転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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89 推し達との晴れ舞台

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レッドドラゴンリーフの発表を兼ねた、王室発表の日は、穏やかな風が心地よい晴天だ。

王家が集まるバルコニーは、国民に多く見える様にと、発表の際に魔術で組み立てられるのが一般的だ。

城壁の外には、沢山の国民が集まっているから、貴族は基本的に城壁の中に入れられる。

その為中庭にはテーブルや椅子が置かれ、屋外パーティー場となるのだ。

魔術で城壁の一部を少し下げ、バルコニーを前へ伸ばすと、害が無い様見えない防護壁が覆う。

結構な技術がいるみたいだけど、魔術師達が優秀だからね。

力技な所も、見ていて凄い感心した。

発表する王の前には拡声器の様な物が置かれるから、声は結構遠くまで届く。

「さて、まずは王家がニルケス殿下の話をして、その後レッドドラゴンリーフの発表になる。その後ターン王子のお披露目になっている。そしてジャメル家が侯爵になる発表が続き、その時にセルジオやフロル、ギルの婚約の話をされる。…私がリーナイト家の爵位をセルジオに譲り、レスに嫁入りする話もだ」

シェル様の説明に、父様は少し緊張している。

自分の代で爵位が上がり、ずっと思っていたシェル様と結婚出来るんだもん。

そりゃ緊張するよね。

「父様。おめでとうございます」

ホセ兄様が、俺達兄弟の代表で父様に言う。

両親が亡くなってから、長い間本当にいろんな感情を犠牲にして来たんだ。

侯爵になったら、それはそれで大変だろうけど、シェル様と一緒になれば鬼に金棒だ。

「…ホセ、ジェレミー、ギル。私は良い父親になれただろうか」

「当たり前でしょう。両親が亡くなってから、父様がどれだけ私達兄弟や領民の為に奔走して来たか。私やギルに剣の稽古を付け、ジェレミーへの薬草を集め、その資金集めに危険な任務も進んで行い、その苦労を私達には見せまいとしてくれました。その背中を見ていたから、私は強くなり、ジェレミーの回復にも繋がりました。ギルなんか、想像以上に強く逞しくなりましたからね。特に中身が」

感動的な話なのに、俺をオチに使うのやめて欲しいです。

そう思いつつも、ホセ兄様のカッコいいウィンクに俺もジェレミー兄様も、大きく頷く。

「父様が、私の為に沢山の薬草を研究してくださっていたから、私の病気の進行が遅くなっていたんです。そして、私に生きる事を諦めない様にと。家でも勉学に励める様にと、沢山の学びの本や資料を買い与えて下さいましたね。ホセ兄様やギルも随分勉学に励む事が出来ました。父様のおかげです」

「そうです。両親が亡くなって悲しい気持ちもありましたが、父様が私達の父親になって、愛情を捧げ、奔走して下さったから今の私達がいるのです。ジェレミー兄様の病気も、私達に諦めない気持ちを育ててくださいました。父様の剣術や逞しさを間近で見ていたからこそ、私も家族を愛し、図太く逞しくなったのです」

想像以上にね!

俺達の会話を聞きながら、リーナイト家のフロル様や、周りの人達も涙ぐんでいる。

先の戦闘で家族を失った貴族は多いからね。

「…父上も。長きに渡りリーナイト家を助け、私達を支え育ててくださり、ありがとうございます。父上が守ってくださった公爵家を、ジェレミーと共に必ず守り、大きくしていきます。お互いに長年思い合った方と、幸せになって下さい」

セルジオ様の言葉に、シェル様も感慨深く頷いている。

「両親を亡くした幼い私の癇癪にも、辛抱強く付き合って下さいました。父上が教え与えてくださった様々な知識と愛情で、私もホセ様を支えてジャメル領を守ってまいります」

フロル様も、やはり小さい頃は辛かったよね。

俺は記憶が戻った事もあり、周りにはショックで放心していると思われてたけど、早めに落ち着けたけど、フロル様は幼かったんだもん。

いきなり両親がって、ショックだったよね。

しんみりしていると、シェル様は優しく微笑んだ。

「礼を言うのは私の方だ。リーナイトを継ぐ事で、私は婚約を免れた。そのせいでフロルには迷惑を掛けてしまったがな」

そんな事無いですと、フロル様は首を振る。

「しかし、フロルの縁でギルが我々を商会として選んでくれ、そして再びレスと想いを伝え合う事ができた。セルジオにもフロルにも良い伴侶が得られ、兄上達にも顔向けが出来る」

「父上…」

「さ、行こう。新しい始まりだ。気を引き締めて」

シェル様カッコいい!!

父様とシェル様が並び、その後ろにセルジオ様とジェレミー兄様、ホセ兄様とフロル様が付いていく。

バルコニーの後ろは暗幕があるので、そこで大人しく待つ。

俺はもちろん一番後ろでひっそりしとく。

ま、テオに買ってもらっだ服が中々素敵でひっそりは無理そうなんだけど。

大きな拍手が起こり、まずはニルケス様達の騒動の謝罪が始まった。

透視で見ているが、取り敢えず見守るしか無いね。









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