰かの為のものだったのだな。今流行りの軽食スタイルも、ジェレミー殿の為だと言っていたな」

テオの言葉に、そうだと頷く。

俺の希望も沢山反映されているけど、確かに家族や周りの為に考えて、前世の記憶を使ってるのが多いのだ。

「転生と言うより、ギルは好奇心旺盛で、自分で探索したり探すのが好きなのだろうな。そして誰かの為に動く事も苦では無いのだろう」

オール殿下がそう締めてくれたので、ホッとしながら頭を下げておく。

そうです転生なんですなんて、口が裂けても言えない。

だって自分の事もあんまり覚えてないからね。

「ふふ。ギルは本当に家族が好きなのだな」

「そうだな。私やホセの服装も、ギルの好みに合わせて行った結果が大きいからな」

シェル様の言葉に、父様が笑いながら返すと、ホセ兄様も参戦してくる。

「王都の貴族に田舎者と笑われたと話したら、王都や帝国王都で流行りの服装や着こなしの資料を山程持ってきましたからね。父上に体を絞る様にお願いしたり、辺境騎士と言えど、そこら辺の流行にも敏感であれ。エスコートする相手の為にもスマートになれと怒られ、我が騎士団も随分流行に詳しくなりましたよ。おかげでシェル様やフロルの隣も堂々と歩けましたが」

「ホセ様ったら」

最後に惚気つつ、ホセ兄様の暴露に慌てる。

俺が作りあげた父様達のスマートなイメージが悪くなっちゃうでしょ!

「見た目や実力だって父様達の方がカッコいいんですから、服装や所作を完璧にしたら鬼に金棒じゃ無いですか。下手な陰口しか叩けない貴族を見返したかっただけです」

ちょっと拗ねた様に言うと、テオが楽しそうに俺を見ている。

子供っぽいかもしれないけど、大好きな家族を悪く言われたら腹立つでしょ?

結局、俺の家族バカ過ぎる一面を知られるだけの席になってしまった。

恥ずかしいけど、これで俺が家族や好きな人の為だけに動いてる貴族ってイメージも付いたよね?ね?

この国に害はありませんよと、アピール出来たよね?

さっき診断してみて、もし俺が今診断したら俺にも文字が浮かび上がるんじゃ無いだろうかと心配になる。

帰ったら、こっそり診断してみようかな。






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