転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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66 推しと情報収集

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「ギル様、せっかくいらしてくださったのに、嫌な思いをさせてしまって申し訳ないわ」

別室のソファーに座ると、すぐにお茶が運ばれて来て、セーラ嬢が申し訳なさそうに言った。

「気にしないで。やっかみだって分かってるから。…あの令嬢達と男性は?」

気にしないと言いつつ、情報があるならきちんと仕入れておかねば。

職人に指示を出しつつ、セーラ嬢はテーブル向かいのソファーに座った。

「昨日リーナイト公爵家の控室に入ろうとした、コンダック伯爵家のメーデフ様のお姉様と、取り巻きの御姉妹でしたわね。ポプル伯爵家のコーン様は反省している様だけど、他の方達はご家族も評判が悪いですもの。あの男性は、最近人気の劇団を仕切っているキムート子爵ですわね」

コーンは、俺の魔力に少~しだけ抵抗出来たヤツだね。

「メーデフ様は卒業パーティーだって言うのに留年が決定しましたでしょ?あれは自業自得なのに逆恨みですわね。後は娼館を取り仕切っているマッパリ男爵家のキム様のお姉様の令嬢でしたわ。それとチョーク子爵家のコナー様の妹君ね。どちらもセルジオ様にお熱を上げていたと有名ですけど、そもそも釣り合う方々でも無いですのに」

セーラ嬢の詳しい情報と、辛辣な意見は聞いてて気持ちが良い。

「ランデバス商会には良くいらっしゃるんですか?」

娼館を取り仕切る男爵家なら、羽振りは良さそうだけど。

「マッパリ男爵家の令嬢は良く宝石をにはいらっしゃいますわ。今は働いてご自分で購入するというのも一種のスターテスの様で流行ってますのよ。それと、キムート子爵は色んな令嬢を連れていらっしゃるわね。貴族平民関係なく。まぁ、ほとんど購入されるわけでは無いですけれど」

ほほう。

それで俺が自分で購入しているのを見て、悔しそうにしていたのか。

しかし、宝石をプレゼントもしないのに、令嬢を連れて来て何がしたいんだろうか。

「まあそれでも、婚約者にプレゼントして頂きたい令嬢も多いですから。…先程の令嬢達、婚約されてないそうなの」

「へ?」

驚いて変な声出ちゃったよ。

一応貴族だから、何処かと縁を結ぶ為にも婚約くらいしてそうなのに。

「ギル様は、最近令嬢の間で流行りの恋愛小説を舞台にしたモノはご存知?それこそキムート子爵の劇団の」

恋愛小説。

何か嫌な予感がするけど、もしかしてもしかするのか?

パニ伯爵家の娘も、転生者とか言ってたし。

「…もしや、身分違いの貴族から求婚されるとか?」

「あら!ギル様も読んだ事が?」

ワクワクした目のセーラ嬢に、無いですと力強く言う。

少し残念そうな顔をしたが、そうか、そんなもんに憧れて婚約しないなんて言う令嬢も居るのか。

そして、そんな娘を甘やかす貴族もいるんだな。

「自ら道を切り開く訳でもなく、ちょっと待っていたら勝手に素敵な男性に愛されるみたいな話ですの。お話だけだったら、そんな事無いわよねって笑い飛ばせるんでしょうけど。お芝居になったら素敵な男性と綺麗な女性が役をするでしょう?それを見て夢見る方も多いみたいなのよ」

「うーん。きっと笑い飛ばせるのはセーラ嬢の様に教養のある令嬢や、現実を知っている平民の方々なんですよ。お家の中で甘やかされているだけの令嬢は、本気にしてしまうんじゃないかな」

うーんこれがシンデレラ症候群ってヤツなのかな。

「それで、何も努力もせずにセルジオ様に選ばれるとでも思っていたのか。そんなのが貴族の令嬢なんて頭が痛いね」

「本当ですわ。私も興味本位でハイリ様と舞台を見に行ったのですが、役者はそれはそれは素敵でしたけど。観劇後にお茶をしながら、現実的では無い所の話で盛り上がってしまいましたもの。何の功績も無い子爵家の令嬢が、婚約者のいらっしゃる公爵家の令息に見初められるって、その時点で廃嫡ものですわよね」

言われてみれば、ダイヤ公爵は親子揃ってそれをしたんだよね。

ダイヤ公爵自体は一応やり手だったのと、時代もあって廃嫡は免れてたけど、ヨハンはあっさり廃嫡されてるよね。

良い例があるのに、お芝居だとバイアス掛かるのかね。

「他にも、他の令嬢に目移りした令息が、婚約者を悪者にするんですの。自分の気に入った令嬢をいじめたって。目移りしている時点で貴族としての自覚がありませんし、婚約者だって注意くらいなさいますわよね?現実的では無いから私もハイリ様も興味を失ったんですが。最近は、貴族と平民の小説も流行っているそうですわ」

悪役令嬢モノってやつか。

夢見る女性にはウケるしおとぎ話は楽しめるコンテンツだけど、貴族がそれを真に受けたら終わりだよね。

俺達がその話で盛り上がっていると、腕の良い職人はバングルやらの製造を終えていた。

ジャメル領への贈り物は急ぎでなくて良いと伝えたので、お祖父様の屋敷の分だけ預かり外に出ると、ちょうどジェレミー兄様達も別室から出てきた所だった。



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