転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

文字の大きさ
上 下
83 / 247

81 推しと少しの寂しさ

しおりを挟む

お祖父様の屋敷に着くと、風呂に入り夕食までのんびりとする。

明後日は発表だから、その時にジェレミー兄様とセルジオ様の結婚も大々的に発表される。

その時に、軽く俺とテオの事も発表するって言われたけど、目立たない様にしてくれる。

テオは表には出ないと言ってたから、ジャメル家とリーナイト家と、王家が国民の顔見せに使用されるバルコニーに出る手筈だ。

ジェレミー兄様とフロル様には、それぞれお相手から服が贈られているからか、明日急ぎで俺に服をプレゼントしたいとテオに言われた。

「あまり目立たない物にしてもらいます」

お祖父様と夕食を共にしながら、明日の事を話すと、少し寂しそうな顔をしていた。

「ギルにはまだ春は来ぬと思っていたが、あっと言う間に特大が来たな。ギルの力の大きさを考えたら、外の世界へ飛び出して行くのかと思っていた。予想以上に大物であったが」

「あまり外に興味が無いんです。興味が出たら遊びには行くでしょうけど。好きな人が沢山いるここを離れると言う考えは無いですし、力もその為意外に使う気も無いですね」

俺の推し活は俺の命だからね!

キッパリ言い切る俺に、お祖父様は苦笑する。

「しかし、皇帝の弟殿下にこちらに来させるとはギルらしい。サーガルドにはギルの魔力の高さを心配されたが、ここまで成長して好き勝手していない時点で問題は無いだろうと納得していた。実際国の為に奔走している事を、王家も理解しているからな」

あら、サーガルド伯爵にはさすがにバレてたか。

俺って結構好き勝手してると思ってたけど。

触らぬ神に祟り無し的なポジションで居られるなら、楽で良いかも。

「…お祖父様はどなたか良い方はいらっしゃらないんですか?」

俺のいきなりの質問に、お祖父様が目を丸くしている。

お祖母様が亡くなってから長いし、最後誰かと一緒になっても問題は無いよね?

「うむ。妻以上に愛する事が出来る相手には、遂に出会えなかったからな。周りには友人も多く恵まれているから寂しくも無い。王都にはジェレミーも住むしな。ひ孫が楽しみなくらいだ」

ほうほう。

確かにお友達は多そうだよね。

お祖父様はそう言いつつも、少し考えていた。

「…そうじゃな。特に恋愛感情は無いが、最近は友人と終の住処で暮らす貴族も増えて来ておる。誘われたら誰かと住む事もあるやもしれん」

お、シニアのシェアハウスってヤツね。

それも良いねと食後にお茶を飲んでいたら、ジェレミー兄様が帰宅した。

発表後はすぐセルジオ様とリーナイト家に住むから、今はバタバタしている。

発表後、すぐに父様は侯爵になる。

そして落ち着いたらシェル様はセルジオ様に爵位を譲り、父様と一緒になると聞いた。

特に式は挙げず、ジャメル領と王都を行き来して、両方を切り盛りしてくれるのだ。

ホセ兄様は騎士団をまとめつつ領地の勉強を進めて、フロル様はシェル様とジャメルの勉強をしていく感じ。

二人が立派に後継になったら、隠居するって言ってた。

中々パワフルだよね。

俺はレモルトとジャメルと王都を行き来する予定。

魔術で簡単に移動できるから、それを惜しみ無く使うつもり。

家族一緒には中々なれなくなるのは寂しいけど、俺は何処そこ顔を出しに行って寂しさを紛らわす予定。

「…お祖父様の所にも、しょっちゅう遊びに来ますからね」

「ふふ。沢山の土産話を楽しみにしているぞ」

そんな会話をしていたら、ひと段落したジェレミー兄様も会話に参加してくる。

「公爵家ではどんな様子だ?」

「公爵家では学ぶ事が多くあって大変ですが、とても充実しています。皆さんも良くしてくださいますし、商会を手伝ってくださる魔術師の方々もやる気に満ちています。私の魔力も安定して来たので、一緒に頑張ります」

実は、想像以上にジェレミー兄様の魔力は高いのだ。

俺の教えた魔術の弾き飛ばし方や、秘密を口外出来なくなる魔術なども使いこなせてるから、中々強いと思う。

これから先は兄様を狙う輩も居そうだけど、この分なら簡単に叩き潰せそうだから安心した。

「カイト殿はどうですか?」

「うん。とても筋が良いし愛嬌もあるから、商会の皆様にもお客様にも好かれているよ。魔力も高いから自分自身を守れるし、今後はジャメルとの行き来も担当してもらうよ」

良かった良かった。

みんな順調に行ってそうだね。

「そうそうカイト殿の婚約者は、今ジャメル領に居るでしょう?ホセ兄様も筋が良いと言っていたし、ちゃんと反省しているみたいだから、それとなく会っておいでって伝えたんだけど。カイト殿はあまり乗り気じゃ無いみたいで…」

おやおや。

他に好きな人でも出来ちゃったんだろうか。

「今度ジャメルに行く時は俺も着いていくので、それとなく話を聞いてみます」

「うん。他の方の話では、ずっとお相手一筋と聞いていたから心配で」

ジェレミー兄様優しいなぁ!







しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~

楠ノ木雫
BL
 俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。  これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。  計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……  ※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。  ※他のサイトにも投稿しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話

あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうきは、親に愛されたことがない子だった 親は妹のゆうかばかり愛してた。 理由はゆうかの病気にあった。 出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。 もう愛なんて知らない、愛されたくない そう願って、目を覚ますと_ 異世界で悪役令息に転生していた 1章完結 2章完結(サブタイかえました) 3章連載

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)

かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。 はい? 自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが? しかも、男なんですが? BL初挑戦! ヌルイです。 王子目線追加しました。 沢山の方に読んでいただき、感謝します!! 6月3日、BL部門日間1位になりました。 ありがとうございます!!!

処理中です...