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7章 すべてを終わらせる
127.パパ、目覚める
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夕日が差し込む頃、ようやく幻夢からパパが目覚めた。
「ここはどこ……俺の部屋」
「ここはレジストだよ」
ガバッと起き上がり酷い寝汗のパパの姿を見たら、びっくりして涙がピタッと止まり答えを返す。
パパが目覚めたら胸に飛びつこうと思っていたのに、そんな空気はどこにもない。
「最終段階の代償はやっぱりきつかったんだな? 五日目の夕方だよ」
「……。二重だったから、気づけなかった。前回同様星歌のぬくもりと呼び声がなかったら戻ってこれなかった……。ここは本当に現実なのか?」
お母さんの言葉にショック受けたのか、見る見るうちに顔面蒼白。しかも今の状況を疑って絶賛自信喪失中。
二重の幻夢。
一度目覚めれば安心して普通疑わない。それだけ現実味があった?
一体どんな内容?
「……セイカ。セイヤの傍にいてあげて。あたしは夕食の支度をしてくるよ」
「それなら私が」
「こう言う時のセイヤには、セイカが一番の栄養剤なんだ。なんせセイヤの一番はセイカだからな。まぁあたしにとっても一番はセイカとリュウセイだからな」
と言ってお母さんは幸せそうにお腹をさすり、部屋から出ていく。
お母さんも心配していたはずなのに、ずいぶんあっさりしている。
「パパ、多分これは現実だよ」
自分では現実だと断言できるんだけれど、幻夢の中の私だったら違うかもしれない。そうだったら怖いけれど。
「そうらしいな。幻夢の母さんは星歌に嫉妬していて、父さんが一番と言っていた。よく考えればスピカは嫉妬はしてても、父さんが一番なんて言ったことはなかった」
「そうなんだ。なら良かった。パパ、おかえりなさい」
ようやくここでおかえりなさいと言えて、予定通りパパの胸元に飛び込み甘える。
二日ぐらいは平常心でいれたんだけれど、三日目からは心配になって昨日からなるべくパパの手を握っていた。
目覚めないで消えてしまったらと思ったら、不安でたまらなかった。
「ただいま。心配をかけてごめんな。この五日間何か変わったことはあったか?」
「セレス姫達が魔族との和平会議に向けて動き出した所。私のやることは聖霊の山脈に行って、祭壇で祈りを捧げること。そしたら人間の洗脳が解けて、一応めでたしめでたし?」
「そうだな。後のことはここの住人に任せればいいんだ」
そんな私をパパは優しく受け止めてくれる。簡単に状況を説明。
すべての洗脳を解くには、聖女を護りし戦士の協力が必要不可欠。
「父さんも同行してもいいか?」
「もちろん。今回は全員参加。決行は五日後の夜」
満月がより力が発揮されるらしい。
「了解。全員で行くなら心配はないな」
「うん!!」
力強いパパの二つ返事は、完全復活を物語っていた。
これでもう大丈夫だよね。
ホッとしたら最早お決まりかのように、グーとお腹が鳴ってしまう。恥ずかしくて顔を赤らめ小さくなるけれど、確かにお腹がとてつもなく空いている。
そう言えば今日はまだ何も食べてなかったよね?
「リビングに行くか?」
「……そうだね」
「おっさん、もう平気なのか?」
「ルピ」
「ああ、おかげさまで。太くん、星歌を独占してすまなかった」
「は、そんなの当り前だろう? オレだってもし家族が寝込んだら、星歌と同じことをすると思う」
リビングには太とルピーナだけで私達を見るなり、すぐに駆け寄って声を掛ける。申し訳なさそうに謝るパパに、太はキョトンと当たり前とばかりに言葉を返す。
私もパパがそんな風に思っているとは夢にも思わず、びっくりしてしまいパパをガン見。
なぜいつもパパは太にそんな気を遣う?
パパの一大事なんだから、彼氏より優先するのは当然のこと。謝る必要はない。
それとも私と太の考えがレアだとか?
「太くんは大人だな。俺だったら少なからず嫉妬するよ」
「オレが大人? おっさんに言われるなんて思わなかった」
パパらしい答えに、単純な太は満面の笑みを浮かべて大はしゃぎ。私と言えば嫌な予感しかしなくて、ため息をつき肩をガクッと落とす。
太が大人。
そんなこと何があろうとも、声に出してはいけない言葉。
精神年齢がお子様に大人だねと言えば、間違えなく調子に乗る。そして騒ぎを起こす。
パパだってそのことえを知っているのに、どうしてそんなに過剰評価するんだろう?
イヤ過剰評価しててもいいから、声に出さないで欲しかった。
「陽、聞いてくれ。オレ、大人になった。もうお子様なんて言わせねぇ」
「は、何を寝ぼけたことを言ってんの? 確かに少しは成長しているとは思うけれど、そうやってすぐ調子に乗る辺りまだまだよ」
食器を持ってやって来た陽に有頂天の太は胸を張って言うのに対し、手慣れている陽は鼻であしらい相手にせず。
私も少しずつ成長しているとは思うけれど、大人にはまだまだでようやく青年になった所。その証拠に……あれ?
てっきりぶち切れ兄妹喧嘩勃発するかと思っていたら、意外や意外何もショックを受け部屋の隅で凹みだす。心配そうにルピーナが寄り添う。
もしかして自覚している?
「陽ちゃん、太くんは海よりも広い心を持った大人なんだ。俺と星歌の仲を温かく見守ってくれる」
「おじさん、太が海よりも広い心と言ったら、おじさんは宇宙より広い心を持ってますよす。そもそも太はおじさんには嫉妬しませんが、黒崎くんにはバリバリ嫉妬してますよ」
申し訳なさそうにも懸命に太の肩を持つパパだったけれど、陽に論破され頬を赤く染め脂汗をかく。
確かに太は何かと黒崎に嫉妬している。太は肩を落としますます凹んでいた。
「ここはどこ……俺の部屋」
「ここはレジストだよ」
ガバッと起き上がり酷い寝汗のパパの姿を見たら、びっくりして涙がピタッと止まり答えを返す。
パパが目覚めたら胸に飛びつこうと思っていたのに、そんな空気はどこにもない。
「最終段階の代償はやっぱりきつかったんだな? 五日目の夕方だよ」
「……。二重だったから、気づけなかった。前回同様星歌のぬくもりと呼び声がなかったら戻ってこれなかった……。ここは本当に現実なのか?」
お母さんの言葉にショック受けたのか、見る見るうちに顔面蒼白。しかも今の状況を疑って絶賛自信喪失中。
二重の幻夢。
一度目覚めれば安心して普通疑わない。それだけ現実味があった?
一体どんな内容?
「……セイカ。セイヤの傍にいてあげて。あたしは夕食の支度をしてくるよ」
「それなら私が」
「こう言う時のセイヤには、セイカが一番の栄養剤なんだ。なんせセイヤの一番はセイカだからな。まぁあたしにとっても一番はセイカとリュウセイだからな」
と言ってお母さんは幸せそうにお腹をさすり、部屋から出ていく。
お母さんも心配していたはずなのに、ずいぶんあっさりしている。
「パパ、多分これは現実だよ」
自分では現実だと断言できるんだけれど、幻夢の中の私だったら違うかもしれない。そうだったら怖いけれど。
「そうらしいな。幻夢の母さんは星歌に嫉妬していて、父さんが一番と言っていた。よく考えればスピカは嫉妬はしてても、父さんが一番なんて言ったことはなかった」
「そうなんだ。なら良かった。パパ、おかえりなさい」
ようやくここでおかえりなさいと言えて、予定通りパパの胸元に飛び込み甘える。
二日ぐらいは平常心でいれたんだけれど、三日目からは心配になって昨日からなるべくパパの手を握っていた。
目覚めないで消えてしまったらと思ったら、不安でたまらなかった。
「ただいま。心配をかけてごめんな。この五日間何か変わったことはあったか?」
「セレス姫達が魔族との和平会議に向けて動き出した所。私のやることは聖霊の山脈に行って、祭壇で祈りを捧げること。そしたら人間の洗脳が解けて、一応めでたしめでたし?」
「そうだな。後のことはここの住人に任せればいいんだ」
そんな私をパパは優しく受け止めてくれる。簡単に状況を説明。
すべての洗脳を解くには、聖女を護りし戦士の協力が必要不可欠。
「父さんも同行してもいいか?」
「もちろん。今回は全員参加。決行は五日後の夜」
満月がより力が発揮されるらしい。
「了解。全員で行くなら心配はないな」
「うん!!」
力強いパパの二つ返事は、完全復活を物語っていた。
これでもう大丈夫だよね。
ホッとしたら最早お決まりかのように、グーとお腹が鳴ってしまう。恥ずかしくて顔を赤らめ小さくなるけれど、確かにお腹がとてつもなく空いている。
そう言えば今日はまだ何も食べてなかったよね?
「リビングに行くか?」
「……そうだね」
「おっさん、もう平気なのか?」
「ルピ」
「ああ、おかげさまで。太くん、星歌を独占してすまなかった」
「は、そんなの当り前だろう? オレだってもし家族が寝込んだら、星歌と同じことをすると思う」
リビングには太とルピーナだけで私達を見るなり、すぐに駆け寄って声を掛ける。申し訳なさそうに謝るパパに、太はキョトンと当たり前とばかりに言葉を返す。
私もパパがそんな風に思っているとは夢にも思わず、びっくりしてしまいパパをガン見。
なぜいつもパパは太にそんな気を遣う?
パパの一大事なんだから、彼氏より優先するのは当然のこと。謝る必要はない。
それとも私と太の考えがレアだとか?
「太くんは大人だな。俺だったら少なからず嫉妬するよ」
「オレが大人? おっさんに言われるなんて思わなかった」
パパらしい答えに、単純な太は満面の笑みを浮かべて大はしゃぎ。私と言えば嫌な予感しかしなくて、ため息をつき肩をガクッと落とす。
太が大人。
そんなこと何があろうとも、声に出してはいけない言葉。
精神年齢がお子様に大人だねと言えば、間違えなく調子に乗る。そして騒ぎを起こす。
パパだってそのことえを知っているのに、どうしてそんなに過剰評価するんだろう?
イヤ過剰評価しててもいいから、声に出さないで欲しかった。
「陽、聞いてくれ。オレ、大人になった。もうお子様なんて言わせねぇ」
「は、何を寝ぼけたことを言ってんの? 確かに少しは成長しているとは思うけれど、そうやってすぐ調子に乗る辺りまだまだよ」
食器を持ってやって来た陽に有頂天の太は胸を張って言うのに対し、手慣れている陽は鼻であしらい相手にせず。
私も少しずつ成長しているとは思うけれど、大人にはまだまだでようやく青年になった所。その証拠に……あれ?
てっきりぶち切れ兄妹喧嘩勃発するかと思っていたら、意外や意外何もショックを受け部屋の隅で凹みだす。心配そうにルピーナが寄り添う。
もしかして自覚している?
「陽ちゃん、太くんは海よりも広い心を持った大人なんだ。俺と星歌の仲を温かく見守ってくれる」
「おじさん、太が海よりも広い心と言ったら、おじさんは宇宙より広い心を持ってますよす。そもそも太はおじさんには嫉妬しませんが、黒崎くんにはバリバリ嫉妬してますよ」
申し訳なさそうにも懸命に太の肩を持つパパだったけれど、陽に論破され頬を赤く染め脂汗をかく。
確かに太は何かと黒崎に嫉妬している。太は肩を落としますます凹んでいた。
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