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23 推し達にイタズラ
しおりを挟むシェル様達をドラゴン紹介した後、俺達はレッドドラゴンリーフの薬草園を案内する。
俺も力を入れた薬草園は、天井は魔術を込めたガラス張りのドームで覆われている。
防犯も考えて、周りは石造りの壁を作り、入り口には大きな扉を付けてある。
広大だが美しく、周りの草花にも力を入れた。
今後ジャメル領を観光地にする為に、今は草花の品種改良や特産品の開発にも力を入れている。
レッドドラゴンリーフをお茶にした後の茶葉は、肥料にすると花々が輝くように美しく育ち作物の成長にも良いことも分かっており、領地の収穫量アップに役立ちそうだ。
さらに茶葉を家畜の餌に混ぜると、肉の味が数段上がりこれも目玉になりそうだ。
収穫した薬草は、隣に隣接した巨大な倉庫に保管されるようにしてあり、その隣には薬草研究所も作ってある。
その隣には、粉末のお茶を製造する工場も完成間近だ。
段取りよく作業できるように提案したら、父様もアーム達も動きやすいと喜んで賛同してくれた。
「アームじゃないか!…そうか、こちらで働いていたんだな」
そうか、アームもシェル様のクラスメイトか。
薬草園の前では、責任者のアーム夫夫が待っていた。
足元には、アームに良く似た小さな女の子がいる。
「お久しぶりですリーナイト公爵。今は、こちらで夫と一緒に責任者をしています。こうして、レッドドラゴンリーフの栽培に参加できて、本当に幸運です。こちらは夫のコトです。そして、娘のアコです」
「は、初めまして、リーナイト公爵閣下」
「はじめまして!アコです!」
アコが元気よく挨拶をすると、シェル様は優しく微笑んだ。
コトは大きな体を小さくして萎縮している。
貴族と駆け落ちした平民は、確かにあまり良く思われてはいない。
時と場合によっては処罰対象である。
しかし、彼らがいなければ薬草の管理も難しかっただろうから、全力で庇うと父様も言っていた。
「君たちの話は聞いている。今回の発表が上手く行けばレスは王から表彰されるだろう。その時に、私からもアームのご実家に働きかけよう。約束する」
力強く言うシェル様に、アーム夫夫は手を取り合って喜んだ。
公爵家が後ろ盾になってくれれば、鬼に金棒だ。
「こんなに可愛らしい娘も生まれたんだ。パラン男爵の所は兄上が後を継いで、柔軟な思考になったと言われている。それとなく話を聞いてみよう」
「ありがとうございます」
勘当上等で家を出たアームも、娘が生まれてからは考える様になったみたいだ。
仲直り出来るならやっておいた方が良いもんね。
あまりにも男爵が分からず屋だったら話は別だけど。
「さ、こちらがレッドドラゴンリーフの薬草園になる」
「凄い…!これが全てそうなのか!」
扉を開くと、目の前には沢山のレッドドラゴンリーフが広がっている。
「…凄いな。本当に…」
シェル様は、それ以上言葉が出ない様だった。
一通り薬草園を案内した後、父様は他の種類の薬草園もあるがと提案した。
そちらは厳重警備はしていないので、父様だけで案内出来る所だ。
「ふむ、そちらも案内してもらっても?」
やはりシェル様は薬草が好きなようで、目がキラキラしている。
「私達は屋敷に戻っていますね。そろそろセルジオ様が帰宅する時間ですので」
ホセ兄様がそう言ったので、俺とフロル様は屋敷へ向かう。
向かう途中でホセ兄様が目配せをしたので、そうかペンダント!と思い出し、アーム達も席を外した様子を伺いつつ、二人が歩き出して数分後にネックレスが落ちる様に術を飛ばした。
後は、あの薬草園に仕掛けた魔術で覗こうっと。
前を歩くホセ兄様とフロル様にも、フロル様がよろけて兄様に抱き留められる様な術を掛けたりしつつ、俺達は屋敷へと戻った。
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