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51 推しの接触
しおりを挟む俺がテオとダンスを終え、父様達の所へ向かうと周りの視線が刺激的だ。
皆が注目するもんだからダンスが中断してしまっている。
ふーんだ。
どーだ俺の推し…いや思い人は。
セクシーでカッコよくて、更に地位と名誉もあるんだぜ?
こんな優良物件中々無いぜ。
でも残念ながら、俺に待っててくれって言った人だからね。
ポーカーフェイスを貫きながらそんな事を考えていると、オール殿下はダンスを続ける様に指示を出してくれた。
俺達は父様達の元に集まるが、音楽隊が音楽を開始しダンスは続く。
「テオドール殿下。リーナイト公爵とジャメル伯爵です」
すぐにオール殿下がテオに紹介をしてくれる。
シェル様と父様が挨拶をするのを、ドキドキしながら見守る。
テオは、父様に何を言うんだろう。
俺の腰を抱いたままだし。
「初めまして。テオドール・マラサッタだ。リーナイト公爵家には我が国が大変ご迷惑をおかけした。皇帝である兄からも詫び状と共に贈り物を預かっている」
贈り物と言っても、プレゼントとかではなく何かリーナイト家に利益のある商談とか何だろうな。
「まさか弟君が来てくださるとは。今回はサンジカラも関わっており、こちらの貴族の不正もありましたので帝国だけを責める訳にはいきません。それに、幸いこちらは良い婚約にも恵まれました」
「そう言って貰えて安心した」
テオとシェル様の会話が終わると、テオは父様に向き直る。
隣にはセルジオ様とジェレミー兄様、お祖父様、ホセ兄様とフロル様も固唾を飲んで立っている。
ごめんね。
色恋沙汰の無い俺が、いきなり紹介するのが隣国の皇帝弟殿下とか引くよね。
「初めましてジャメル伯爵。リネー伯爵には許可を頂いたが、ギー。いえ、ギル殿にダンスの相手をして貰った。とても有意義な時間であった。礼を言う」
テオがギーと言った瞬間、俺に視線が集中した。
ギーって言った時、グッと俺の腰を引き寄せたから、テオったら絶対ワザとだ!!
「初めましてテオドール殿下。優秀で可愛い自慢の息子なのですが、祖父以外にダンスの予定が無いと申していたので心配していたのですが。殿下にギルと踊って頂けて大変光栄です」
父様は笑顔で答えているが、どう言う関係だ?と目が訴えている。
周りはダンスをしながらもこちらをチラチラ見ているし、家族も驚いてるし、いや~んちょっと注目浴びすぎて居心地わる~い。
「ふむ。立ち話もなんだ。良かったら、何処かでゆっくりと話がしたいのだが」
俺のそんな空気に気が付いたのか、テオは父様達に別室で会話をしたいと申し出た。
んもう。
そんなとこも好きーー!!
「ならば、リーナイト公爵家の控室へどうぞ。オール殿下もご一緒にいかがですか」
「うむ。お邪魔しよう」
シェル様が提案し、オール殿下がサッと使いに指示を出す。
さすがに伯爵家だけで帝国からの客人の相手するのは、問題だしね。
すぐに準備が整ったようで、ジャメル家とリーナイト家、そしてテオとオール殿下は控室へ向かう。
チラリとホールへ目をやると、周りは好奇や嫉妬の目だ。
国王達にはオール殿下の使いが報告をしている様だし、クラスメイト達は何事かとワクワクしてこちらを見ている。
うーん。
明日から何やら俺の周りが騒々しくなりそうだな。
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