転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

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44 推しと俺の発明

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うへへ。

バレちまったものはしょうがないなあ。

ジェレミー兄様の容体悪化に伴い、俺は様々な物の開発に走り回った。

兄様が栄養を取りやすい様に、栄養補助食品やら柑橘類のデザートやらの開発を望み、それらが安全に保存できる冷蔵箱や、保存できる瓶の開発も手掛けた。

ジェレミー兄様が回復の兆しを見せてからは、もう爆発したよね。

兄様が領民思いな事は知っていたから、領地で移動する時を考え、兄様の美しさが損なわれないような防具を考えたし、魔力を貯めて自己防衛できるアクセサリーも提案した。

他にも色々あるのだが、俺を益々恐怖の目で見て来る奴らが居るので黙っておく。

恐怖の視線の他に、厄介者を見る様な視線も感じ、そちらに目をやるとの貴族がこちらを見ている。

「辺境で、そんなに資金を集めて何をするおつもりで?」

「ええ。過ぎた財は身を滅ぼすのでは?」

王都の川や水道の整備を任されてるウォーク伯爵家の双子ので男はヤンで、女はヨン。

二人は似た顔で、茶髪に茶色の目。

どちらもボブに切り揃えられており、どちらにもそばかすがあり、顔立ちは地味だが品があるのに感情に乏しいだ。

それなのにどちらの服も、黒地に金銀色とりどりの華やかな刺繍が施されており、これまた揃いのチョーカーや豪華な宝飾を身にまとっている。

ちょっと…いや結構派手だね。

俺やフロル様と同じ様に、両親を亡くし、母親とは血の繋がらない妹の夫という遠い男が伯爵家を継いだ。

王都の川や水道の整備を任されているのに、最近王都の水の質は悪い。

沢山お金を稼いでるはずなのに、そのお金は別の所に行ってる様だ。

「何をするも何も、ジャメル家の領地の開拓や整備ですよ?領地にお金を掛けるのはでしょう」

俺がしれっと返すと、二人はムッとした顔をして見せる。

よしよし上手いぞ。

二人の後ろには、これまた派手な身なりのウォーク夫婦がいる。

派手好きで有名な子爵家の娘を嫁にし、二人の間にはこれまた派手好きな、俺より年上の娘がいた。

しかし素行が悪いので、今回は参加を見送った様だ。

「それで、勝手に浄水魔術の製品を開発したと?我がウォークに断りも無く」

「全く。これだから田舎者は嫌ですのよ。見えが良くても礼儀知らずで」

夫婦で嫌味を行ってくるが、俺は涼しい顔だ。

ウォーク家は元は何代も前の王が惚れ込んだ娼妃が産んだ、素行が悪かった王子が降下した家らしい。

しかし、その当時の王が溺愛していた為、爵位と仕事を与えられ、今だに偉そうにしているとか何とか。

王都の水の質の悪さは、皆不満を言っているのにも関わらず、ウォーク伯爵は何も対策を取らずにいた。

先代伯爵は、しっかりと管理しており、皆に慕われていたと言うのに。

水は生活の上で欠かせないし、作物だけでなく料理や菓子の味にも影響が出る。

クラスメイトの愚痴を聞き、俺はお祖父様の家に勝手に設置していた浄水魔術水道を紹介した。

一度設置したら十年以上は持つので、クラスメイトは大変喜び、家具や生活の道具を主に取り扱っているカイトのオルネス伯爵家が商品化したのだ。

俺は田舎で水が美味しかったから、こちらに来て王都だから水が不味いのかと思い、お祖父様の許可を得て使用していたのだが、まさか王都に住む人にも不評になっているとは知らなかった。

水の管理はウォーク伯爵家が独占しているくせに、水質改善はされず、お金を払えば馬鹿高い浄水魔術水道が手に入るシステムに変更されていたのだ。

平民には手が出ないし、毎年請求される使用料金に貴族達も辟易していたのだ。

「ええ、見えは良いですよ。ありがとうございます」

ニッコリ嫌味ったらしく言うと、周りがくすくす笑い、ウォーク夫婦は怒りの表情になる。

「…そもそも、なぜ多くの方の水質改善の要求を無視していらっしゃるんですか?あんな粗悪品な浄水魔術水道をあんなに高い料金で売り付けているのはなぜですか?私腹を肥やすためですか?」

「な、なんと無礼な!オルネス伯爵も、こんな田舎者に騙されて!」

思いっきり図星を突き刺すと、夫婦で慌てた顔になり、今度はオルネス伯爵にも噛み付いた。

「騙すなんて失礼な。それはこちらのセリフですよ?」

オルネス伯爵が涼しい顔で返すと、ウォーク夫婦は何事かと顔を見合わせる。

周りを見れば、他の貴族からも冷たい視線が浴びせられている。

ようやく自分達の置かれた状態が分かった様だ。

馬鹿な奴らだよ。

水道を取り仕切ってる貴族に喧嘩を売るのを分かっていて、オルネス伯爵家が売りに出したいと言った時点で、俺はウォーク伯爵家の未来は無いことを悟ったのに。







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