転生腹黒貴族の推し活

叶伴kyotomo

文字の大きさ
上 下
20 / 247

18 推し達の距離間

しおりを挟む

「薬草園をご案内します」

「楽しみだ」

和やかに、ジェレミー兄様とセルジオ様が並んで歩いている。

父様は先に行き、ドラゴンに説明をしている。

あの後、一通り説明を受けたセルジオ様は、すぐに色んな案を出してくれた。

学園の卒業前に行われる王家主催のパーティーは、貴族の交流会はもちろんの事、それぞれの公爵家や貴族が、王家や他の貴族に新しい商品や自分の功績などを紹介する場でもある。

辺境伯爵家が発表となると、毎年魔物の討伐なのだが、今年はリーナイト家が後ろ盾になって大々的にレッドドラゴンリーフの発表をしようと言う。

治験に参加した領民の招待も、公爵家が行ってくれる。

リーナイト公爵家が動いてくれるのなら、この上なくスムーズに行きそうだ。

「ようやくここまで来たな。無茶は感心しないが、頑張ったな。ギル」

「ホセ兄様…」

ホセ兄様と一緒に、笑顔でセルジオ様を案内するジェレミー兄様を見つめる。

ホセ兄様も、俺と同じように薬草や病気の情報を探し回っていた事を知っている。

家族が、皆で回復を願っていたのだ。

「明日は公爵と、ギルの同級生が来るんだったな。…父様の想い人か」

「ホセ兄様も知ってたの?」

驚いたように聞くと、苦笑していた。

「ああ。色々俺も情報を仕入れていてな。どうやら父様の片思いだけでは無かったようだぞ?今回の事もだが、父様にも幸せになって欲しいからな」

片思いだけではない?

もしかしてあのペンダントは。

俺は、父様と良く似た色違いのペンダントをしていた公爵を思い出す。

「あのね、実はリーナイト公爵が父様と同じ様なペンダントをしていたんだ」

「あの五角形の?あれは王都の宝石店で特別に注文して作った物だそうだぞ」

特別に注文。

つまり既製品では無いのか。

「…父様はあれを見て一人で酒を飲んでいる事が良くある。いつもは服の下に隠しているがな。…ギル。お前ならあのペンダントをこっそり首から落とす事が出来るか?」

「ええ?落としてどうするの??」

ホセ兄様のいきなりの提案に、訳が分からず驚いていると、ホセ兄様はニヤリと笑う。

「公爵の前で、だ。もしもお互いのペンダントがお互いに関係するのなら…な?」

「なるほど」

公爵の前で落とし、もし何かしらのアクションがあれば…。

恋愛にはちょっとしたスパイスが必要とは言うし、ちょっとしたきっかけも必要だよね。

そうやって、俺とホセ兄様はイタズラっ子の様な顔で約束をした。

「こちらです。足元にお気をつけて…わっ!」

「おっと」

言った側から、ジェレミー兄様が小石に足を取られる。

「ごめんなさいっ」

「いや、気にしないで。さ、行こう」

ガシッとセルジオ様が支え、ジェレミー兄様が照れながら笑う。

気にしないでと言いながら、エスコートする様手を握っているのはどう言う事なんでしょうね。

二人の甘い空気に、俺とホセ兄様は顔を見合わせて笑った。

「これはこれは…。ジェレミーに春が来たのでは」

「春が来たのはセルジオ様もでしょうよ」

ジェレミー兄様にお相手なんて!って気持ちもあるが、セルジオ様なら申し分が無い。

これは中々良い案ではと、頭の中で盆踊りを開催しながら、ドラゴン達とレッドドラゴンリーフの説明に着いて行く。

セルジオ様は、ドラゴンと会話をするジャメル一家に大変驚いていた。

どうやらドラゴンと会話が出来るのは、ジャメル家の人間だけだった。

ドラゴン達からレッドドラゴンリーフの販売の許しは出ていたので、セルジオ様がその核になるという紹介をした。

その後、収穫した葉の収納庫やら周りの警備やらを説明し、その日はお開きとなったのだった。










しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~

楠ノ木雫
BL
 俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。  これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。  計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……  ※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。  ※他のサイトにも投稿しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生して悪役になったので、愛されたくないと願っていたら愛された話

あぎ
BL
転生した男子、三上ゆうきは、親に愛されたことがない子だった 親は妹のゆうかばかり愛してた。 理由はゆうかの病気にあった。 出来損ないのゆうきと、笑顔の絶えない可愛いゆうき。どちらを愛するかなんて分かりきっていた そんな中、親のとある発言を聞いてしまい、目の前が真っ暗に。 もう愛なんて知らない、愛されたくない そう願って、目を覚ますと_ 異世界で悪役令息に転生していた 1章完結 2章完結(サブタイかえました) 3章連載

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)

かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。 はい? 自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが? しかも、男なんですが? BL初挑戦! ヌルイです。 王子目線追加しました。 沢山の方に読んでいただき、感謝します!! 6月3日、BL部門日間1位になりました。 ありがとうございます!!!

処理中です...