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42 推しとクラスメイト
しおりを挟む嵐が去った後なので、クラスメイト達もワイワイ集まり話が始まる。
父様とシェル様や、ダイヤ公爵やランデバス伯爵はそっと席を外しているので、きっと先程の令嬢の件で話し合いがあるのだろう。
他の令嬢令息達の親達も、子供達が自由に社交出来る様にと一歩下がった所で親達の社交を始めている。
「ギル様ったら、ご家族の前と学園では随分違うのね。いつもクールで落ち着いた感じですもの。驚きましたわ」
「本当だな。実は心配していたんだ。勉強も魔術も十分過ぎるくらい優秀なのに、それ以上に貪欲に学んで更に剣術にも力を入れていただろう?もしや裏で何か大きな事をやらかすんじゃいかと。でも実際は、兄上の病気を治すために必死で学んでいたんだな」
「ドラゴンには驚きましたけど、ギル様の実力なら納得してしまいますわ」
ハイリ嬢が楽しそうに話し始めると、他のクラスメイト達も話に乗っかり始める。
その会話を聞いていると、一匹狼を気取っていた俺は案外クラスメイト達に暖かく見守られていたようだ。
「あ、もしかして、ギル殿がアイール伯爵の菓子屋に通っていたのも、お兄様の為だったんじゃない?」
カイトが、気が付いた様に話すのは、俺が通っていた王都のお菓子の店の話だと気付く。
あ、俺の行動結構皆知ってるのね…。
あれ、俺結構クラスメイトに見守られてる系男子だったの?
「ああ!あのお菓子!確かにそうだわ!」
セーラ嬢がピンと来た様に声を上げると、何だ何だと周りも集まって来る。
その様子を微笑ましく見ていたジェレミー兄様は、何かに気が付いた様で、セルジオ様と一緒に会話に入ってきた。
「あの、そのお菓子って…。冷菓の?」
ジェレミー兄様の参戦に、クラスメイト達は沸く。
「…本当に綺麗な方ね!」
「緊張しちゃうわ~うふふ」
キャッキャと令嬢達が騒ぎ出すと、兄様は少し赤くなりながら、急に会話に入った事を詫びる。
そんな兄様を皆が暖かく迎え入れてくれる。
「そうそう、私の婚約者であるアイール伯爵家のお菓子屋さんに、ギル様が足繁く通っていたのは有名なんです」
ハイリ嬢の発言に、ジェレミー兄様は驚いた顔をした後、そうだったのかと言う様な顔で俺を見る。
俺がしれーっと目を逸らしている間に、令嬢達の話が進んで行く。
そこに、ハイリ嬢の婚約者であり二つ上のアイール伯爵家のケイクが会話に入ってくる。
「ギル殿には大変感謝しています。元々沢山の冷菓を購入してくださるお得意様でしたが、ギル殿が提案してくださったモノは本当に画期的で、売れ筋の一つなんですよ」
ハイリ嬢に優しく寄り添うケイクは、我が国のスイーツ大臣とも言われているアイール伯爵家の次期当主である。
焼き菓子や冷菓などを幅広く販売している為、俺は良く通っていた。
俺がお菓子が好きと言う事もあるが、実はジェレミー兄様の為に通っていたのだ。
「…あのお菓子たちは、ギルが準備してくれていたんだね」
ジェレミー兄様が呟いた言葉に、セルジオ様が反応する。
「あの菓子とは?」
セルジオ様に問われ、ジェレミー兄様はこんな祝いの席で言い辛いのですがと話し始めた。
「実は…。病気が進行して食事も喉を通らない時期があったんです。その時に、用意してもらっていたのがアイール伯爵家の冷菓なんです」
ジェレミー兄様が話し始めると、周りは真剣に耳を傾ける。
今はこうやって美しく花開き、セルジオ様の横にいるジェレミー兄様だが、数年前は魔力拒否症の症状で衰弱していたのだ。
病気の進行で歩けなくなり、食事も満足に取れなくなったが、家族は自分の為に沢山の本や食べやすく栄養のある物を準備していた事。
俺が、王都の情報を一早くジェレミー兄様に伝える為に、沢山本を送っていた事。
自分で病気の進行を分かっていたので、贈り物にお金を使わなくて良いと伝えていた事。
冷菓だけでは栄養が足りない生活の中、喉越しが良く栄養のある食べ物をアイール家が発表し、それから栄養を取れていた事。
「アイール伯爵家の冷菓には、本当に助けられました。先程のお話では、それにギルが関わっているのですね?」
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