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57 推しと新しい戦力
しおりを挟む「う~ん。ギル殿はもう少しフリーでいると思っていたんだが。従兄弟に紹介してくれとうるさく言われていたから、断る理由が出来て良かったよ」
「うふふ。私の友人にも尋ねられていましたの。やはりギル様のお相手となったら桁違いの方でしたわね」
カイトやセーラ嬢が楽しそうに話し出す内容に、俺って意外とモテてたんだと感動する。
怖がられてるだけかと思ってた!!
「ふむ。ギルは良い人は居なかったのか?」
「え?殿下以外にですか?難しいですね…」
俺がそう答えると、テオは満足そうに笑った。
ええ~だってさ。
俺って結構面食いだし、強いから相手にも同等位を求めちゃうし、一途な人がいいし、年上が良かったんだもん。
筋肉質でワイルド系だったら尚良しで、俺を強く愛してくれる人が良いな~なんて乙女チックな事考えてたら、テオと出会っちゃったんだもんな~。
そんな事はお首にも出さず、俺はにこやかに会話を続ける。
問題は色々あったけど、取り敢えずフォローをしておきたい。
「…今回は、色々と問題が解決して良かった。ヨハン様は廃嫡されたけど、アルミス様は優秀だから皆も彼らには協力して欲しい」
「あら、もちろんですわ。彼らが優秀なのは皆さんもご存知ですし。ヨハン様は、まぁ、廃嫡と言うか…」
少し言いにくそうに、ハイリ嬢が言葉を濁らせる。
ふむ、あの噂は本当の様だな。
「ああ、確か現デラス侯爵家に後妻として嫁いだとか聞いたね。あそこは騎士団や魔術師の育成に力を入れているし、ドンク公爵とも懇意で輸出業にも関わってるよね。元は王族の降下した家柄だから、悪い様にはならないと思うよ」
カイトの言葉に、皆頷いている。
デラス侯爵は、ドンク公爵とも交流があり、実際は王家の裏の仕事を主にしている所だ。
現当主は四十過ぎの中々のイケオジで、裏の仕事に関わる為か体も随分鍛えられていた。
短く切り揃えられた黒い短髪と、紫の瞳が特徴的で、魔力の高さも感じられた。
「今日は侯爵だけ参加されていたわね。一応ヨハン様も卒業された様ですけれど、社交には参加されないのかしら」
「う~ん。本人も反省はしているみたいだけど、当分は謹慎みたいな感じになるのかもしれないね」
セーラ嬢やカイトは、和やかに話しているが、ハイリ嬢は少し哀れみの表情を浮かべていた。
デラス侯爵は、中々のエロオヤジと聞いている。
妻を早くに亡くしてからは、特に後妻も取らずにいたのも、多くの愛人が居たからと聞く。
特に若く美しい、そして生意気そうな男をイヤラしく攻めるのが大好きな様で、俺も一時期そんな目で見られていたとは口が裂けても言えない。
まあ、俺の桁外れの魔力に、これは手懐けるのが面倒だなと興味が逸れた様だけど。
あの侯爵の事だから、たっぷりヨハンを可愛がっているはず。
ふしだらとは言え、男達を手玉に取っていた令嬢の子だから、顔は良いしな。
今度は大人のおもちゃ的なモノでも開発して、賄賂として贈ってやろうか。
悪い事を考えつつ、新しい話に切り替える。
「そういえば、カイト殿は卒業後はどちらかにお勤めに?」
俺がそう切り出すと、カイトは少し困った顔をした。
「…実は、輿入れも先延ばしになった事だし、家業を手伝おうと思っていたんだけど、兄達も健在で。魔術を使える所を考えているんだけれど」
カイトは、卒業後すぐに嫁入りする予定だったのだが、例の令嬢の件で先延ばしになっていた。
婚約者であるベルガーは、父親のセントラ伯爵に大激怒され、鍛え直して来いと騎士団に預けられたのだ。
そう、我がジャメル領の辺境騎士団に。
チャラ男ではあるが、一応王都で騎士をしていた端くれ。
厳しい訓練にもついて来ている様だ。
今回は、反省の意味も込めて発表だけ出席し、早々に騎士団に帰っている。
「…もし良かったら、ジャメル家とリーナイト公爵家の事業に協力してくれないか?優秀な魔術師を探しているんだ」
「ええっ!?レッドドラゴンリーフの?」
「ああ。もちろん輿入れまでの間でも良いし、君が良かったらそのまま続けてくれるとありがたい。ジャメル領を行き来する事もあるから、大変かもしれないが」
「そんな。願ってもないよ。僕で良いのかな」
なんて、実は裏でこっそり動いてたのは内緒だ。
カイトはフロル様の友人だし、フロル様が領地へ行ってもカイトが訪ねて来てくれれば、フロル様も寂しくないしね。
ついでに、ベルガーに恩を売っておけば、今後火遊びもしにくいだろうし。
俺がホセ兄様に目配せすると、ホセ兄様とフロル様が、セルジオ様とジェレミー兄様を連れてやって来る。
「セルジオ様。商会で働く魔術師に、カイト殿を紹介したいのですが」
「カイトか。魔力も十分だし優秀だ。カイトが良いのなら、是非協力してもらいたい」
セルジオ様の言葉に、カイトはホッとした様だった。
「詳しい話は追々、父上と話し合おう」
「はい。ありがとうございます」
本当なら、輿入れまでゆっくり家で家事手伝いでも問題ないのだろうが、カイトの様に優秀な魔術師はもったいないからね。
良い魔術師もゲット出来たし、後は治験を成功させて、販売を開始させないとな。
そう思いつつ、チラリとお祖父様を見ると、ナートラ先生と会話している。
お祖父様のクラヴァットに仕掛けた魔術で、会話を聞かせてもらおう。
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