転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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72 推しへの報告と今後の対策

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「うーむ。コンヌル公爵家が関わっていたか。一見害は無い様に見えるが、あの子息を好きにさせている時点で厄介な人物だと思っていたが。ヨンジが皇太子妃を狙っていたのは昔からだが、まさかまだ戯言を言っていたとはな」

セルジオ様達に合流し、事の顛末を報告すると、セルジオ様は苦い顔をする。

「コンヌル公爵家と言うと、特に大きな功績はありませんが、与えられた役職が良く、そのお金で色々な貴族の後ろ盾となっているとか」

ジェレミー兄様の言葉に、セルジオ様は大きく頷く。

降下された王女が大変可愛がられていた事もあり、三大公爵家の次くらいには偉い地位を持っている。

まぁ、ドンク家みたいに圧倒的な軍事力と貿易力などの繋がりがある訳でも、リーナイト家やダイヤ家の様に独自のルートを持っている訳でも無いので、王族が降下したから持ち上げられてる感じは否めない。

「王家や民に良い貴族の後ろ盾なら良いのだが、最近は評判が悪い所にも出資しているようで。確かに先先代で降下された姫君は可愛がられていたとは聞くが、その後の活躍は公爵家としてはパッとしないからな。後を継ぐ長兄も同じ様だが、弟は問題だ。確かに見た目は美しかったが、あまりにも自分を過信していてな。…明日はオール殿下にも進言しよう」

セルジオ様の言葉に、俺達は分かりましたと頷く。

「帰ったら、父上にも相談してみよう。先日の件を気にしていたからな。フロルにも話しておくよ」

程なくしてお祖父様の屋敷に着き、セルジオ様は玄関まで恭しくジェレミー兄様をエスコートする。

俺も全力で影を薄くしつつ、二人のラブラブな空気を楽しむ。

周りも気が付いてチラチラ見ているから、中々アピールが出来ている様だ。

「それではまた明日迎えに来るよ」

「はい。お待ちしております」

名残惜しそうに帰っていくセルジオ様を見送り、俺達は屋敷に入る。

趣味の悪い馬車が近くに停まっているが、キムート子爵のモノだね。

俺がお祖父様に今日の事を話すと、明日からは近くに停められない様にすると言ってくれた。

「近所には私の友人や、妻の友人も多いからな。今回のジェレミーの婚約を大変喜んでくれている。明日は彼らとお茶をする予定だから、その時に話そう。…コンヌル公爵家の子息は昔から評判が悪くてな。見た目は良いのだから、何処か別の良い縁談を当てがった方が公爵家的にも良さそうなのだが。公爵自体は本当にのんびりした奴でな。裏があるかと思ったが、亡くなった愛妻に似た息子を溺愛していてな…。最近は悪い輩に利用されているようにしか見えんが」

ふむ、綺麗な人なんだろうな。

今回のパーティーでは見なかったけど。

「オール殿下がリーカイ殿を溺愛しているのは皆知っていてな。コンヌル家のヨンジ殿は、そのリーカイ殿に嫌がらせの様な事を度々していた事もあって、オール殿下の逆鱗に触れたのだ。今回は元より参加出来なかったんだよ」

ええヤバい奴じゃん。

候補と言っても、ほぼ本決まりの皇太子のお相手に何してるのさ。

「相手はドンク公爵家の息子でもあるのだから、相手を見て喧嘩を売れば良いのに…」

ついそう呟くと、お祖父様は笑う。

「本当にのう。そもそもオール殿下とヨンジ殿には特に接点も無いのだ。殿下主催の茶会に呼ばれた事も無ければ、リーカイ殿の様に王家で働いている訳でも無い。何を勘違いしているのが知らぬが、昔結婚を申し込まれたと申していてな」

えええ?それ人違いなんじゃないの?

オール殿下がそんな軽はずみな行動するとは、とてもじゃ無いけど思えない。

「誰か、別の方と殿下を間違えてらっしゃるのでしょうか」

ジェレミー兄様の言葉に、俺もうんうんと頷く。

「オール殿下に似ているのは、陛下の弟君であるニルケス殿下かの。現在は王位継承権を放棄し、隣国やラッカルなどに滞在している様だが」

ニルケス殿下か。

俺会った事無いかも。

現王の結構歳の離れた母親の違う君で、剣術に長けていたとは聞いたことがある。

前王ったら、最終的に元子爵を後妻に迎えているけど、結構プレイボーイだったんだよね。

現王ともう亡くなってしまった下の弟君は正妻の子供だったけど、凄く気に入った妾がいて、その人を側室に迎えて子供を産ませたのがニルケス殿下だ。

妾は体が弱くすぐに亡くなってしまったので、前王はニルケス殿下を溺愛したそうだけど、本人は自分の立場を分かっていた様で、王位継承権は放棄し、さっさと隣国に留学したと聞いている。

そのまま剣術を買われ、向こうで活躍していると。

「ニルケス殿下は中々のプレイボーイと聞いたからな。もしかしたらもしかするかもしれんが、証拠も無いしな。取り敢えず明日セルジオ様が進言してくださるなら、それで良いだろう」

お祖父様にそう言われ、今日の成果を話してから、俺達は休憩に入る。

ニルケス殿下にもて遊ばれてたとしたら、ちょっとだけ同情しちゃうかも。

ヨンジは二十五くらいで、確かニルケス殿下は三十五くらいだったから、昔に幼い美人に手を出してる可能性はあるよね。

そして、ヨンジが病んでしまって、そっくりなオール殿下に気持ちをぶつけてたりしたら、結構問題じゃない?

うーん。

一度どちらかの話を聞いてみたいもんだな。






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