転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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53 推しの告白

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俺とテオは見つめ合った後、二人で父様を見る。

父様は、少し厳しい顔をしていた。

リーナイト家一族も、ジャメル一家もやはり手放しで喜べないのが伝わってくる。

ジェレミー兄様は目をキラキラさせて喜んでくれているけど。

「…私は、公爵の爵位を頂き、ジャメル領の隣。レモルト領を治めることになった」

「「!!!」」

テオの発表に、一気に部屋が騒つく。

レモルトといえば、確かにジャメル領の隣ではあるが、隣国でも一番外れの領地である。

レッドドラゴンが身を潜めていた岩山と険しい山の麓で、民はいるがコレと言った観光地でも無い。

確かに隣国に行くには必ず通るが、その次の領地が栄えているので、本当に通り道の様な領地である。

皇帝の弟殿下が治めるには、さずがに役不足の様な土地である。

「こちらの了承が得られれば、レモルトとジャメル領の間の道の整備をしようと考えている。私がこれまで行ってきた功績の分、予算を回して貰えるとの事で。今は何も無いところではあるが、良質な土や水など資源は豊富だ」

テオの話を皆が黙って聞いている。

確かに資源は豊富で、綺麗な湖畔があったり緑豊かな所ではある。

「我々はレッドドラゴンの恩恵はそのままジャメル領が受ける事で問題は無いと考えている。確かにレッドドラゴンを連れ帰ったのはギルだが、先程色々話を聞いた限り、ご家族に大変懐いていると聞いた。それなら、レッドドラゴンとレッドドラゴンリーフの権利はジャメル家の物だろう」

そんな、俺にばかり都合の良い話で良いんだろうか。

俺が少し不安になっていると、テオは畳み掛ける様に笑って話を続ける。

「我が国は時期皇帝も決まっている。私が帝国外れの領地を治めようと、そのまま婿しようと問題は無い」

婿入り??

え?テオが婿入り??

驚きすぎて、静まり返った室内に、テオが咳をする。

「コホン。…皇帝の弟が領地ごと婿入りなど難しいと思われるだろうが、キチンと皇帝他レモルトの領民達にも許可は取ってきた」

そんな事ってあるの?

皆が驚愕している中、オール殿下が話を切り出す。

「し、しかし。テオドール殿下は隣国でも功績を上げているとは言え、領地ごとなど…」

「レモルト近辺は栄えた場所でもないからな。帝都からも遠く手が行き届いていない所でもある。領民には厳しい生活が続く事もある為、私が力を入れて開発して行きたいのだ。実は今回のサンジカラ絡みの件で、私が裏から情報をそちらに回していた事もある」

「ええ!?」

確かに随分スムーズに情報が流れてくると思ったら、テオが協力してくれていたのか。

「令嬢はすぐさま帝国に引き渡したし、関係者一同も捕まった。パッショル子爵は優秀で、なぜ今回こんな事になったのか調べた所、強い催眠作用のある薬物を使用されていた事も判明した。今は爵位は預かりになり静養している。その事でパッショル子爵を邪険していた他の伯爵家の関与も発覚し、情けない事にサンジカラとの繋がりも突き止めた。今回の私の功績の一つは、サンジカラに繋がる貴族等の摘発だ」

うーむ、思った以上にサンジカラの魔の手は広がっていたんだな。

テオの話によると、サンジカラの貴族や王室関係の者たちは捕えられ、ラッカルの厳しい修道院へ送られたそうだ。

残党もいずれそちらへ送られる手筈らしい。

「そうなると、もはやサンジカラは国としても機能していないですね。王家も風前の灯と言った所でしょうか」

シェル様の発言に、テオはにこやかに頷いた。

「もはや協力するにも旨みのない国だ。今後は各国での話し合いになるだろうが、ラッカルに取り込まれる未来が一番妥当だろう。スイレン神信者達への弾圧に、怒り心頭のラッカルが既に侵攻を始めた」

おっとその情報はまだ来てなかったな。

ラッカルは宗教大国とは言え、ムキムキマッチョの国。

そこら辺の騎士より鍛えられた彼らは、同じ信者と平和を守る為に戦う道を選んだようだ。

「まあ、彼らは無差別に人を殺めたりはしないだろう。体と同じように魔力も鍛えられているから、血を流さない戦争になると踏んでいる。サンジカラはほぼ民は逃げてるし、兵士も薬や魔術で操られている者が大半と聞く。ラッカルならそれらも上手く助けつつ王家を弾圧するだろう。我らはラッカルに支援をし、協力しサンジカラの弾圧に向けて動き出している。先程トール国王達にも協力を仰ぎ、賛同して頂いた事も既に伝えてある。その橋渡しをしたと言う事が、私の最大の功績となる」

そうか。

俺がレッドドラゴンリーフに力を注いでいる間、テオは国や周辺諸国を助け、功績を上げていたんだな。

感動しながらテオを見つめる俺に、テオは苦笑しながらも続ける。

「実は、兄には初めギルへの求婚は反対された」

兄って事は、皇帝だよね。

そりゃあ帝国との境目とは言え、一応自分の領地にいたドラゴンを連れて行った俺に、文句でもありそうだし。

そう思っていると、テオは俺の思考を読み取るかのように首を振った。

「…あの時ギルが若過ぎた事もあるが、元々私とは歳が離れているだろう?それでも君と一緒になりたいと何度も直談判し、最後は折れてくれた。君が成人して私を受け入れてくれる事、そしてサンジカラの悪行を少しでも止める事に、協力する事が条件だと言われたがな」

「…ドラゴンの件は?」

「ああ、それは問題無い。我が国の領地に居たとは言え、ドラゴンはギルに付いて行く事を選んだ。その意思を尊重しなければならない。とは言え、レッドドラゴンの恩恵は我が国も欲しているのも本音だ」

そうだよね。

魔力拒否症は世界の病気だもんね。

素直に話すテオに、周りの警戒も解けてきている。

さて、父様は認めてくれるかな。



 






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