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7章 すべてを終わらせる
120.ラストバトル開幕
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あの時と同じどんよりとしたいやな空気が部屋中に萬栄している。
「ようこそ我が城へ。お待ちしてました。父上、母上、姉上」
「はい?」
聞き覚えのない声が小ばかにした口調と台詞を吐き捨てながら、堂々とした足取りで私達の元に近づいてくる。ニシキが持っていた写真と同じ顔。
これがシノブに乗っ取られた私の弟……。
【セイカ、まだ弟の魂は消滅してないよ。浄化の光を浴びせれば大丈夫】
「本当に? だったら……」
バシッツ
チョピの朗報に小さくガッツポーズ。
先手必勝とばかりに浄化の光を売り出そうとしたのに、パパが飛び出し戦闘開始。
激しくぶつかり合い、今回も目で追えないけれど、
「お父さん、助けて」
突然シノブが静止したかと思えば、涙を潤ませなんとも言えない弱弱しい声で命ごい。明らかに卑怯な罠なのにパパと来たら、真に受けシノブの目の前の拳を寸止め。
もちろんその瞬間シノブはニヤッと不気味に笑い、黒い靄を纏ったこぶしでパパを吹き飛ばす。
ドゴーン
物凄い地割れのような音が響き柱が崩れる。
「パパ!!」
「セイカ、あなたは正式な魔王の後継者。お願いだから敵に回らないで」
私の行く手をマヒナが阻む。
ただマヒナにはまったく戦闘の意志がなくって、私に必死に訴えてくる。
訳が分からない。
魔王の後継者だとしても、シノブに着くはずがない。
「マヒナは本当にあんな奴に任せて良いと思ってるの?」
「当たり前だよ。シノブはセイカの弟だろう? だから魔王の力を受け継いだセイカとシノブが結婚して、母様と三人で民衆を納めれば良い」
「は、ちょっと待って。姉弟で結婚なんて出来ないでしょ?」
マヒナは耳を疑う信じられないことを言い放し、私の頭を混乱させる。
姉弟婚なんて近親婚だから御法度だと思ったけれど、トゥーランの魔族は良かったりするの?
「100年期間が空けば、魔王族のみ許されている。しかもより濃い血を残せる」
「え、そうなの? でも私には、彼氏がいるから無理」
よく分からない理屈に呆気に取られ拍子抜けするも、相手がシノブだから 全力で拒否。
何よりも私には、太と言う大好きな彼氏がいる。
大体シノブは私を殺して魔王の器にしようしているんだけど、その辺はちゃんと理解しているんだろうか?
民衆を大切にすると本気で思っているとしたら、想像以上のお馬鹿さんかも知れない。
「彼氏? それは魔族か?」
「人間。私は魔王族かも知れないけれど、人間でもあるんだよ」
少し前までなら私なら、人間だと言い切っていた。でも今は違う。
魔族も人間も本質は同じだから、私はハーフだと言うことに誇りを持てるようになった。
太の名前を出さないのは、無駄な戦闘を避けるため。
話し合いで解決出来るんなら、それが良いに決まっている。
「どうして母様もセイカも人間を選ぶ? 人間は魔族を平気で裏切る。最低な生命体と言うのが、なぜ分からないんだ」
それでも人間嫌いのマヒナは怒り狂い、再び理解に苦しむことを言い出す。
何か違和感を感じ危険を察知した私は、反論したいけれど何も言わず。ゆっくりと後退し距離をとる。
何かがおかしい。
瞳の輝きを失ったマヒナから真っ黒な邪気が溢れ出していく。
「許さない。母様とセイカをそそのかしたあの男を」
「は、パパは関係ないじゃない。パパの所に行きたかったら、私を倒してからにして」
標的は私ではなく、なぜかパパになってしまう。思わず悪役じみた台詞を吐き、マヒナの行く手を今度は私が阻む。さっきとは真逆の立場となる。
危なくて怖いけれど、パパの元には行かせられない。
「──許せない──許せない」
「だからパパは悪くない」
壊れたレコードのように繰り返し呟き続けるマヒナ。
足を止めず襲い掛かって来るから、私は力いっぱい両手でマヒナを突っぱねる。
ゴツン
それがもろに決まったようで、マヒナは勢いよく倒れ気を失う。
……あれ?
ひょっとしなくても勝負あり?
「マヒナ!!」
次なる刺客が現れる。
かなりの大男で立派な角があり、なんとなくベレニさんの面影がある?
この人がマヒナの夫で、妻のピンチだから助けに来たのだろうか?
二対一でますます分が悪くなるけれど、気迫では負けないとキッと男性を睨む。
「お嬢様、初めまして。私はニケルと申します」
「え、あはい。あなたは敵ですよね?」
敵なのに随分と礼儀正しく名を名乗られてしまい、ひょっとしたら話が通じる人かも知れない。
少なからずマヒナとは違う。
「あなたもシノブに、魔族の行く末を託すつもりですか?」
「私は出来ることなら、人間と関わらない未来にしたいです。シノブについては、マヒナに一存しています。ですからお嬢様がこの件から退くと言うのならば、全力で協力いたします」
悲しげな瞳で私を見つめながら、辛そうに彼は答えてくれた。
その言葉は偽りはと思うけれど、後者は本心じゃない気がして溜まらない。
マヒナを気にしている辺り、マヒナに頭が上がらないんだろう。それは弱みを握られているのか、単純に鬼嫁で逆らえないだけなのかは分からないけれど。
「人間と魔族が関わらない未来を否定はしませんが、シノブに魔族を任せられないので退くことは出来ません」
「そうなんですか? お嬢様達は、魔族と人間が手を取り合う世界にしたいのでは?」
「それは魔族と人間が決めることで、強制するつもりはありません。もし魔族が人間との交流を立ちたいというなら、そう言う交渉をすれば良いだけです。私は魔族の味方でも人間の味方でもないんです」
「…………」
感情的にならないで冷静に私の思いを伝えると、ニケルさんは思う所があるのか難しい表情に変わりで考え込んでしまう。
いくら洗脳されてたとは言え、人間は無差別に魔族狩りを始めたのは事実。それに魔族だって人間を、以前から見下し馬鹿にしていたらしい。
どっちの種族にも悪い所があるんだから、それを踏まえた上で和平会議をして欲しい。その結果、お互いに干渉しないことになっても、それはそれで仕方がないと私は思う。
「ようこそ我が城へ。お待ちしてました。父上、母上、姉上」
「はい?」
聞き覚えのない声が小ばかにした口調と台詞を吐き捨てながら、堂々とした足取りで私達の元に近づいてくる。ニシキが持っていた写真と同じ顔。
これがシノブに乗っ取られた私の弟……。
【セイカ、まだ弟の魂は消滅してないよ。浄化の光を浴びせれば大丈夫】
「本当に? だったら……」
バシッツ
チョピの朗報に小さくガッツポーズ。
先手必勝とばかりに浄化の光を売り出そうとしたのに、パパが飛び出し戦闘開始。
激しくぶつかり合い、今回も目で追えないけれど、
「お父さん、助けて」
突然シノブが静止したかと思えば、涙を潤ませなんとも言えない弱弱しい声で命ごい。明らかに卑怯な罠なのにパパと来たら、真に受けシノブの目の前の拳を寸止め。
もちろんその瞬間シノブはニヤッと不気味に笑い、黒い靄を纏ったこぶしでパパを吹き飛ばす。
ドゴーン
物凄い地割れのような音が響き柱が崩れる。
「パパ!!」
「セイカ、あなたは正式な魔王の後継者。お願いだから敵に回らないで」
私の行く手をマヒナが阻む。
ただマヒナにはまったく戦闘の意志がなくって、私に必死に訴えてくる。
訳が分からない。
魔王の後継者だとしても、シノブに着くはずがない。
「マヒナは本当にあんな奴に任せて良いと思ってるの?」
「当たり前だよ。シノブはセイカの弟だろう? だから魔王の力を受け継いだセイカとシノブが結婚して、母様と三人で民衆を納めれば良い」
「は、ちょっと待って。姉弟で結婚なんて出来ないでしょ?」
マヒナは耳を疑う信じられないことを言い放し、私の頭を混乱させる。
姉弟婚なんて近親婚だから御法度だと思ったけれど、トゥーランの魔族は良かったりするの?
「100年期間が空けば、魔王族のみ許されている。しかもより濃い血を残せる」
「え、そうなの? でも私には、彼氏がいるから無理」
よく分からない理屈に呆気に取られ拍子抜けするも、相手がシノブだから 全力で拒否。
何よりも私には、太と言う大好きな彼氏がいる。
大体シノブは私を殺して魔王の器にしようしているんだけど、その辺はちゃんと理解しているんだろうか?
民衆を大切にすると本気で思っているとしたら、想像以上のお馬鹿さんかも知れない。
「彼氏? それは魔族か?」
「人間。私は魔王族かも知れないけれど、人間でもあるんだよ」
少し前までなら私なら、人間だと言い切っていた。でも今は違う。
魔族も人間も本質は同じだから、私はハーフだと言うことに誇りを持てるようになった。
太の名前を出さないのは、無駄な戦闘を避けるため。
話し合いで解決出来るんなら、それが良いに決まっている。
「どうして母様もセイカも人間を選ぶ? 人間は魔族を平気で裏切る。最低な生命体と言うのが、なぜ分からないんだ」
それでも人間嫌いのマヒナは怒り狂い、再び理解に苦しむことを言い出す。
何か違和感を感じ危険を察知した私は、反論したいけれど何も言わず。ゆっくりと後退し距離をとる。
何かがおかしい。
瞳の輝きを失ったマヒナから真っ黒な邪気が溢れ出していく。
「許さない。母様とセイカをそそのかしたあの男を」
「は、パパは関係ないじゃない。パパの所に行きたかったら、私を倒してからにして」
標的は私ではなく、なぜかパパになってしまう。思わず悪役じみた台詞を吐き、マヒナの行く手を今度は私が阻む。さっきとは真逆の立場となる。
危なくて怖いけれど、パパの元には行かせられない。
「──許せない──許せない」
「だからパパは悪くない」
壊れたレコードのように繰り返し呟き続けるマヒナ。
足を止めず襲い掛かって来るから、私は力いっぱい両手でマヒナを突っぱねる。
ゴツン
それがもろに決まったようで、マヒナは勢いよく倒れ気を失う。
……あれ?
ひょっとしなくても勝負あり?
「マヒナ!!」
次なる刺客が現れる。
かなりの大男で立派な角があり、なんとなくベレニさんの面影がある?
この人がマヒナの夫で、妻のピンチだから助けに来たのだろうか?
二対一でますます分が悪くなるけれど、気迫では負けないとキッと男性を睨む。
「お嬢様、初めまして。私はニケルと申します」
「え、あはい。あなたは敵ですよね?」
敵なのに随分と礼儀正しく名を名乗られてしまい、ひょっとしたら話が通じる人かも知れない。
少なからずマヒナとは違う。
「あなたもシノブに、魔族の行く末を託すつもりですか?」
「私は出来ることなら、人間と関わらない未来にしたいです。シノブについては、マヒナに一存しています。ですからお嬢様がこの件から退くと言うのならば、全力で協力いたします」
悲しげな瞳で私を見つめながら、辛そうに彼は答えてくれた。
その言葉は偽りはと思うけれど、後者は本心じゃない気がして溜まらない。
マヒナを気にしている辺り、マヒナに頭が上がらないんだろう。それは弱みを握られているのか、単純に鬼嫁で逆らえないだけなのかは分からないけれど。
「人間と魔族が関わらない未来を否定はしませんが、シノブに魔族を任せられないので退くことは出来ません」
「そうなんですか? お嬢様達は、魔族と人間が手を取り合う世界にしたいのでは?」
「それは魔族と人間が決めることで、強制するつもりはありません。もし魔族が人間との交流を立ちたいというなら、そう言う交渉をすれば良いだけです。私は魔族の味方でも人間の味方でもないんです」
「…………」
感情的にならないで冷静に私の思いを伝えると、ニケルさんは思う所があるのか難しい表情に変わりで考え込んでしまう。
いくら洗脳されてたとは言え、人間は無差別に魔族狩りを始めたのは事実。それに魔族だって人間を、以前から見下し馬鹿にしていたらしい。
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