転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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49 推しとダンスの誘い

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お祖父様とジェレミー兄様のダンスが終わると、二人は揃ってこちらに歩いてくる。

お祖父様の満足そうな顔と、セルジオ様の満面の笑みに、周りは声が掛けられない様だ。

チラリと父様やホセ兄様を伺うと、そちらも三回のダンス後はお相手と一緒になって社交を楽しんでいた。

「セルジオ殿、ジェレミーと踊らせてくれてありがとう。昔を思い出したよ」

「いえ、こちらこそ他のオオカミ共を蹴散らして頂いて、ありがとうございます」

会話を楽しむ間も、ダンスは続くのだが、パートナーと共にダンスを終えた相手を誘うのは中々難しい。

チラチラこちらを見ている貴族もいるが、無視して会話を続ける。

「あら!オール殿下とテオドール殿下がこちらにいらっしゃるわ」

「誰かお目当ての方が!?」

ダンスが行われている中央を避けるように、オール殿下とテオがこちらに歩いてくる。

「まさか、ジャメル家の…」

ジェレミー兄様を誘うのではという声が上がる中、テオは真っ直ぐ俺を見ていた。

ドクンと胸が跳ねる。

ああ、やっぱりテオだ。

「…会話中失礼するよ」

「どうぞオール殿下」

テオを連れ立って来たオール殿下を、セルジオ様が快く輪に入れる。

「テオドール殿。こちらは次期リーナイト公爵当主のセルジオと婚約者のジェレミーです。隣はジェレミーの祖父であるリネー伯爵と、弟のギルです。二人はレッドドラゴンリーフの栽培に成功したジャメル伯爵家です」

オール殿下が俺達を紹介してくれる。

この中じゃお祖父様より、公爵家のセルジオ様が対応するに相応しいから、俺達は黙って頭を下げ動向を見守っている。

「初めまして。マラサッタのテオドールだ」

「初めましてテオドール殿下。お会い出来て光栄です」

「どうぞそんなに畏まらないで。…リーナイト公爵家には、我が国の失態により大変迷惑をかけた。国を代表して謝罪したい」

テオは、フロル様の婚約破棄等を誠心誠意に謝罪した。

憂いを帯びて謝る姿もセクシーで、俺はつい見惚れてしまう。

「いえいえ、令嬢に騙された令息達も問題ですし、彼女はどうやらサンジカラ繋がりの様です。お互い協力して解決しなければなりませんね」

セルジオ様の素晴らしい返事を聞きながら、俺はチラチラとテオを見てしまう。

お祖父様に目配せで注意されて、素知らぬ顔をするが。

周りの貴族達もチラチラこちらを伺っているが、テオやオール殿下は気にもせず会話を楽しんでいる。

「ギル。レッドドラゴンリーフについて私からも礼を言わせてくれ。ジェレミーやジャメル領民の回復を見たら、弟にも希望の光が差した」

とりあえず頭を下げておくが、お隣の方が協力者ですよとはとても言えない。

「我が国にもすぐに話が行くだろう。素晴らしい功績だ」

テオの優しい声に、つい顔が緩みそうになるが
必死で礼を言うだけに留まる。

そうだよ。

俺、頑張ったよ。

テオの胸に飛び込んで思い切り甘えたいが、立場が違いすぎる以上、俺は全ての感情を殺して微笑んでおく。

「実は、テオドール殿下がダンスの申し込みをしたいそうなんだ」

和やかな空気の中、オール殿下の言葉に周りは騒つく。

え?

ダンスするの?

誰と?

「はい。どなたでしょう」

セルジオ様が答えると、周りは好奇の目でこちらを見ている。

あ、ジェレミー兄様だと思ってる?

いやもしかしてジェレミー兄様なのか?

兄様キレイだし…。

初めて見た兄様に心奪われちゃったとか?

一人で悶々と考えていると、テオは体ごと俺に向き直る。

。私と踊ってくれないか?」




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