10 / 25
10 オカルト令嬢、ですか?
しおりを挟む
そして学園では、ヴィヴィアンを巻き込んでの婚約破棄騒動の噂が、あっという間に駆け巡った。目撃者が多かったため、ヴィヴィアンは言い訳も説明も出来なかった。
そして連日のように、ヴィヴィアンの元には交際を迫る令息がやって来るようになった。
それに伴い彼らの婚約者たちから嫌がらせを受けるようになり、それに便乗したアスベルのファンからの嫌がらせも増えたのだ。
——————そしてこの話の冒頭に戻る。
三人の女生徒に空き教室に呼び出され、アスベルに近づくなと突き飛ばされ、私は悪女?なんて明後日の方向に解釈をしていると、急にラップ音がした。
パシッ!パシッ!
「な、何ですの?何か音がしましたわ!」
廊下側の窓が突然ガラガラッと開いた。だけどそこには誰もいない。
「誰ですの?」
私には学園内を漂っている霊たちが見える。そのうちの一人が面白がって窓を開け、こちらに顔を出したのだ。でも三人には見えなかったようで、物理的に開いた窓を見て青ざめガタガタと震えている。
「あーあ。なんだか学園の霊たちはあれからそわそわと落ち着きがないのよね。それに人も霊も私の周りが騒がしくって、とても疲れちゃうわ」
ヴィヴィアンは呟きながら立ち上がると、制服の汚れをパンパンと手で払った。
「そろそろ失礼してもよろしいかしら?」
女生徒に笑顔を向けて扉の方へ向かう。三人も慌ててヴィヴィアンの後に続いた。
「ちょ、ちょっとお待ちになって!こんな気味の悪い所に置いて行かないで頂戴!」
「そういえば貴女、悪女の他にオカルト令嬢って呼ばれてるんでしたわね。おお、怖い!これは貴女のせいなの?」
「さあ、どうでしょうか?私は何もしておりませんが?」
「ああ、もう!貴女も気味が悪いですわ。先ほど申し上げたこと、お忘れにならないで!よろしいですわね」
女生徒たちはヴィヴィアンの前からバタバタと走り去った。取り残されたヴィヴィアンは廊下に置いてあるベンチに腰掛けて物思いに耽った。
「フウ。全く嫌になっちゃう。大人しく目立たなく過ごすつもりだったのに。何でこんな事に……って元凶はあの交霊会よね。あーあ、なんで首を突っ込んじゃったのかしらね?失敗したわ!でも、なんであんな高位の霊が降りたのかしら?」
「怪しいのはあの文字盤よね」
そう結論づけて顔を上げると、目の前をふわりふわりと霊が流れていた。そう、霊は普段、あの時みたいに集まって同じ方向を向いたりしない。それぞれがそれぞれの次元にいるので、重なることもぶつかることもないはず。それなのにあの時は、同じ次元、同じ空間に、いたわよね。珍しい…というか初めて見たわ。
死神が他の霊達を巻き込んだのかしら?
「まあいいわ。とりあえず、あの時の主催者の方に会って話を聞いてみたいわ」
ヴィヴィアンは立ち上がると足早に教室に戻った。
そして連日のように、ヴィヴィアンの元には交際を迫る令息がやって来るようになった。
それに伴い彼らの婚約者たちから嫌がらせを受けるようになり、それに便乗したアスベルのファンからの嫌がらせも増えたのだ。
——————そしてこの話の冒頭に戻る。
三人の女生徒に空き教室に呼び出され、アスベルに近づくなと突き飛ばされ、私は悪女?なんて明後日の方向に解釈をしていると、急にラップ音がした。
パシッ!パシッ!
「な、何ですの?何か音がしましたわ!」
廊下側の窓が突然ガラガラッと開いた。だけどそこには誰もいない。
「誰ですの?」
私には学園内を漂っている霊たちが見える。そのうちの一人が面白がって窓を開け、こちらに顔を出したのだ。でも三人には見えなかったようで、物理的に開いた窓を見て青ざめガタガタと震えている。
「あーあ。なんだか学園の霊たちはあれからそわそわと落ち着きがないのよね。それに人も霊も私の周りが騒がしくって、とても疲れちゃうわ」
ヴィヴィアンは呟きながら立ち上がると、制服の汚れをパンパンと手で払った。
「そろそろ失礼してもよろしいかしら?」
女生徒に笑顔を向けて扉の方へ向かう。三人も慌ててヴィヴィアンの後に続いた。
「ちょ、ちょっとお待ちになって!こんな気味の悪い所に置いて行かないで頂戴!」
「そういえば貴女、悪女の他にオカルト令嬢って呼ばれてるんでしたわね。おお、怖い!これは貴女のせいなの?」
「さあ、どうでしょうか?私は何もしておりませんが?」
「ああ、もう!貴女も気味が悪いですわ。先ほど申し上げたこと、お忘れにならないで!よろしいですわね」
女生徒たちはヴィヴィアンの前からバタバタと走り去った。取り残されたヴィヴィアンは廊下に置いてあるベンチに腰掛けて物思いに耽った。
「フウ。全く嫌になっちゃう。大人しく目立たなく過ごすつもりだったのに。何でこんな事に……って元凶はあの交霊会よね。あーあ、なんで首を突っ込んじゃったのかしらね?失敗したわ!でも、なんであんな高位の霊が降りたのかしら?」
「怪しいのはあの文字盤よね」
そう結論づけて顔を上げると、目の前をふわりふわりと霊が流れていた。そう、霊は普段、あの時みたいに集まって同じ方向を向いたりしない。それぞれがそれぞれの次元にいるので、重なることもぶつかることもないはず。それなのにあの時は、同じ次元、同じ空間に、いたわよね。珍しい…というか初めて見たわ。
死神が他の霊達を巻き込んだのかしら?
「まあいいわ。とりあえず、あの時の主催者の方に会って話を聞いてみたいわ」
ヴィヴィアンは立ち上がると足早に教室に戻った。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
※完結まで毎日更新です。
悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい
砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。
風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。
イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。
一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。
強欲悪役令嬢ストーリー(笑)
二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。
学園の人気者のあいつは幼馴染で……元カノ
ナックルボーラー
恋愛
容姿端麗で文武両道、クラスの輪の中心に立ち、笑顔を浮かばす学園の人気者、渡口光。
そんな人気者の光と幼稚園からの付き合いがある幼馴染の男子、古坂太陽。
太陽は幼少の頃から光に好意を抱いていたが、容姿も成績も平凡で特出して良い所がない太陽とでは雲泥の差から友達以上の進展はなかった。
だが、友達のままでは後悔すると思い立った太陽は、中学3年の春に勇気を振り絞り光へと告白。
彼女はそれを笑う事なく、真摯に受け止め、笑顔で受け入れ、晴れて二人は恋人の関係となった。
毎日が楽しかった。
平凡で代わり映えしない毎日だったが、この小さな幸せが永遠に続けばいい……太陽はそう思っていた。
だが、その幸せが彼らが中学を卒業する卒業式の日に突然と告げられる。
「……太陽……別れよ、私たち」
前にあるサイトで二次創作として書いていた作品ですが、オリジナルとして投稿します。
こちらの作品は、小説家になろう、ハーメルン、ノベルバの方でも掲載しております。
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる