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7章 すべてを終わらせる
121.交渉してみる
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「お互いに無駄な血は流したくないですよね?」
「そうだな。私も正直な所シノブの考えには不満なんだが、マヒナはシノブに忠誠を誓っている。そしてスピカ様やお嬢様にも」
ここでようやく彼の本心を知ることができる。
マヒナの考えは分かりたくないけれど、理解だけなら出来る。
魔王族であれば、問題があったとしても忠誠を誓う。
地球にだって血統があれば良いって言う人達がいるから、まぁそう言う物なんだろう。
だったら
「そのことなんですけれど、シノブは弟の身体に寄生しているだけなんですよ」
「!? それは本当なのか?」
「はい。なので私は聖女としてシノブの魂を浄化したいんです。……協力してもらえませんか?」
敵に手の内を明かしのは賭けだけど、一か八かそう言ってお願いする。
私は寛大な心を持ってないから、一度拒否られはいそうですかで話は決裂。
「分かりました。お嬢様の言葉を信じます」
「え、本当ですか? なら私はシノブの元に行きま」
説得のかいがあり納得してくれ、私の前にひざま付かれ手の甲にキスをされる。表情が引き攣り理解に苦しむ。
そこまでしなくても良いのですが
これって忠誠の儀式って言う奴?
「でしたら私がお送りします」
暴走は止まらず、それはすごく迷惑だったりする。
私のナイトは、パパと太で充分です。
「あなたはマヒナの介抱をしていて下さい」
「ですが危険ですよ? だったら腹心のシャニーをつけます」
「いいえ。結構です」
やんわりと断っても余計話をこじらせるだけだった。突っ込むように断ってしまう。
これでだめなら全速力で逃げる。
「そのようですね。出過ぎた真似をしてすみません」
「え?」
ようやく分かってくれたようだけど、ちょっと腑に落ちない返答に首をかしげた。意外な表情で私の先を見ているから私も背後に振り向く。
「お嬢様のナイトはあの少年なんでしょ? シャニーに勝つとは大した腕前ですね」
視線の先には太がいて、翠髪の男性を打ち負かしていた。台詞からして彼がベレニーさんの愛弟子のシャニーさん。
魔族一の剣士の愛弟子に、英雄の愛弟子である太が勝った。
「はい、なので心配いりません」
とにかく笑顔になりそれだけ言って行こうしたんだけど、何か黒い物が私達の頭上高く飛び越え太の元にすごい勢いで駆け寄る。
「お前もセイカをたぶらかしたんだな。人間風情が図々しい」
ゲフ
気絶していたマヒナだった。
怒りをあらわにして、太を殴り捨てる。
突然のことに無防備だった太は、モロに喰らい倒れた。
「ちょっと何やってんのよ」
一瞬にして、ブチギレた。
頭の中に浮かぶ文字を読んで、マヒナ目掛けで思いっきり打ち付ける。
雷の球が勢いよくマヒナを襲い弾け飛ぶ。
バーン
「お嬢様、落ち着いて下さい」
「落ち着ける訳がないでしょう?」
血相を変え私を止めようとするを振り切り、次の攻撃態勢に入る。
せっかくボスはシノブだけと思っていたのに、そうではなかった。
話し合いなんてするんじゃなかった。
「──セイカ──」
ショックを受け呆然と立ち尽くし私を見つめるマヒナだけれど、そんなの知ったこっちゃない。
私の彼氏を傷つける奴なんて、
パパを悪く言って逆恨みする奴なんて、
「だいきらい!!」
どっかーん。
今度は最大級の炎の魔術を打ち込み大爆発。
間一髪でニケルさんがマヒナを救い出し、おしくも仕留められず。
でも目が死に戦意喪失したようだから、これ以上襲ってくることはないと思いたい。
「太、起き上がって大丈夫なの?」
「ああ。このおかげでなんとか」
太の元に駆け寄ると、立ち上がっていて汚れを払っていた。
信じられない光景が信じられず聞いてみると、龍くんと同じ理由でボロボロになった札を見せられる。
「良かった。本当に良かった」
ホッとしたら、涙があふれ太に抱きつく。
「心配掛けさせてごめんな。一人倒したからって油断した」
「そうだ。まだ戦いは終わってないんだった」
私の頭を優しくなでながら、現実を突きつけられハッとする。
「星歌?」
「パパのとこに急いで行かないと」
「そうだな。行くぞ」
って言って太は私の手を掴み、今度はパパの元に急ぐ。
「やっぱり、お前は何をやっても弱ちいな。もう降参したらどうだ?」
「するわけないだろう? このぐらいどうってことない」
まったくと言っていいほどのノーダメージのシノブ。相変わらずパパを小ばかにして余裕ある口調。
一方パパは何もかもがズタボロで、痣や深い傷を複数負っている。血だらけ。それでも鋭い視線は隙を狙っていた。
痛みを感じていない?
「どうってことないね。だとしてもオレはこの通りノーダメージ。お前はオレをけして傷つけられない。負けを認めるしかないだろう?」
「…………」
なのにシノブはあざ笑っているだけで、勝ち誇っている。
図星なんだろうか、パパは歯を食いしばり何も言わない。
息子の身体を傷つけられない。親として当然か。
それなのにそれをシノブが利用していて──え?
シノブの背後に、陽とお母さんの姿が映る。
パパは気づいているのかお母さんとアイコンタクトを取り合う。
「今だ」
「は?」
パパは掛け声とともに、シノブに飛びつき抑え込む。初めてシノブの顔に焦りの表情が見えて、藻掻くのだが逃れられない。
その瞬間、陽とお母さんが発動させた無数の縄が、シノブとパパを捉え動きを封じる。
「そうはさせない」
ドガ~ン
聞いたことのない声が聞こえたと思ったら、パパの背中を巨大な氷柱が突き刺さる。捉えられた縄は氷り砕けた。
「ゲホ」
血飛沫と吐血が同時に噴水のように噴き出す。
あっと言う間に形勢逆転となり、シノブがパパを捉える。
「まったく焦った。これで今度こそ」
「終わるのはお前だ」
バーン
あの時と同じようにパパの胸を貫こうとするけれど、今度は龍くんの力ある言葉が聞こえた。
いつの間にかシノブの背後を龍くんが取っていて、剣を振りかざしシノブの腕を切り捨てパパを助ける。
あまりの展開の速さに、目も頭も追いつかない。
「龍ノ介?」
「ああ。今度はオレが相手だ。オレはセイヤやスピカと違って優しくないからな」
二人はにらみ合う。
「そうだな。私も正直な所シノブの考えには不満なんだが、マヒナはシノブに忠誠を誓っている。そしてスピカ様やお嬢様にも」
ここでようやく彼の本心を知ることができる。
マヒナの考えは分かりたくないけれど、理解だけなら出来る。
魔王族であれば、問題があったとしても忠誠を誓う。
地球にだって血統があれば良いって言う人達がいるから、まぁそう言う物なんだろう。
だったら
「そのことなんですけれど、シノブは弟の身体に寄生しているだけなんですよ」
「!? それは本当なのか?」
「はい。なので私は聖女としてシノブの魂を浄化したいんです。……協力してもらえませんか?」
敵に手の内を明かしのは賭けだけど、一か八かそう言ってお願いする。
私は寛大な心を持ってないから、一度拒否られはいそうですかで話は決裂。
「分かりました。お嬢様の言葉を信じます」
「え、本当ですか? なら私はシノブの元に行きま」
説得のかいがあり納得してくれ、私の前にひざま付かれ手の甲にキスをされる。表情が引き攣り理解に苦しむ。
そこまでしなくても良いのですが
これって忠誠の儀式って言う奴?
「でしたら私がお送りします」
暴走は止まらず、それはすごく迷惑だったりする。
私のナイトは、パパと太で充分です。
「あなたはマヒナの介抱をしていて下さい」
「ですが危険ですよ? だったら腹心のシャニーをつけます」
「いいえ。結構です」
やんわりと断っても余計話をこじらせるだけだった。突っ込むように断ってしまう。
これでだめなら全速力で逃げる。
「そのようですね。出過ぎた真似をしてすみません」
「え?」
ようやく分かってくれたようだけど、ちょっと腑に落ちない返答に首をかしげた。意外な表情で私の先を見ているから私も背後に振り向く。
「お嬢様のナイトはあの少年なんでしょ? シャニーに勝つとは大した腕前ですね」
視線の先には太がいて、翠髪の男性を打ち負かしていた。台詞からして彼がベレニーさんの愛弟子のシャニーさん。
魔族一の剣士の愛弟子に、英雄の愛弟子である太が勝った。
「はい、なので心配いりません」
とにかく笑顔になりそれだけ言って行こうしたんだけど、何か黒い物が私達の頭上高く飛び越え太の元にすごい勢いで駆け寄る。
「お前もセイカをたぶらかしたんだな。人間風情が図々しい」
ゲフ
気絶していたマヒナだった。
怒りをあらわにして、太を殴り捨てる。
突然のことに無防備だった太は、モロに喰らい倒れた。
「ちょっと何やってんのよ」
一瞬にして、ブチギレた。
頭の中に浮かぶ文字を読んで、マヒナ目掛けで思いっきり打ち付ける。
雷の球が勢いよくマヒナを襲い弾け飛ぶ。
バーン
「お嬢様、落ち着いて下さい」
「落ち着ける訳がないでしょう?」
血相を変え私を止めようとするを振り切り、次の攻撃態勢に入る。
せっかくボスはシノブだけと思っていたのに、そうではなかった。
話し合いなんてするんじゃなかった。
「──セイカ──」
ショックを受け呆然と立ち尽くし私を見つめるマヒナだけれど、そんなの知ったこっちゃない。
私の彼氏を傷つける奴なんて、
パパを悪く言って逆恨みする奴なんて、
「だいきらい!!」
どっかーん。
今度は最大級の炎の魔術を打ち込み大爆発。
間一髪でニケルさんがマヒナを救い出し、おしくも仕留められず。
でも目が死に戦意喪失したようだから、これ以上襲ってくることはないと思いたい。
「太、起き上がって大丈夫なの?」
「ああ。このおかげでなんとか」
太の元に駆け寄ると、立ち上がっていて汚れを払っていた。
信じられない光景が信じられず聞いてみると、龍くんと同じ理由でボロボロになった札を見せられる。
「良かった。本当に良かった」
ホッとしたら、涙があふれ太に抱きつく。
「心配掛けさせてごめんな。一人倒したからって油断した」
「そうだ。まだ戦いは終わってないんだった」
私の頭を優しくなでながら、現実を突きつけられハッとする。
「星歌?」
「パパのとこに急いで行かないと」
「そうだな。行くぞ」
って言って太は私の手を掴み、今度はパパの元に急ぐ。
「やっぱり、お前は何をやっても弱ちいな。もう降参したらどうだ?」
「するわけないだろう? このぐらいどうってことない」
まったくと言っていいほどのノーダメージのシノブ。相変わらずパパを小ばかにして余裕ある口調。
一方パパは何もかもがズタボロで、痣や深い傷を複数負っている。血だらけ。それでも鋭い視線は隙を狙っていた。
痛みを感じていない?
「どうってことないね。だとしてもオレはこの通りノーダメージ。お前はオレをけして傷つけられない。負けを認めるしかないだろう?」
「…………」
なのにシノブはあざ笑っているだけで、勝ち誇っている。
図星なんだろうか、パパは歯を食いしばり何も言わない。
息子の身体を傷つけられない。親として当然か。
それなのにそれをシノブが利用していて──え?
シノブの背後に、陽とお母さんの姿が映る。
パパは気づいているのかお母さんとアイコンタクトを取り合う。
「今だ」
「は?」
パパは掛け声とともに、シノブに飛びつき抑え込む。初めてシノブの顔に焦りの表情が見えて、藻掻くのだが逃れられない。
その瞬間、陽とお母さんが発動させた無数の縄が、シノブとパパを捉え動きを封じる。
「そうはさせない」
ドガ~ン
聞いたことのない声が聞こえたと思ったら、パパの背中を巨大な氷柱が突き刺さる。捉えられた縄は氷り砕けた。
「ゲホ」
血飛沫と吐血が同時に噴水のように噴き出す。
あっと言う間に形勢逆転となり、シノブがパパを捉える。
「まったく焦った。これで今度こそ」
「終わるのはお前だ」
バーン
あの時と同じようにパパの胸を貫こうとするけれど、今度は龍くんの力ある言葉が聞こえた。
いつの間にかシノブの背後を龍くんが取っていて、剣を振りかざしシノブの腕を切り捨てパパを助ける。
あまりの展開の速さに、目も頭も追いつかない。
「龍ノ介?」
「ああ。今度はオレが相手だ。オレはセイヤやスピカと違って優しくないからな」
二人はにらみ合う。
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